お前がいなイセカイなんて

長谷 ユウキ

俺ががらにもなく仕事しているの巻

 俺ほどの働き者はこの世に存在しないね。存在しないと断言できるね。
 だってあれだよ。昼間っから仕事してんだよ。
 こんなとこダチに見られたら「どうしたの朝何か変な物食べたの?」とか、真夏日に「今日は雪が降るかもね」みたいに俺の急激な変わり様がいろんなもんに影響及ぼすんじゃないか、みたいなこと言われかねないと思う。
 まぁ友達いなかったから分かんないけど。
  はぁ、いつもの癖で自虐ネタにはしってしまった。
 あぶないあぶない(汗)。
 こういうことは隅に置いとくとして…現状俺に言えることはズバリ!
 
 「 ーーめんどい............」

   
 早く家に帰ってこの前大量に買ったラノベを消化しなければならないというのに、なぜ俺は人助けに貢献しているのか、そんなの簡単さ。俺だからである。もう一度言おう。

 「俺だからでっぃ痛っ!」
 自己陶酔にひたっていると背後から、怒号ともに鉄槌が降ってきた。
    
 「おい、坊主シャキッと働けシャキッと」
 すげぇイカつくて、ガタイのいいこのおっさんは、この店の店主である。てか坊主じゃねぇし。
 まぁ働かせてもらってるから何も言えないんだがな。なんて考えてると早速客が来た。
 リザードだ。
 
 「りんご4つくれ。」

 「はいよ、毎度あり」
 俺は手馴れた手つきでりんごを包み華麗に渡す。
 さながら、りんごを包む歴30年の職人のように。
 俺カッコイイ。

 「そう言えば兄ちゃん見ねぇ顔だな。格好といい、なんといいここらじゃ見ねぇぞ」

 「そりゃそうだぜ。だって俺は日本出身だからな」
 だんだん俺の顔は曇りだす。まるで思い出したくないことを思い出したかのように。

 「ニホン?なんだそりゃ、聞いたことねぇな
 でそのニホンからはどうやって来たんだ?」
 俺は忘れたかったのかもしれない。だからがらにもなく仕事してたんだと思う。
 だってありえねぇだろ。あんなゲームとかアニメでよくある現象が自分にも起こるなんてさ。
 まぁ正直言うと喜びが勝ってんだけどね。だってカッケーじゃん。テンプレでいくと俺勇者じゃん。
 だから俺はキメ顔でこう言った。

 「異世界転生さ!」

ここから話は遡る。俺たちの日常に終止符を打ったあの出来事へと。

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