異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル

りょう

第3話釣って釣られてアニマル少女

 魚釣りができそうな道具は、そこら中に生えている丈夫な木の枝を用意して、糸は何故か丈夫なこの世界のクモの糸。
 何故か俺が知っているような蜘蛛の糸とは違い、この世界の蜘蛛みたいな動物から頂戴した糸は丈夫で、それを釣り糸として使う事に。

「よし、あとはこの糸にそこら辺の虫を絡ませれば、ほら完成」

「これは何デスカ?」

「さっき言っていた魚釣りに使う釣り竿だよ。これでそこの川に泳いでいる魚を釣る」

「その釣るというのは、具体的にどうするんですか?」

「それをこうすんだよ」

 俺は手本を見せるように、釣り糸を小川に投げる。あとは魚がかかるのを待つだけなので、俺はユフィにレクチャーする。

「これをこう持って、さっき見せたように投げるんだよ」

「分かりました」

 俺が見せた通りにユフィは川に釣り糸を投げ込む。するとまるでそのタイミングを待っていたかのように、竿が引いた。

「うお、マジか」

「え? え? すごいチカラで引っ張られるんですけど」

「魚が早速引っかかったんだよ。ほら、引っ張るぞ」

「は、はい」

 俺はユフィの背後から竿を持ち、彼女と一緒に竿を引っ張る。小川にいる魚とは到底思えないくらいの力強い引きに、俺は圧倒されながらもユフィに力を貸す。

「お、重いです」

「もう少し我慢しろ!これを釣り上げれば、しばらくは食に困らないぞ! どおりゃあ!」

 そして力が最大限になった時、ようやくそれを釣り上げる事に成功する。巨大なその影は宙に舞い、そして尻餅をついた俺の膝の上に落ちてくる。

「え?」

「え?」

 だけど落ちてきたのは待望の魚ではなく、

「もう何だよ!折角の久しぶりの食材だと思ったのに……あれ?」

 猫耳を頭に生やした、一人の少女だった。

「誰だお前ら」

 それはこっちの台詞なんですけど。

 ■□■□■□
 釣り上げられた猫耳の少女。とりあえず俺は事の経緯を説明すると共に、彼女の事情も聞こうとした。

「 じゃあお前らがアタシを釣ったのか?」

「まあそうなる」

「つまりアイツの手先か! ならば、貴様は敵だ!」

 だがどこをどう間違ったのか、猫耳少女は、こちらに敵意をむき出しにして、襲いかかってきた。

「ま、待て話を」

「落ち着いてください、ネコさん!」

 だがそれはユフィが躊躇いもなしに放った水の魔法により、乾きかかった体が再びずぶ濡れになると共に治った。

「なあどうしてアタシは、冷静になるどころかずぶ濡れになっているんだ?」

「文句はユフィに言ってくれ。俺は何も指示してない」

 仕切り直し。

「ムジントウ? ここはそういう場所なのか?」

「正しい名前は違うが、この島はそういう島らしい」

「らしいって、分からないのか?」

「今の所はな。何せ俺やユフィも今日この島、もといこの世界にやって来たからな」

「世界って、まさかここはアタシが知っているラグノワーズじゃないのか?」

「そのラグノワーズっていう世界は知らないけど、恐らくは」

 とは言っても、この世界の正式名称も分からないから、それかそれじゃないかまでは断言できない。

(そういえばこの世界の名前も、島の名前も教えてもらわなかったな)

 島はともかくとして、飛ばす世界くらいは教えて欲しかった。

「とりあえずお前は敵ではないんだな。アタシに水をかけたその女は別として」

「いや、ユフィも敵ではないからな」

 とりあえず誤解も解けたので、改めて自己紹介。

「アタシはキャトラ。見ての通り猫だが、よろしくなツバサとユフィ」

 この世界にやって来て、三人目の仲間、猫人間(正式名称は分からないけど、そう呼ぶ事にした)のキャトラが仲間になり、改めて魚釣りを再開。

「なあなあ、魚獲るのか?」

「そうだけど。食べ物ががないから、自分達で用意するしかないんだよ」

「なら少しだけ待ってて」

 そう言うとキャトラは、自分が釣り上げられた小川へと飛び込んだ。さっき乾かしたばかりなのに、何をやっているのだろうと小川を眺めて数分後、両手に抱えきれないほどの魚を持ったキャトラが帰ってきた。

「はい、獲ってきたよ」

「よくこんな小川でそんなに魚を獲ってきたな?!」

 わざわざ時間をかけて釣竿を作った俺の努力を返してほしい。とりあえず当面の食材の問題はいとも簡単に解決。
 したのはいいのだが、

「ところでツバサ」

「ん?」

「アタシは何を食べて過ごせばいいんだ?」

「何って今獲った魚があるだろ?」

「いや、アタシ魚が苦手なんだ。もっぱら肉を好む」

「何でそれを先に言わないんだよ! あと、猫が魚が苦手なのはどうかと思うぞ!」

 ユフィの力を借りて、魚を焼き終えたところで何とキャトラの魚嫌いが発覚。結局俺達は魚以外の食材を探す事に。

「まあ毎日魚も流石に飽きるから、結果的には探さなきゃいけなかったから、いいけどさ」

「なら結果オーライじゃん!」

「そういうのは料理する前に言ってくれよな」

 食材と拠点の警備の為にユフィには留守番してもらう事にして、俺とキャトラは深い森の中へと歩みを進めるのであった。

「ツバサ」

「今度は何だよ」

「できればお肉が食べたい」

「少しは自重しろ!」

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