異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル
第5話世界を越えて 言葉を越えて
何だかんだあって拠点に無事帰還。
「ご紹介が遅れました、彼女は私の付き人のユズです。どうやら私と同じようにこの世界に飛ばされたようです」
「そうだったんだな。てっきり、飛ばされるのは一つの世界に一人かと思っていたけど、そんな事もあるんだな」
「それでユズに関してですが、一つツバサさんにお伝えしなければならない事がありまして」
「な、な、何故ユフィ様が、お、お、男と話をしているのですか?! 不潔です!」
「……私が何を言おうとしたのかは分かりますよね」
「それはもう充分なくらいに」
拠点に戻った際に、ユフィからユズの紹介があったのだが、もはや彼女がどんな性格なのかは戻ってくるまでに痛いほど思い知らされた。
極度の男性恐怖症、もしくは極度の男嫌い
どっちとでも取りにくい性格の子なので、明確な答えは分からないが、避けられているのは明らかだった。というかどちらもイコールに近いので、どちらもなのだろう。
「ツバサ、そろそろ食べていい? もう空腹で倒れそうなんだけど」
「あ、そうだったな。野菜は見つけられなかったけど、こういうものが成っている木は見つけてきたよ」
俺はユフィの前に、採ってきた果物達を置く。
「わあ、初めて見ましたけどこれは食べれるのですか?」
「一応味見した限りでは大丈夫だから、食べれるよ。ただ、こういうのは日持ちしないから何回か採りに行ったほうが」
「いただきます」
俺の話を聞く前に一目散に食べ始めるユフィ。よほどお腹が減っていたのか、「美味しいです」と言いながら夢中で食べ続けた。
(流石に魚だけじゃ物足りなかったか)
ユフィの幸せな顔を見てそう感じながら、俺はすっかり冷めてしまった焼き魚を口にする。味としては日本のものとほぼ変わらないので、食事としては問題ないけど、こればかり食べてたら体の方が危ないかもしれない。
「あの」
「ん?」
今後の食について考えながら食べていると、食べ物をもらったままずっと立ち尽くしているユズがものすごく小さな声で囁いてきた。
まあ多分本人は全くそのつもりはないんだろうけど。
「私も食べてよろしいのでしょうか?」
「何言っているんだよ、当たり前だろ。ユズも今日から仲間なんだから」
「仲間? 私が? それはユフィ様だけでは」
「これからしばらくはこの島で暮らすんだから、同じ仲間だろ。だから遠慮せず、食べろ」
「わ、分かりました」
そう答えると少し遠慮しがちにユズも食事にありつく。それを確認した俺は、自分も食事をとりながら、改めて今日一日を振り返った。
突然渡された自由という名のサバイバル生活という片道切符。あの神様は果たしてこれで俺の願いを叶えたつもりなのか、いささか疑問に思う。
でもある意味では良かったのかもしれない。こうしてこの島にやって来なければ、たった一日で四人も仲間が出来ることもなかったのだから。
(自由には程遠いけど、こういうのも悪くはないか)
俺達の無人島生活初日は、間も無く終わりを迎えようとしている。
■□■□■□
それから皆が眠りにつくのはとても早かった。多分こんな所にいきなり飛ばされて、精神的に疲れたのだろう。食事を終えた頃には、キャトラから順番にいつの間にか眠って言った。
そして俺も疲れたから、しっかり眠りたかったのだが……。
(こういう時はやっぱり眠れない性格だよな俺って)
何度目を瞑っても覚めてしまうので、俺は体を起こし拠点の洞窟を出たところで、夜空を眺めていた。
「ツバサさんも、眠れないんですか?」
しばらく眺めていると、俺と同じく眠れないのかユフィが隣にやって来た。
「緊張しすぎて逆に眠れなくてさ」
「ふふっ、私もです」
クスッと笑いながらユフィは言う。それが少しだけ可愛く思えてしまった。
「何かあっという間だったな、一日が経つの」
「そうですね。私達が出会ってから夜になるのは本当にあっという間だった気がします」
「この一日だけでも色々あったからなぁ」
