異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル
第8話タコ足 イカ足 初戦闘
突然のモンスターの襲撃により、海中で囚われてしまった勇者と魔王。
魔王に至っては、カナヅチなのか既に気を失ってしまっている。ポロの方は辛うじて頑張っているが、恐らく長続きはしない。
そして俺も、戦闘などした事ないので、戦い方など分かるわけがない。
(あれ、これ)
詰みじゃないですかね。
「ブバザ、ばぶばび(翼、危ない!)」
「え?」
ポロの声に一瞬反応が遅れてしまった俺は、伸びてきた足に気付かず、捕まってしまう。
「ぶばば(つばさ)!」
物の見事にミイラ取りがミイラになってしまい、誰も戦う事が出来ない状態になる。
(まずい、息が……)
俺はポロとは違いごく普通の人間なので、酸素切れを起こすのが早く、捕まって一分も経たない内に、意識が朦朧とし始める。恐らくこの怪物は、俺達が息ができないのを知っていて、あえて捕まえたまま動かずに窒息するのを待っているのだろう。
そうすれば、あとは誰にも邪魔されずに、ゆっくりと餌にありつける。そういう算段に違いない。横を見ると、限界が来てしまったのかついにポロも意識を失ってしまっている。
(このまま終わるのか? 俺は……)
何も出来ないまま、俺はこの人生を終わらせてしまっていいのか?目の前の仲間すらも助けられずに……。
(だけど何ができる俺に……)
もう意識を保つのも限界だ。あと数秒すれば、俺も……。
『……めなさい』
(え?)
意識を失う直前に、声がした。幻聴なのか、それとも……。
『仲間を……助けたいなら……を……求めなさい』
いや、これは幻聴じゃない。鮮明に声が聞こえてくる。それと同時に、何故か朦朧としていた意識が、ハッキリとしたものになる。
『私を求めなさい!』
そしてその声が完全に俺の耳に届いた時、無意識に手を伸ばしていた。
何を求めるのか、この声が誰のものなのか分からない。でもこの場を何とかできるなら、俺は……。
「来い!」
俺がそう声を出すと、その手には一本の刀がある握られていた。それをしっかりと握りしめた俺は、不慣れながらも拘束していたタコ足を切り落とした。
『いい? 何処の馬の骨が知らないけど、私が力を貸してあげる。だから男を見せなさい』
そして一度息継ぎの為に海面から顔を出すと、先ほどの声がこの刀からした。
「そんなの言われなくてもやってやる!」
その声に応えるかのように、俺は吸える限りの酸素を肺に入れ、今度はポロとチビィの救出へと向かう。
タコかイカか分からない怪物は、俺に足を切られた事に、かなり動揺していた。そしてその隙をついて俺は、二人を拘束した足を切り落とす。ついでに切り落としたタコ足とイカ足をかっさらい、二人を抱えて陸へと上がった。
「はぁ……はぁ……」
不慣れな事をしたせいか、俺は二人を陸に上げると、砂浜に倒れこんだ。恐らく足を三本も切られたあの怪物は、今すぐには追ってこないだろう。
だから俺もポロとチビィと一緒に……。
『まさかたった数分で私をここまで使いこなせるなんて……。何者なの』
最後にあの刀の声を耳にしながら、俺もゆっくりと意識を失っていった。
■□■□■□
「ツバサさん、起きてください、ツバサさん!」
声がする。俺はその声で長らく失っていた意識が覚醒した。俺が目を覚ましたのはあの洞窟の中。ユフィが俺を心配そうに覗き込んでいる。
「よかった……。目を覚ましてくれたんですね」
「あれ、どうして俺はここに?」
