スーパーウルトラ大冒険(仮)

極大級マイソン

第9話「ダンジョン攻略」

 第二のメインクエストも達成した一行。
 次なる第三のメインクエストを受けようとするが、ここで彼らに壁が立ち塞がった。

「金がいる?」
「そうなんだ。第三のメインクエストをクリアするには、ショップで『万能鍵』っていうアイテムを買わないとならないそうなんだけど、これが恐ろしいほど高くて困ってるんだ」

 オオヤマは先程ギルドで確認した、メインクエストの内容について振り返る。
 第三のメインクエストは、ダンジョンの攻略。しかしダンジョン内には鍵が掛かった扉があり、それは『万能鍵』ではないと開けられないそうだ。

「その万能鍵は、いくらするんだ?」
「一つ購入するのに所持金全てを使い果たす魔法が……300個買える値段だ」
「はぁ!? そんなの絶対に無理じゃねーか!?」

 セイコーが吠えるのも無理はない。通常プレイでそれだけの金を稼ぐのは不可能に近いのだから。

「で、あまりにも無理難題な条件だったから、何か抜け道があるんじゃないかと情報を集めたんだ。すると、《鍵開け》のスキルを保有している仲間がいれば、低確率で扉を開けることが出来るのだとわかった」
「鍵開け、だと?」
「そして確認したところ、オレらの仲間であるファントムは、その鍵開けスキルを持っているのだそうだ」

 オオヤマとセイコーは、そっと側にいるファントムの方を振り向く。
 ファントムは、二人に見られて照れたように頬を掻いた。

「そうか、ファントムは盗人だったな!」
「ああ。万能鍵が無くても、ファントムが居ればその課題は解決する!」

 これでメインクエストを受ける上での条件は達成される。
 二人は喜んでファントムを連れて、早速メインクエストを受けて目的地へと向かう。
 街から少し離れた場所にある石山。そこの麓にダンジョンがひっそりと佇んでいた。
 ダンジョン内を進んで行くと、情報通り大きな扉が見えた。試しにオオヤマとセイコーで扉を開けようとしてみるが、ビクともしない。

「どうやらこれが例の鍵の掛かった扉みたいだな」
「よし、頼んだぞファントム!」
「あ、ああ。言っておくけど、あまり自信はないから。少し時間が掛かるかも知れないよ?」
「大丈夫大丈夫。誰もいねーし、焦る必要はないって。こんな場所にモンスターなんて現れるわけがないからな。ははっ!」

 セイコーが余裕気に笑い声を上げる。
 ファントムは少し躊躇ったが、ここで止まっていても仕方がないと思ったのか、鍵穴にピッキング用の針金を差し込んだ。

「どれくらいかかりそう?」
「さあ。しばらく待っていてよ」

 言われた通り、二人は誰もいないダンジョン内で暇を潰していた。
 そして数分が経過した頃。突然、ダンジョンの外側から何か動物の鳴き声のようなものが聞こえてきた。

「な、何だ!?」

 オオヤマが鳴き声に気付いた瞬間、ダンジョンの一本道から、複数の犬型のモンスターが三人目掛けて走りこんできたのだ。

「ええいっ! ボスバトルまでは平和だと思っていたのに結局コレかよ!!」
「泣き言は後だオオヤマ!! 来るぞ!!」

 モンスターの一体が、セイコーに飛びかかる。
 セイコーは盾でその突撃を受け流し、反対の手に持った剣でモンスターの胴体を切り裂いた。

「へっ! 盾付きの片手剣士スタイルも悪くねーじゃんか!!」
「今度はオレの出番だ。ゴーレム召喚!!」

 続いてオオヤマが、召喚獣を呼び出した。
 体長3メートル規模の石の怪物だ。しかし、この召喚獣が使い難いことを、オオヤマはこれまでの経験から重々承知している。

「だけど今回は、こいつだけじゃないんだよ!! 出でよっ! オレの新しい召喚獣、『グライダーホース』!!」

 オオヤマはそう叫んで、魔道具屋で購入した新しい魔法を唱えた。
 そして現れたのは、見るからに普通の馬だった。その名も『グライダーホース』。
 新たな召喚獣が姿を現したと同時に、オオヤマはグライダーホースの背に乗った。

「よしっ! ジャンプだ!!」

 主人の命令を受けたグライダーホースは、オオヤマを背に乗せた状態で高くまで跳んだ。
 これがグライダーホースの能力。強靭な脚からなる跳躍により空駆ける天馬の如く縦横無尽に戦うことが出来るのだ。オオヤマはこのトリッキーな馬の力に可能性を感じ、第二のメインクエストでゾンビを大量に倒した際に手に入れたお金を使い果たして購入することを決断したのだ。
 そんなグライダーホースの最大跳躍、なんと20メートルにも及ぶ!

「ギャフン!!」

 そして、オオヤマは天井に激突した。
 激突した衝撃により、グライダーホースは消滅し、オオヤマは重力に引かれて地面に落ちていく。

「あああああっ!? ダンジョンであることを失念していたあああああああああ!!!!」

 ベキョッッ!!という嫌な音が響いた。
 オオヤマは、しばらくのたうち回った後にその場で事切れてしまった。

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