チートなはぐれ魔王の規格外な学園生活

金田拓也

18最凶の誕生

あれは、それから数日後のことだった。
ドアがノックされる音が聞こえる。
フェリド「全く。最近は尋ねてくるのが多いなぁ」
と文句を言いながらドアをフェリドは、開けた。
フェリド「なんのよう…!」
ごっふ。とフェリドの口から声が漏れ出る。
シュウ「フェリド?どうしたんだ?」
不思議に思いそちらに行こうとすると
フェリド「来るなぁ!」
そう叫ばれる。何かあったのかと思い、慌てて隠れる。
何やら音が聞こえるがなんの音かは、分からない。扉が勢いよく閉まる音が聞こえる。
そっと覗こうとした時、何者かに引っ張られる。
瞬間的に驚いて、そちらを見ようとすると抱きしめられ頭を優しく撫でられる。それで相手がフェリドだと分かる。よくやられる事だ。
シュウ「フェリドどうしたんだ?」
その手が少し震えてるような気がする。
そこでドアが何かと激しくぶつかった音がする。フェリドは、それを気にせずにシュウを撫でる。
フェリド「どうもしないさ。こうしたくなったんだ」
その声音は優しく、いつものような覇気が感じられなかった。
フェリド「…シュウ。私の事…好きか?私は…いい親だったか?」
なんだろう。不思議とこの時間に幸せを感じてしまう。外では今でもドアを壊そうとしてるんじゃないかってぐらい何かがぶつかる。
シュウ「…な、なんだよ突然。いい親だったかは、分かんないけど、フ、フェリドは、ずっと一緒にいてくれるんだろ?」
てれながからそう言うと、フェリドは、力なくあははと笑う。
フェリド「ずっと一緒にはいられないなぁ。でも、今は一緒だ。…なぁ。一度だけ抱きしめてくれないか?」
それに照れながらも抱きしめ、二人で抱き合うような形になる。フェリドはいつもいい匂いがするのに、今日はその匂いの中に変な匂いがした。
フェリドは、幸せそうな顔をすると
フェリド「ありがとシュウ。…もうちょとだけ頑張るよ」
そう言ってフェリドは強く抱き締めてきた後、聖剣を出現させる。
シュウ「フェリド?どうしたんだ?」
それにフェリドは、答えずただ、名残惜しそうに抱き締めている力を緩めていく。そして、床を蹴り勢いよく飛び出しドアを開けて外に駆け出して行く。
そこで目に入る。外からは、男達の叫び声が聞こえてくる。しかし、それがどこか遠くに聞こえる。先程までフェリドがいた場所には真っ赤な血が広がっていた。
シュウ「な、なんで!フェリド!嘘だろ!」
そう言ってシュウも慌てて外に出て行く。
外には沢山の死体がある。その中にフェリドは、いない。
その死体の山を、おぼつかない足で歩いていく。その時
「…シュウ?」
そう声をかけられる。とても弱々しいが、いつも聞いた声だ。
シュウ「フェリド!」
そう叫んで呼ばれた方を見ると、家に背もたれを預けている状態で座っていて、胸には剣が刺さっていた。胸や、お腹、口元からも血が溢れでている。
「いた!こいつだ!このガキもだ!」
そう叫んでる男を見ると、そいつはこの前フェリドが助けた男だった。
それに隣にいた鎧の男は肩をすくめると
「悪いな。自分が魔族に生まれてきたことを後悔するんだな」
そう言って持ってた剣で刺そうとした時、その男の頭に聖剣が刺さる。
それにフェリドに助けられた男が狼狽の声を上げる。
「ヒィィ!こ、この役立たずどもが!」
シュウ「フェリド!」
とシュウは叫びフェリドに近づく。フェリドは震える手でそっとシュウの頬に手を当てると
フェリド「…強くなくてもいい。弱くてもいい。生きろ」
そう言って手が落ちる。
シュウ「嫌だ!いやだいやだいやだいやだいやだ!フェリド、お前は俺の全てなんだ。頼むから行かないでくれよ、フェリド!」
ずっと続くと思ってた。この生活が。幸せだった!心底そう思う!なのに!なのに!
シュウは、もう力の入ってない手を握りしめた。
シュウ「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫ぶ。初めは悲しみ。深い闇に囚われるように。次に来たのは、知らない感情。いや、知ってはいる。毎日毎日受けていたのだから。怒りと呼ばれる感情を。
そこであまりにも遅すぎる。力の目覚め。体中に黒い炎が纏わりつく。そして、剣が現れた。フェリドの聖剣とは正反対の。あまりにも禍々しい剣だ。
『汝は何を望む』
「俺は、俺はー」
そこでふと過去の思い出がよぎる。

シュウ「フェリドちょといいか?」
そう言ってシュウは、フェリドの寝室を開ける。
フェリド「なんだ?おやすみのキスでもしにきたか?」
シュウ「ち、ちげぇよ」
と慌てて否定するシュウをフェリドは楽しげに笑う。
フェリド「で、何の用だ?」
シュウ「せ、聖剣の使い方を教えてほ、欲しいんだ」
と、もじもじしながら恥ずかしそうに聞くシュウに口元を綻ばせると
フェリド「それを聞いてどうするかは知らんが、聖剣と条約を結ぶんだ。大抵は誰かを守るためってのが多い。その条約に基づいてのみ聖剣は使えるんだ。シュウも守りたい人のために力を使うんだ」
そう言ってフェリドは、嬉しそうに微笑んだ。

そんな今となっては意味のない思い出。何せ、もう死んでしまったのだ。自分が本当に守りたかったものは。ただ一つこの世界で大切だった人はもう守ることは出来ない。
なら俺は、それを俺から奪った奴ら、その関係者、それを許したこの世の中に対して力を使う。
シュウ「俺は壊して殺すために力を使う!この世にいる全ての俺の敵を殺して殺しつくす!!」
『よかろう。その怒りに身を任せ命ある限り暴れ回るといい』






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