私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

崩壊〜その5




担任に呼ばれたその日も結局広樹は会えなかった。

そして次の日学校に行ったら、広樹の噂が学校中に
広まっていた。
その噂をまとめると

・広樹は暴力を振るって女子に言うことを聞かせていた。

・彼女であった三浦亜紀も暴力を振るい
無理矢理彼女にした

・更に幼馴染の私にも暴力を振るっている

・バレた理由は三浦亜紀とのデート中に暴力を
振るっているのを見られた

・そしてそれを目撃したのが常村悠平

・常村は暴力を振るわれている三浦亜紀を助けて
広樹を追い払った

・後日、常村は三浦亜紀が広樹を怖がり
渋っていたのを説得して学校に報告した

・その結果、広樹は瞬く間にクズとして扱われ
常村は女子を守ったヒーローとして扱われている

(全く持ってバカバカしい・・・広樹はそんな男子
じゃないのに・・・)
私の元には相変わらず心配のフリをして広樹を
裏切らせようとするクラスメイトや教師がきた。
途中から鬱陶しくなった私は授業中以外は
常時イヤホンをつける様になった。
(本当に鬱陶しい・・・ ︎
どうせこの人達は自分達が面白いから
そうしているだけなんだ・・・)
私は今回の事件から軽く人間不信になった。
(どうしてあんなに簡単に昨日まで仲良かった人を
裏切れるの・・・私には・・・分からない)
今も教室内では広樹の悪口や根も葉も無い噂を
クラスメイト達が楽しそうにしていた。
そう思いながら広樹の机を見た。
(今日も休み・・・寂しいよ・・・)
広樹は相変わらず学校に来ていない。
かれこれ1週間は広樹を見ていない。
最近は毎日朝と帰りに彼の家に行き、インターホンを
押しているのだが全く反応が無い。
(今日も行かなきゃ・・・)
私はそれだけを支えに授業を頑張るのであった。

私は最近の日課になっている広樹の家に行った。
「き、今日は会えるかな・・・」
とりあえず彼のインターホンを押してみる。
ピンポーン
・・・
・・・
・・・
反応が無い。
「今日も無理かな・・・」
と私が諦めかけた時
家の中から足音が聞こえた。
「はい・・・って翔子か」
広樹が寝巻きのまま出てきた。
顔は若干痩せているが大丈夫そうだった。
「広樹・・・ ︎」
私はたまらず彼に抱きついた。
(やった・・・ ︎久しぶりに広樹に会えた ︎
嬉しいよ・・・ ︎)
「翔子?どうした・・・?」
彼がやや困惑している様だが私は構わず
「広樹・・・ ︎広樹・・・ ︎」
抱きしめながら、嬉しくて彼の名前を連呼した。
(良かった・・・広樹は無事だ・・・)
「あの・・・翔子さん」
彼は冷静に私に言った。
「何・・・?」
「ここ家の外なんだよね。
ーー翔子のお母さんがニヤニヤしてこっちを見ている」
「えっ・・・」
つい私の家の方を見ると、玄関から私の母がニヤニヤ
しながら私達を見ていた。
「えっ、えっ、えっ ︎」
「いや〜翔子ちゃん、大胆わね〜 ︎」
私の母は私達をニヤニヤしながら言った。
「いやいや翔子のお母さん笑ってないで・・・」
広樹が呆れながら言うのだが
「若い2人に後は任せるわ〜 ︎
今日はお赤飯炊かなきゃ〜 ︎」
と言うと母は家の中に入っていった。
だがすぐ戻ってきて
「あっ、今日は泊まっていってもいいわよ ︎じゃ ︎」
と言うと再び家に戻った。
(お母さん・・・ ︎)
私は母の無駄な気遣いを受けて恥ずかしかった。
「翔子のお母さんってパワフルだな・・・」
「う、うん・・・私に似てなくて」
「・・・否定出来ない俺がいるんだよな、これ」
「今日泊まっていい?」
「いや、待て、おい。何故その流れになった ︎」
「・・・お母さんから許可もらった
それ以外に何があるの?
ーー100字以内で答えよ」
「翔子、俺が国語苦手なの知ってやってんだろ?」
「・・・気のせい、うん、気のせい」
「はい、1人で納得しない。
ーーなぁ翔子、明日用事あるか?」
「私・・・?特に無いよ?」
「明日どこか遊びに行かないか?
翔子さえ」
「行く」
私は即答だった。
広樹に誘われて私が断るなんてありえない。
「そうか、じゃあ明日9時に翔子の家の前で」
「広樹・・・嘘ついたら、私怒る」
「どんな風にだ?」
「怒って、龍になって暴れる」
「怖ッ ︎」







ショートストーリー〜とある幼馴染の夜
「さて、明日は何をしようか。
ーーでもとりあえずこれは渡したいな」
と俺は机の中にしまっておいたとある物を
手に取った。
「せめてこれぐらいはしてやらないとな」
俺は隣の家にいる幼馴染の方を見て呟いた。
「あいつにしてやれんのもこれで最後だ」

ーー例え、俺がやる事があの幼馴染にとっては
一番酷だとしても

ーー俺は守ろう

ーー俺の愛しい幼馴染の日常を


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