さよならの別れを君に

清水 裕斗

エピソード1:人呼んで迷探偵しおりん!!

どうしてこんなところに女の子一人でいるんだろう
それが俺の思った彼女に対する思いだった。
先程も言ったが本来旧校舎には立ち入る者は少ないのだ。立ち入る者がいるとすれば非行を行う者や……
そういった十八禁展開な事を行う者達がほとんどだ。
だが彼女はタバコなどを吸っていた様子はないし、性行為を行う様子も無い。ならば何の為にこんな所に居るのか謎が深まるばかりだ。しかも手には虫眼鏡を持ち室内なのにぶかぶかの帽子を被り制服の上にはガウンを羽織りその様子はまるで探偵の様だった。


謎の探偵姿の女の子に興味は惹かれるが俺は 別に彼女と話そうとは思わない。無意味に首を突っ込む事それで俺は昔、大失敗を犯してしまった。相手を壊してしまうくらいなら俺は関わらない。それが最善の選択肢だ。
だから俺は黙って彼女の横を通り過ぎようとした。
だが、その最善の選択肢は相手によって破壊される事になってしまった。

「君が犯人だ!!!」

唐突に告げられたその言葉に俺は戸惑いを隠す事が出来なかった。

……一体何の犯人なんだ?
と思い、俺は高校生活初めて自分から聞き返した。

「………犯人?」

さも自分のお手柄の様にドヤ顔しながら
俺に話しかけてきた彼女は推理の説明をしだした。

「実は最近、窓ガラスを割る事件が起きてるんだけど
そこで私は推理したの今までの状況では毎回
黒のインクがぶちまけられてる事から……」

「事から?」

「犯人は黒が好き!!!」

「はい?」

今年一番の驚きだ。何コイツ馬鹿過ぎる

「で、それと俺が何か関係が?」

「……君の服は、、黒のブレザー!!!」

「はい、制服ですからね」

「つまり黒が好き!!」

何コイツもしかして話し聞かないタイプ?
うわ〜嫌なタイプだ。はやめに論破して帰りたいな。

「ムッフフ、ぐうの二文字もでないのかい?
それは仕方ないなんたって完璧に犯人だもんね!
やったーー♡お手柄だぁーー!!」

「いや、そもそもなんで黒が好き=犯人ということに
なってるんですか?」

そう言うと彼女はムクッと顔を膨らませながら言った。

「だ〜か〜ら、黒のインクがぶちまけられてるから
黒が好きでしょ!!」

「えっと、初対面の方に言うのはちょっとアレなんですけど……馬鹿?」

「ち、違うもん!だって君はものすごく怪しいから
犯人なんだもん!!」

「怪しいというと?」

「旧校舎にいる」

「なんでそれが犯人に結びつくんですか?」

「分かってる癖に……
窓ガラスが割れる場所は毎回旧校舎なの
しかも毎回同じ窓ガラスが割れる……言いたいこと分かるよね?」

「分かりませんけど?」

「だから、黒が好きで旧校舎にいる君が
犯人なの!!」

確かに俺は誰とも関わらない為に旧校舎から
一人で帰っている。その窓ガラスが割れるのが旧校舎
だったら確かに俺が疑われるのも無理は無い。
コイツ何も考えてないわけでは無いんだな。
しかし、妙な点もあった。
何故毎回同じ窓ガラスが割られるのか?
それと何故黒のインクがぶちまけられているのか?
多分その謎を解く事が俺の無実を証明し、犯人を捕まえる唯一の方法だ。

「きゃーーー!!!」

ーーん?
二人はその叫び声を聞き、そこまで考えていた事を
一度中断してその声が聞こえた場所へと向かった。

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