私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

裏がある








あの犯人を適当に転がした後、私と国木田は
私の下宿先にいた。
森は何かを察したらしく帰った。
「俺は先輩方には何も言いません。
ただ無事に帰ってきてくれれば大丈夫っす」
と帰り際に言われた。
多分、私と国木田が関係しているという事がどういう事か
分かり、深くは追求しなかったのだろう。
森はコミュ症で脳筋だが、意外と人の気持ちに敏感であり
人が嫌な事はしないため、部内では高評価だったりする。
……それでもコミュ症は大きくマイナスだが。
「で、今回襲ってきた奴の大元は分かるのかい?」
「うん、なんとなくね」
今回の一連の調べで犯人が誰か分かった。
そいつが色々と私達にしてきたのだろう。
「多分それって君の好きな人の事件に関わって
いるんだろうね?」
「ご名答〜流石国木田大先輩」
「"大"はいらない」
「さて、ここで提案なんだけど」
「分かった。その提案にのろう」
何故か国木田は私の提案がどういうのかを聞かずに
賛成してきた。
「あれまだ私何も言ってないよ?」
「どうせ君の事だから
"また地元に戻るけど来てもらえるかな〜?"
なんて言うつもりだろ?」
「……あらあら本当にご名答なこと」
「話の流れ的に分かったよ。
ーーとりあえず僕は君についていく」
「お人好しだ〜ね〜。ありがとうね国木田」
「……別に」
「おっ、照れてる照れてる〜」
「うるせぇ、帰るぞ僕」
「ごめんごめんって許してよ〜」
「……全然心がこもっていない謝罪だよね。
はぁ、面倒……」
ーーねぇ国木田。
私は口ではこう言っているけどとても感謝しているんだ。
貴方のお人好しで私がどれだけ救われたか。
私の汚れた過去を知った上でも、私と普通に接して
くれて、あの事件の真相を知りたいと言った時も
私に協力してくれたよね?
「ねぇ国木田」
「……ん? また僕をからか」
「いつもありがとうね!!」
「……」
「あれ〜? いきなり無言かい〜?」
「樋口さんが礼を言う……
ーー絶対裏があるな」
国木田はいきなり私を警戒し始めた。
「お前、樋口さんの偽物だな?
本物の樋口さんはどこにいる?」
何故かいきなり偽物扱いされた。
「ま、待って私は本物の樋口だよ!?
そこまで疑われる!?」
「黙れ偽物。本物の樋口さんは礼を言ったと思いきや
人の弱みを握って笑顔でからかってくる奴だぞ!!
なると目の前のお前は偽物だ!!」
「私が普通にお礼を言ってそこまで言われる!?」
まぁそりゃ今まで国木田は散々からかってきましたよ。
だってからかい甲斐があるんだもん。
……ってそれが原因だろうね。
「さぁ、正体を表せ偽物」
「本当今までの事謝るから信じてーー!?」
私が会話の主導権を国木田に握られたのは
多分国木田と会ってから初めてに近い。
「……くっ、正体を表さないか……しぶとい」
「いい加減信じてよーー!!
平塚〜助けてよ〜!!」
「お前、七海にまで被害を及ぼそうとしているのか?
ーー許さん」
「マズイ〜!! 国木田の目がマジだ!!」


ーーこの後、しばらく国木田を説得して
やっと信じてもらえた。
そして改めて人との信頼って大切なんだなと感じた
今日この頃だった。









少しの間、こちらを優先して更新します。

コメント

  • サク. ap

    おぉ…珍しい!
    大先輩も伊達に受け身やってたわけじゃないんだね(笑)

    2
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