魚が釣れたと思ったら猫が釣れるし、ユフィの付き人が現れたと思ったら、避けられるし。色々なことが起きすぎた一日だった。
「でも私はすごく楽しかったですよ。こんなに楽しい一日は、生まれて初めてだったかもしれません」
「生まれて初めてって、大げさな」
「大げさではありませんよ。私にとってはこの時間の何もかもが、特別ですから」
「特別かぁ」
それは多分ユフィだけじゃなく、他の皆も思っている事だろう。俺達は今世界という枠を越えてこの世界に集まって、同じ時間を過ごしている。
それは誰にだって特別な時間であって、きっと一生忘れられないかけがえのないものになるに違いない。
「特別な時間は、多分まだまだ続くよ。この島にいる限りは」
「そうですね。こうして言葉の壁も越えられるのですから、もっと沢山の特別な時間が作れるかもしれませんね」
「そういえば片言で聞こえなくなったけど、それはやっぱり慣れたから?」
「はい! ツバサさんとは今日一日沢山お話をしましたので、すっかり慣れました」
そう笑顔でユフィは答える。いつからかは分からないけど、本当にいつの間にか彼女が話す言葉が違和感なく聞こえるようになっていた。
彼女が言うように今日一日で、沢山話をしたからだと思うけど、それだけでも俺は嬉しかった。
(言葉が通じる事って、こんなに嬉しい事なんだな)
この気持ちもきっと、この特別な環境でしか味わえないものなのかもしれない。
「さてと、そろそろ……」
時間それなりに経って、寝ようかと立ち上がろうとした時、隣で寝息が立っている事に気がついた。しかも俺の肩に頭を預けて眠っているので、俺も動く事ができない。
(早速こんなイベントが起きるなんて、ある意味ラッキーなのか?)
結局今度は別の意味で俺は緊張してしまい、初日はほぼ眠れずに二日目を迎えたのだった。
そしてサバイバル生活二日目。
「我は魔王なり。死にたくなければ我に忠実な下僕になるのだ!」
この無人島にどこかの魔王様が襲来! どうなる俺達の無人島生活。
「随分小さな魔王様ですね」
「ち、ちっちゃい言うな! こ、これでも気にしているんだからな!」
「ご紹介が遅れました、彼女は私の付き人のユズです。どうやら私と同じようにこの世界に飛ばされたようです」
「そうだったんだな。てっきり、飛ばされるのは一つの世界に一人かと思っていたけど、そんな事もあるんだな」
「それでユズに関してですが、一つツバサさんにお伝えしなければならない事がありまして」
「な、な、何故ユフィ様が、お、お、男と話をしているのですか?! 不潔です!」
「……私が何を言おうとしたのかは分かりますよね」
「それはもう充分なくらいに」
拠点に戻った際に、ユフィからユズの紹介があったのだが、もはや彼女がどんな性格なのかは戻ってくるまでに痛いほど思い知らされた。
極度の男性恐怖症、もしくは極度の男嫌い
どっちとでも取りにくい性格の子なので、明確な答えは分からないが、避けられているのは明らかだった。というかどちらもイコールに近いので、どちらもなのだろう。
「ツバサ、そろそろ食べていい? もう空腹で倒れそうなんだけど」
「あ、そうだったな。野菜は見つけられなかったけど、こういうものが成っている木は見つけてきたよ」
俺はユフィの前に、採ってきた果物達を置く。
「わあ、初めて見ましたけどこれは食べれるのですか?」
「一応味見した限りでは大丈夫だから、食べれるよ。ただ、こういうのは日持ちしないから何回か採りに行ったほうが」
「いただきます」
俺の話を聞く前に一目散に食べ始めるユフィ。よほどお腹が減っていたのか、「美味しいです」と言いながら夢中で食べ続けた。
(流石に魚だけじゃ物足りなかったか)
ユフィの幸せな顔を見てそう感じながら、俺はすっかり冷めてしまった焼き魚を口にする。味としては日本のものとほぼ変わらないので、食事としては問題ないけど、こればかり食べてたら体の方が危ないかもしれない。
「あの」
「ん?」
今後の食について考えながら食べていると、食べ物をもらったままずっと立ち尽くしているユズがものすごく小さな声で囁いてきた。
まあ多分本人は全くそのつもりはないんだろうけど。
