私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

む、無理だよ・・・




私達は高校生になった。
だが特にこれといって変化した訳では無かった。
今までのように一緒に登校して、帰りもいつも・・・
という訳では無かったけど、よく一緒に帰っていた。

そして高校1年生のとある日
「ただいま・・・」
私が帰ると、母が夕食を作っていた。
「お帰り翔子ちゃん〜」
母は私と違ってとても明るい性格の人だ。
そして娘の私から見てもとても美人だ。
身長が高く、一児の母には思えないスタイルをしている。
未だにこんな美人の母から産まれたのが私だという事を
信じられない。
「今日も広樹君と一緒だったの?」
「うん」
「翔子ちゃんって本当に広樹君が好きよね。
だって広樹君と一緒に帰ってくるといつも笑顔だもの」
「・・・ッ ︎」
母に言われ、ただひたすら恥ずかしかった。
「私ってそんなに分かりやすい・・・?」
「何を言っているの?気づかない方がおかしいわよ〜
あんな幸せそうな笑顔を見せられたらね〜」
母にそのように言われて恥ずかしくて何も言えない。
「うぅ・・・」
「もう〜翔子ちゃんは可愛いんだから〜」
「うるさい・・・」
母に茶化されついムカっとなってしまう。
「でも翔子ちゃん?そこまで好きなら告白しないの?」
「こ、告白 ︎む、無理だよ・・・私なんかが告白しても
広樹困っちゃうよ・・・」
私みたいな根暗な女子が告白しても広樹は困るだけだ。
そりゃ私に母みたいな美人で明るかったら
いいのかもしれないけれど・・・
「そうかしら?翔子ちゃんは可愛いだから大丈夫よ〜
だって私の娘なんだから〜」
「私は可愛くないよ・・・それに広樹には私よりも
相応しい女の子がいるし・・・」
「翔子ちゃん・・・」
「それに私は今が幸せなの・・・」
好きな人と一緒にいられる。
ーー例え広樹の1番では無くても・・・
私にとっては今の環境が心地よかった。
これ以上の幸せを求めるのは欲張りだと思った。
といきなり母が私を抱きしめてきた。
「 ︎お、お母さん ︎」
「翔子ちゃん〜 ︎貴方って本当に良い子ね〜 ︎」
「く、苦しい・・・」
「決めたわ ︎今日の夕食は翔子ちゃんの好きな物に
してあげるわ ︎」
「べ、別にいいよ・・・」
と私が母に抱きしめられていると父が帰ってきた。
「ただいま、って何をしているんだい?」
「聞いて〜お父さん〜翔子ちゃんが良い子すぎて
困るのよ〜 ︎」
「本当か ︎なら私も抱きしめたい ︎」
「あっ、お父さんは煙草臭いからダメ」
「酷ッ ︎」
結局その日の夕食は私の好きなオムライスになった。

私は母が作ってくれた夕食を食べた後に自室に戻った。
そして私の寝る前の日課である日記を書き始めた。
「今日は広樹と一緒に・・・肉まん食べれた」
私の日記は私の記録というよりも広樹と何をしたのか
その事ばかり書いてある。
「あっ、帰り道色んな話をした・・・楽しかった」
私にとって日常とは広樹だった。
広樹とは私にとっての日常だった。
「あ、あれ?そろそろこの日記もおしまい・・・
新しいの買わなきゃ・・・」
明日、帰り道に日記帳買うのを忘れないようにメモをした。
「ふふっ・・・」
日記を見ていると思わず、笑みがこぼれる。
例え、広樹にとって私が1番じゃなくていい。
広樹の近くにいれればいい。
ただそれだけで私は幸せになれるのだから。
「明日はどんな事を広樹と一緒に出来るかな・・・」
私は明日が待ち遠しくなった。
「明日もよろしくね・・・」
そう思いながら私は眠りについた。





次回から物語が動き出します・・・

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