異世界から勇者として呼ばれた平凡なボク

こうたん

[episode2] 使者来訪

「勇者様!寝ている場合ではありません!」
(なんだこの声…本の読みすぎで夢まで勇者様ごっこに侵食されてしまったのか…末期だ…)
「はやく起きて!頼むから!職務を追われちゃうから!起きてください!」
(職務?…どんな夢だy)
「痛っ!」
「やっと起きましたね…ケツキックは全世界共通…と。あ、起きて早々悪いんですが、着いてきてください。」
「……?」
「着いてきてください。」
「……?」
「着いてきてください。」
(これあれだ、なんか言わなきゃ永遠にリピートするやつだ。)
「まず…なんでボクの寝室に女子がいるんだい?」
「女子とは失礼な!立派な1500歳です!そんなことはいいので着いてき」
「せんごひゃっ?!」
「……話の腰を折らないでください!とにかく今は着いてきてください!」
「…はい。」
使者(?)らしき人に殺気を向けられている時点でまずいので素直について行くことにした…が

この少女

の ろ い

「…体が…動かない…この世界には異世界人に対する呪いでもあるのか!!!異世界転移にどれだけ時間がかかるのか…」
「…」
もう現実にこんなことあるわけないだろ、という常人の考えを放棄して少女とのコミュニケーションに努めた。
「異世界転移っていうのはどうやるの?」
「いくら勇者様でも最初から出来る代物ではないですよ…やり方は…」
「やり方は?」
「体を代償にするのです。」
「か、体を代償に?!」
「詳しく言うと…親指と中指を擦り合わせ、そこから勢いをつけて話すことで音をだし、その音に呼応した魔力が異世界へのゲートを開くのです。」
「………それって、指パッチンだよね。こういう」
パチンッ
グワングワングワングワングワン…バーーーーン
「え…」
「え…」
「ほんとにゲート開いた!」
「さすが勇者様!」
「いつも学校でやる時にはこんなん開かないのになんでだろう」
「ガッコウというのがどういう施設なのかは知りませんが、私の中の魔力が反応したのでしょう。それはともかく!急ぎましょう!」
「お、おう!飛び込むぞ!」

グワングワングワングワングワン………

そして平凡な勇者と使者は異世界へ飛び立った。

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