「ポロさん達と一緒に運んで来てくれた人がいたんですよ」
「運んで来てくれた人?」
俺は体を起こす。隣にはまだ眠っているポロとチビィがいて、外ではキャトラとユズが何かの作業をしている。けど、それ以外に人はいなかった。
「誰もいないけど」
「それが、ツバサさん達を運んだら、いつの間にかどこかへ行ってしまわれたんです」
「なるほど」
でもあの場には俺達三人以外の人間はいなかったから、誰かが運んでくれた事自体が不思議なのだが。
「あれ? 刀は?」
「カタナ? 何ですかそれは」
「あ、そこから説明しないといけないのか。じゃあ、えっと、その女性は何か持っていたり、置いていったりしなかったか?」
「いえ、置いてあったのはそこにあるもの以外には何も」
ユフィが指をさした先には、俺が直前まで集めていた石材や食材。あと、あの怪物の足。それ以外は何もなかった。
「どうかされましたか? ツバサさん」
「あ、いや、何でもない。それよりその石材と木を使って道具を作るぞ」
「え、あ、はい。でも大丈夫なんですか? まだ目を覚ましたばかりなのに」
「こう見えて丈夫な体なんだ。ほら、拠点の設計図は作ってくれたんだろ?」
「あ、はい。ただ、私達は作ったことがないので、大それたものは」
「それでもいいよ。さあ、始めるぞ」
「は、はい!」
俺は石材を持って洞窟の外に出る。外に出るとキャトラとユズが何かを作っていた。
「何を作っているんだ二人とも」
「あ、ツバサ、目を覚ましたんだね。今アタシ達が作っているのは、これだよこれ」
と言ってたキャトラが差し出してきたのは、木を蜘蛛の糸で結んだ箱だった。
「箱なんて作ってどうするんだよ」
「ここで飼おうかなと思って」
「飼うって何を?」
「こ、これです」
いつの間にか俺と距離を置いていたユズが、遠くで何かを差し出す。彼女が持っていたのは、俺にはよく見覚えがあるものだった。
「それって、もしかしたらカブトムシか?」
ユズが大事そうに持っていたのは、あのカブトムシ。この暑さの島ならり居てもおかしくはない話だが、それは地球の話であって、この異世界では異質だった。
(何でカブトムシがこの世界に)
ここは異世界じゃないのか?
魔王に至っては、カナヅチなのか既に気を失ってしまっている。ポロの方は辛うじて頑張っているが、恐らく長続きはしない。
そして俺も、戦闘などした事ないので、戦い方など分かるわけがない。
(あれ、これ)
詰みじゃないですかね。
「ブバザ、ばぶばび(翼、危ない!)」
「え?」
ポロの声に一瞬反応が遅れてしまった俺は、伸びてきた足に気付かず、捕まってしまう。
「ぶばば(つばさ)!」
物の見事にミイラ取りがミイラになってしまい、誰も戦う事が出来ない状態になる。
(まずい、息が……)
俺はポロとは違いごく普通の人間なので、酸素切れを起こすのが早く、捕まって一分も経たない内に、意識が朦朧とし始める。恐らくこの怪物は、俺達が息ができないのを知っていて、あえて捕まえたまま動かずに窒息するのを待っているのだろう。
そうすれば、あとは誰にも邪魔されずに、ゆっくりと餌にありつける。そういう算段に違いない。横を見ると、限界が来てしまったのかついにポロも意識を失ってしまっている。
(このまま終わるのか? 俺は……)
何も出来ないまま、俺はこの人生を終わらせてしまっていいのか?目の前の仲間すらも助けられずに……。
(だけど何ができる俺に……)
もう意識を保つのも限界だ。あと数秒すれば、俺も……。
『……めなさい』
(え?)