「私も食べてよろしいのでしょうか?」
「何言っているんだよ、当たり前だろ。ユズも今日から仲間なんだから」
「仲間? 私が? それはユフィ様だけでは」
「これからしばらくはこの島で暮らすんだから、同じ仲間だろ。だから遠慮せず、食べろ」
「わ、分かりました」
そう答えると少し遠慮しがちにユズも食事にありつく。それを確認した俺は、自分も食事をとりながら、改めて今日一日を振り返った。
突然渡された自由という名のサバイバル生活という片道切符。あの神様は果たしてこれで俺の願いを叶えたつもりなのか、いささか疑問に思う。
でもある意味では良かったのかもしれない。こうしてこの島にやって来なければ、たった一日で四人も仲間が出来ることもなかったのだから。
(自由には程遠いけど、こういうのも悪くはないか)
俺達の無人島生活初日は、間も無く終わりを迎えようとしている。
■□■□■□
それから皆が眠りにつくのはとても早かった。多分こんな所にいきなり飛ばされて、精神的に疲れたのだろう。食事を終えた頃には、キャトラから順番にいつの間にか眠って言った。
そして俺も疲れたから、しっかり眠りたかったのだが……。
(こういう時はやっぱり眠れない性格だよな俺って)
何度目を瞑っても覚めてしまうので、俺は体を起こし拠点の洞窟を出たところで、夜空を眺めていた。
「ツバサさんも、眠れないんですか?」
しばらく眺めていると、俺と同じく眠れないのかユフィが隣にやって来た。
「緊張しすぎて逆に眠れなくてさ」
「ふふっ、私もです」
クスッと笑いながらユフィは言う。それが少しだけ可愛く思えてしまった。
「何かあっという間だったな、一日が経つの」
「そうですね。私達が出会ってから夜になるのは本当にあっという間だった気がします」
「この一日だけでも色々あったからなぁ」
魚が釣れたと思ったら猫が釣れるし、ユフィの付き人が現れたと思ったら、避けられるし。色々なことが起きすぎた一日だった。
「でも私はすごく楽しかったですよ。こんなに楽しい一日は、生まれて初めてだったかもしれません」
「生まれて初めてって、大げさな」
「大げさではありませんよ。私にとってはこの時間の何もかもが、特別ですから」
「特別かぁ」
それは多分ユフィだけじゃなく、他の皆も思っている事だろう。俺達は今世界という枠を越えてこの世界に集まって、同じ時間を過ごしている。
それは誰にだって特別な時間であって、きっと一生忘れられないかけがえのないものになるに違いない。
「特別な時間は、多分まだまだ続くよ。この島にいる限りは」
「そうですね。こうして言葉の壁も越えられるのですから、もっと沢山の特別な時間が作れるかもしれませんね」
「そういえば片言で聞こえなくなったけど、それはやっぱり慣れたから?」
「はい! ツバサさんとは今日一日沢山お話をしましたので、すっかり慣れました」
そう笑顔でユフィは答える。いつからかは分からないけど、本当にいつの間にか彼女が話す言葉が違和感なく聞こえるようになっていた。
彼女が言うように今日一日で、沢山話をしたからだと思うけど、それだけでも俺は嬉しかった。
(言葉が通じる事って、こんなに嬉しい事なんだな)
この気持ちもきっと、この特別な環境でしか味わえないものなのかもしれない。
「さてと、そろそろ……」
時間それなりに経って、寝ようかと立ち上がろうとした時、隣で寝息が立っている事に気がついた。しかも俺の肩に頭を預けて眠っているので、俺も動く事ができない。
(早速こんなイベントが起きるなんて、ある意味ラッキーなのか?)
結局今度は別の意味で俺は緊張してしまい、初日はほぼ眠れずに二日目を迎えたのだった。
そしてサバイバル生活二日目。
「我は魔王なり。死にたくなければ我に忠実な下僕になるのだ!」
この無人島にどこかの魔王様が襲来! どうなる俺達の無人島生活。
「随分小さな魔王様ですね」
「ち、ちっちゃい言うな! こ、これでも気にしているんだからな!」
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