スーパーウルトラ大冒険(仮)

極大級マイソン

第4話「盗賊団」

 脱獄に成功したオオヤマとセイコーは、とりあえずクエストが受けられるギルドへと足を踏み入れた。
 ギルドでは、オオヤマが一度カンバと一緒にメインクエストを受けに来た時に立ち寄っている。クエストが張り出されている看板の前に立ち、メインクエストを指差す。

「セイコー。俺は、このクエストを受けている途中に事故で脱落してしまった。ひょっとしたらカンバは、今このクエストをこなしている真っ最中なのかもしれない!」
「つまり、俺達もこのクエストを受けていけば、時期にカンバとも合流できるかもしれないってことか」
「そう言うこと! 早速、メインクエストである盗賊団の討伐へ向かおう!」

 そう言ってギルドを離れ、オオヤマとセイコーは盗賊団がいるとされている洞窟へと向かっていた。
 その道中で、大きな森の中を通る必要があり、二人はそこを急ぎ足に進む。カンバがどれだけ先に進んでいるのかはわからないが、一刻も早く合流したほうが良いと言うのが二人の総意だ。何故なら二人はこのゲームの説明を殆ど受けておらず、ナビガイドのいない状況では、下手な迷子よりも厄介なことだから。最悪、ゲームをクリアしないと一生ここから出られない可能性もある。
 そして森の中を足早に進むオオヤマとセイコーは、そこで薄汚れた服を着て腰に鞘を下げている人相の悪い奴らと遭遇した。

「あれが、クエストで言っていた盗賊共か?」

 オオヤマが口にすると同時に、盗賊共は腰から剣を抜いて二人に襲いかかってきた。
 慌ててオオヤマは、セイコーから貰ったツルハシで剣を防ぐ。
 盗賊は、次から次へと剣を放ってくる。所詮ツルハシでしかない武器以外持っていないオオヤマは、防戦一方の状態にいた。

「く、くそ! このままじゃあやられてしまう! セ、セイコーは大丈夫か!?」
「え、何が?」

 セイコーがオオヤマの方を振り向く。
 見ると、セイコーは既に自分を襲ってきた盗賊共をシャベル一本で倒していた。

「うそおおん!?」
「うそおおんは、こっちの台詞だ。こんな雑魚共、楽勝だろうが」
「いやいやいや、そんなはずねーだろう! だって装備差とか、相手と俺じゃ比べるまでもなくよえーだろう!?」
「でも俺は勝てた」
「後生だから助けてくださいいい殺されちゃよおおおお!!」

 セイコーは、ハァッと溜息を吐いて、オオヤマを襲っていた盗賊を後ろからシャベルで後頭部をガンと殴った。
 たちまち、盗賊は崩れ落ち、それを見たオオヤマはホッと安堵した。

「いやー強敵でしたね」
「それよりも森を抜けるぞ。はえーとこ彼奴と合流しねーと」

 倒した盗賊からは、アイテムなどは出てこないらしい。代わりに所持金がいくつか増えていた。
 セイコーとオオヤマがしばらく森を進むと、ようやくそれらしき洞窟を発見することが出来た。

「よし、行こうか!」

 オオヤマを先導に中へと突き進む。
 洞窟の中は、盗賊の住処となっているという情報だが、どうやらそれ以外にも巨大な蜘蛛が生息しているらしい。
 洞窟の奥を歩く二人は、その蜘蛛らしき生物と相対することになった。

「出やがったな蜘蛛野郎!! 俺のシャベルアタックを喰らいやがれえええ!!」

 セイコーはガンガンと次々に蜘蛛の頭と胴体に攻撃を喰らわせていく。
 蜘蛛は、その攻撃を受けながらもセイコーに反撃を繰り出すが、セイコーはそれらを巧みにかわした。
 結果、数十秒ほどで一体の蜘蛛を討伐。何とか蜘蛛も倒すことが出来るようだ。
 そして、更に洞窟を進むとまた蜘蛛が現れた。今度は二匹だ。

「おい、行くぞオオヤマ。あんな雑魚に遅れを取るんじゃねーぞ」
「そう言われても……」

 モタモタしている時間が惜しい。セイコーはオオヤマを待たずに蜘蛛に突撃した。
 奇襲には見事に成功し、セイコーは雲の脳天にクリーンヒットを与えた。
 現状では、一体の蜘蛛を相手取るしか出来ない。残りのもう一体の蜘蛛はオオヤマが相手をするしかないだろう。

「オオヤマ! 間違っても負けるんじゃねーぞ! ここでお前が死んだら終わりだからな! ……オオヤマ?」

 セイコーが振り返ってみると、オオヤマは既に死んでいた。

「まぢかよ」

 セイコーは無心にそう呟くが、敵の蜘蛛共はそれを待ってはくれない。
 結局、一度に二体の蜘蛛を何とか倒すことが出来たセイコーは、戦略的撤退を余儀なくされ、最初の街へ戻った。
 街に戻ってくると、そこには死んだオオヤマが噴水の前でうな垂れていた。

「……………………」
「おいクソ野郎。一個だけ言って良いか? ……お前ゲーム下手くそだろう」
「いや下手じゃねーし! ただ相手が普通に強いだけだし!!」
「序盤も序盤の敵じゃねーかよ。装備がゴミだからって、少しくらいは粘れよ。何瞬殺されてるんだよ」

 そう言われれば言い返すことは出来ない。
 実際のところ、オオヤマは元々ゲームが得意な方ではない。三人でゲームをやる時は、大抵オオヤマがビリ欠で終わるのがしばしばだ。
 そんな事は長年の付き合いから知っているセイコー。どうしたものかと打開策を考える。

「……しゃーない。また強奪するか」
「ご、強奪!?」
「お前が勝てねーのは装備がクソだからだ。ある程度強い武器を手に入れさえすれば問題はないだろう」
「馬鹿野郎。そんな事したらまた牢屋に逆戻りだぞ!?」
「だが、他にどんな手段がある」
「……それは」

 ゲームとはいえ、強奪はリスキーだ。
 しかし、他に具体的な方法が思いつかないオオヤマは、その場で口を閉ざした。
 すると、

「ふふふ、貴方達。お困りのようだね?」
「だ、誰だ!」

 二人が振り向くと、そこにはみすぼらしい格好の女が居た。
 彼は二人を見るや否や、こう答える。

「私はしがない盗人、名はファントムと言います。牢屋から解放してくれたお礼として、貴方達を助けに来ました」

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