意識を失う直前に、声がした。幻聴なのか、それとも……。
『仲間を……助けたいなら……を……求めなさい』
いや、これは幻聴じゃない。鮮明に声が聞こえてくる。それと同時に、何故か朦朧としていた意識が、ハッキリとしたものになる。
『私を求めなさい!』
そしてその声が完全に俺の耳に届いた時、無意識に手を伸ばしていた。
何を求めるのか、この声が誰のものなのか分からない。でもこの場を何とかできるなら、俺は……。
「来い!」
俺がそう声を出すと、その手には一本の刀がある握られていた。それをしっかりと握りしめた俺は、不慣れながらも拘束していたタコ足を切り落とした。
『いい? 何処の馬の骨が知らないけど、私が力を貸してあげる。だから男を見せなさい』
そして一度息継ぎの為に海面から顔を出すと、先ほどの声がこの刀からした。
「そんなの言われなくてもやってやる!」
その声に応えるかのように、俺は吸える限りの酸素を肺に入れ、今度はポロとチビィの救出へと向かう。
タコかイカか分からない怪物は、俺に足を切られた事に、かなり動揺していた。そしてその隙をついて俺は、二人を拘束した足を切り落とす。ついでに切り落としたタコ足とイカ足をかっさらい、二人を抱えて陸へと上がった。
「はぁ……はぁ……」
不慣れな事をしたせいか、俺は二人を陸に上げると、砂浜に倒れこんだ。恐らく足を三本も切られたあの怪物は、今すぐには追ってこないだろう。
だから俺もポロとチビィと一緒に……。
『まさかたった数分で私をここまで使いこなせるなんて……。何者なの』
最後にあの刀の声を耳にしながら、俺もゆっくりと意識を失っていった。
■□■□■□
「ツバサさん、起きてください、ツバサさん!」
声がする。俺はその声で長らく失っていた意識が覚醒した。俺が目を覚ましたのはあの洞窟の中。ユフィが俺を心配そうに覗き込んでいる。
「よかった……。目を覚ましてくれたんですね」
「あれ、どうして俺はここに?」
「ポロさん達と一緒に運んで来てくれた人がいたんですよ」
「運んで来てくれた人?」
俺は体を起こす。隣にはまだ眠っているポロとチビィがいて、外ではキャトラとユズが何かの作業をしている。けど、それ以外に人はいなかった。
「誰もいないけど」
「それが、ツバサさん達を運んだら、いつの間にかどこかへ行ってしまわれたんです」
「なるほど」
でもあの場には俺達三人以外の人間はいなかったから、誰かが運んでくれた事自体が不思議なのだが。
「あれ? 刀は?」
「カタナ? 何ですかそれは」
「あ、そこから説明しないといけないのか。じゃあ、えっと、その女性は何か持っていたり、置いていったりしなかったか?」
「いえ、置いてあったのはそこにあるもの以外には何も」
ユフィが指をさした先には、俺が直前まで集めていた石材や食材。あと、あの怪物の足。それ以外は何もなかった。
「どうかされましたか? ツバサさん」
「あ、いや、何でもない。それよりその石材と木を使って道具を作るぞ」
「え、あ、はい。でも大丈夫なんですか? まだ目を覚ましたばかりなのに」
「こう見えて丈夫な体なんだ。ほら、拠点の設計図は作ってくれたんだろ?」
「あ、はい。ただ、私達は作ったことがないので、大それたものは」
「それでもいいよ。さあ、始めるぞ」
「は、はい!」
俺は石材を持って洞窟の外に出る。外に出るとキャトラとユズが何かを作っていた。
「何を作っているんだ二人とも」
「あ、ツバサ、目を覚ましたんだね。今アタシ達が作っているのは、これだよこれ」
と言ってたキャトラが差し出してきたのは、木を蜘蛛の糸で結んだ箱だった。
「箱なんて作ってどうするんだよ」
「ここで飼おうかなと思って」
「飼うって何を?」
「こ、これです」
いつの間にか俺と距離を置いていたユズが、遠くで何かを差し出す。彼女が持っていたのは、俺にはよく見覚えがあるものだった。
「それって、もしかしたらカブトムシか?」
ユズが大事そうに持っていたのは、あのカブトムシ。この暑さの島ならり居てもおかしくはない話だが、それは地球の話であって、この異世界では異質だった。
(何でカブトムシがこの世界に)
ここは異世界じゃないのか?
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