チートなはぐれ魔王の規格外な学園生活

金田拓也

13、勝負

悲鳴が聞こえた試合会場に二人は走って行く。そのスピードは凄まじく、かなりの手練れの人間でも、いや、あるいは魔族でさえも目で追えないものであろう。しかし、それでも遅すぎた。もうすでに罠に嵌められていたのだ。

ことは遡ること少し前のこと
エリカは観客席にいた魔王とベルが走り去って行くのが視界に入った。それだけで魔族が何らかの形で仕掛けてきた。あるいは彼らが魔族を見つけたのが分かった。魔族であり、はたまた、その王でもある彼らが協力してくれているのだから私は私の出来ることをしなくては。そんな気持ちにかられていると
「よう。人間ども!俺様が来てやったぜ!」
そんな声が聞こえそちらに視線を向けると、頭には角があり、背中からは翼が生えていて腰から尻尾が出ている。まさに見たままの魔族である。
観客席にいる生徒達は混乱しており、逃げるのか戦うのか葛藤していた。たしかに魔族を倒すために訓練して来たのである。いざ魔族が来たら逃げては意味がないと思っているのかもしれない。だが、それは相手の魔族が自分と近い実力であればの話だ。この魔族は間違いなく強い。
エリカ「みんな逃げて!」
とエリカが声を上げる。すると魔族はこちらを見ると
「おい。何勝手なことしてんだ?」
(何、この威圧。こいつただの魔族じゃない。私で勝てるだろうか。せめて聖剣が使えれば)
と弱気になっている自分に気づき、力強く足を一歩前に出す。
エリカ「安心しなさい。あなたの相手は私がやるわ」
「そうか。俺様は魔王が一人カイザーだ」
魔王は何人もいるの?そんな疑問を抱えつつも、目の前の敵を見据えた。
エリカ「エリカよ」
エリカがそう言うとカイザーは、笑いながら
カイザー「だがよ。観客は必要だよな?」
そう言うと、上に炎の球を打ち上げ、それが上空で爆発すると、この場所を覆うように広がった。それは、まるで火の結界のようだ。
しまった。とも思うが私が今勝てばなんの問題もない。そう思い腰にあるレイピアを抜いた。
カイザー「いいね。いいよ!さぁ。俺様をせいぜい楽しませろなよなぁ。人間!」
エリカは力強く地面を蹴る。そして相手との間合いを詰める。高速でレイピアの突きを繰り出すが、当たり前のように相手は避けた。
カイザー「はははは!こんなもんかお前の力はよぉ!」
それにエリカは薄っすら笑うと
エリカ「安心しなさい。これからよ」
そう言うと、(身体強化)と心の中で唱える。
するとエリカのスピードが跳ね上がる。
エリカのことを下に見ていたカイザーは、その猛撃に後ろに下がろうとする。だがエリカに片足を踏まれており、体勢が崩れる。
そこに会心の一撃をおみまいする。物凄いスピードでレイピアがカイザーの顔めがけ飛んでくる。レイピアの先がカイザーの鼻先に届く瞬間。ほんとに一瞬の出来事だった。知覚した時には、レイピアが破壊されていた。だが目だけはしっかりとらえていた。カイザーの尻尾がとんでもないスピードで迫りレイピアを破壊したのだ。
今あるのは絶望だけだ。完全に体勢を崩してしまっている。
かく言うカイザーもそのはずなのだが、カイザーの翼が動き、一度羽ばたかせるだけで、カイザーの体が元の体勢に戻っていく。結果として、体勢を崩しているのはエリカだけだ。
カイザーはニヤっと笑うと
カイザー「今のは良かったぜ。耐えろよな」
と言った瞬間。お腹を殴られる。
とてつもない痛みに襲われる。
体が宙に浮く。が飛んでいくことはなかった。尻尾が体に巻きついているからだ。血が口からです。
そのままカイザーの目の前まで動かされると、
カイザー「お前綺麗な顔してんな。顔は勘弁してやるよ」
そう言うとありとあらゆるところは殴られる。
途中情けない声が我慢できず何度でたことか。もう覚えてない。
血だらけで頭を持たれ、上に上げられる。もう力が入らず、だらんと上にあがる。
「キャァァァ」とそこで悲鳴があがる。

そして、現在に遡る。
ベル達はその血だらけのエリカを見ることとなった。











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