私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

私の世界が壊れ始めた日ーー序章


今回から例のクズ絡みの事件に入っていきます。





私はあの日を未だに鮮明に思い出せる。
ーー私の世界が壊れ始めた、あの日を。

2年生に上がり今年も広樹と同じクラスだった。
(今年も広樹と同じ・・・やった・・・)
まさか2年連続で彼と同じクラスになれるとは思って
おらず、クラス発表の日は家に帰ってもずっと幸せだった。
・・・まぁ母には温かい目で見られていたが。
今年も同じ教室で授業を受けれると思うと勉強もはかどり
横目で広樹を見る、あの瞬間が私は好きだった。
だが私のそんな密かな楽しみはすぐに叶わなくなる。
そんな事を当時の私は知らなかった。

私の世界が壊れ始めた日
ーーこの日も私達は一緒に帰っていた。
「なぁ翔子」
いきなり広樹が止まった。
「ん?何・・・?」
私はいつものように広樹が面白い話をするのかと思い
心をワクワクしながら次に来る言葉を待っていた。
だが私の期待は裏切られる事になる。

「実は俺・・・
ーー彼女が出来たんだ」
「えっ・・・」
いつか来るだろうと思っていた日。
それがこんなにも早くにもくるなんて・・・
「・・・ちなみに、相手は誰なの?」
「同じクラスの三浦亜紀だよ」

ーー三浦亜紀

彼女はクラスカーストでも最上位にいる。
可愛いルックス、頭も良く、性格もいいという
三拍子揃った美少女だった。
私なんかとは天と地の差がある子だ。
彼女なら広樹とお似合いだろう。
「そう、なんだ・・・よかったね広樹」
口ではこう言うが全然良くない・・・
(私は嫌だ・・・)
だけど広樹が幸せになるなら私は構わない。
「だから今日みたいに一緒に登下校は厳しくなる・・・」
「うん、大丈夫。私は1人でいけるよ。
広樹は彼女を優先・・・してね」
「・・・ごめんな」
いきなり広樹が謝ってきた。
「広樹は悪くない。今まで広樹に甘えていたから」

ーー本当は嫌だと叫びたい。

ーー私と登下校してよと言いたい。

ーーでも、それは私のワガママ。

ーーそんなワガママしていたら広樹から幸せが
遠さがってしまう。

ーー今まで私なんかと一緒にいてくれたんだ。
広樹には幸せになる権利がある。

だから・・・
「私頑張る。1人でも」
「翔子・・・」
「じ、じゃあ、またで ︎」
「あ、おい ︎翔子 ︎」
後ろから広樹が呼んでいたが私は走って家まで帰った。
私はこの時失恋をした。

私は泣きながら家に着いた。
「ただいま・・・」
「お帰り〜しょう・・・
ーーどうしたの翔子ちゃん ︎」
リビングから出てきた母は私を見て、とても驚いていた。
「うぅ・・・うっ・・・」
自分の娘が泣いて帰ってきたのだから驚くのは当たり前か。
「学校で何かあったの ︎何かされたの ︎」
「(フルフル)」
私は泣きながら首を振った。
「じゃあどうして泣いているの?教えてもらえる?」
母は私に優しく聞いてきた。
「ひ、ひ、広樹に・・・」
「広樹君?彼がどうかしたの?」
「ひ・・・広樹に・・・か、か、彼女がで、出来た」
私は泣きながらなんとか言えた。
「そうなの・・・それは広樹君にとっては嬉しいけど
翔子ちゃんには辛いわよね」
と言いながら母は私を抱きしめた。
「お、お母さん・・・?」
「今は泣きたいなら思っ切り泣きなさい。
今日だけは思っ切り泣いてもいいから」
「・・・う、う、うわ〜ん ︎」
私は母の胸で思っ切り泣いた。

結局私はその日、自分の部屋に帰った後も
思っ切り泣いた。

だけど私はまだ知らなかった。
ーーこの日が人生最悪の日では無かった事に・・・


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