ニート 異世界で チート になる。
10話 最初の街〔オリジナ〕
「ここがオリジナ......!」
俺たちはあの森で出会ってから1日、魔物に襲われない結界の道をひたすら歩いた。
そして今、ようやく俺は最初の街〔オリジナ〕に着いた。長かったなー。
街に入るのに許可証と身分証明書が必要だそうだから俺の分を正門の職員に作って貰っている。
正門はヨーロッパ風の大きな門で、鉄の扉が左右に開いている。その脇にある塔が見張り兵の常駐所だ。
リリィはこの街に滞在中だから許可証を見せるだけで良いそうだ。
大きな門に圧倒されていると、リリィがちょんちょんと俺の肩をつついた。
「ちょっと、職業を聞かれてるわよ。なにボーッとしてるのよ?」
リリィは塔の方を指で指している。あ、許可証作ってるんだった。忘れてたよ...。
「職業なんですが、あなたは冒険者ですね?」
「...はい。そうです。」
魔物を倒してるのだから冒険者だろう。
それが最後の記入欄だったらしく、職員のおじさんは紙に大きなスタンプを押して俺に手渡した。
「これが許可証ね、次は身分証明書なんだけど...こっちに来てもらえるかな?」
常駐所の奥におじさんは入っていく。俺も続いて入ると数人の他の職員がこっちを向いた。
「お邪魔します...。」
反射的にそう言う。そうしたらおじさんに律儀だねぇと笑われた。あれだけ魔物を殺してきたのに俺の中の日本人は健在みたいだ。
「魔力の質で個人を認識するんだ。これに魔力を流してくれ。君は〔力なし〕じゃないな?」
おじさんが手にしているのは水晶の柱の置物。
力なしって? 俺、筋力無いよ...?本気で殴ってもネズミも死ななかったくらいの攻撃力しか無い...。
「ん?もしかして流し方を知らないのか?」
おじさん、どっちも分かりません。
「はい...。」
おじさんは片手に水晶を持つ。少しして水晶が赤く光りだした。
「これが魔力を流した状態だ。手に意識を集中してごらん。利き手のほうがやりやすいかな。」
おじさんが俺に水晶を渡してきた。
言われた通りに意識をする。と、右手が白く光りだした。
職員の人たちがそれを見て騒ぎ出す。なんだ?
「こりゃ驚いた!あんた凄いな!こんなに綺麗な魔力は始めてだ!」
「ああ、最近、沢山 人が来たけどこんな奴はあんた一人だけだよ!」
「物凄く透き通ってる!こんな魔力は勇者様くらいだな!」
お?今聞いててなにか引っ掛かったぞ。
おじさんは水晶の光を俺の身分証明書に照らしている。それで認識するようにさせるのだろう。
「沢山人が来たって言いましたよね?その人たちは今この街にいるんですか?」
「あ、ああ。移住者が多くてな。対処が大変だったよ。」
!!!
俺の食い付きに軽く引かれぎみの職員のお兄さん。
「小さい子を連れた大柄な男はそのなかにはいましたか?!」
「えっ、いや...どうだったかな...?」
顎ヒゲを弄りながらおじさんはうなる。
「お前らは?シャジャール、お前はどうだった?」
シャジャールと呼ばれたお兄さんが奥の休憩スペースから出てくる。
銀髪のカッコいい背の高い人だ。リリィが見とれている。
「自分は...あ、いましたね。細い集団に一人だけ体格の良い奴が。確か男の子を担いでいました。」
「ホントに?!いつ?」
「は、はい。一昨日です。滞在期間はたしか1週間でした。」
ってことはあと5日。オリジナに来るのは分かっているから向こうは街中て探してるのだろう。
俺も早く行って会いに行かなくちゃ。
「ありがとうございました!もう入れますよね?」
「ああ、銅貨1枚で入れる。身分証明書もつくったから全部で銅貨2枚だ。」
おじさんがピースするように値段を表す。そりゃそうか。
「あの、金貨しかないのでこれで良いですか?」
俺は握った手にストレージから金貨を1枚取りだしテーブルに置く。
「あんたも金持ちだねぇ!ちょっと待ってな。」
おじさんは金貨に驚いた。そんなに価値が高いのかな?
「あなた、手に金貨をずっと握ってたの?!」
リリィが困惑した表情で聞いてきた。あれ?ストレージってこの世界の人は持ってないのかな?
神様があっさり皆にくれたから普通にみんな出来るのかと思っていたよ。
「いや、道中落とさないように裾に縫い付けてあったんだよ。」
ふーん と納得したようなしていないような反応だ。やっぱり怪しいかな?
奥からおじさんが戻ってきた。手に袋を持ってきている。ジャラジャラいっているからお金が入っているのかな?
見ると銅貨と銀貨が入っていた。
「最近、金貨を出してくる奴等が多いから前もってつくってあるんだよ。」
奴等ってのは俺と同じ〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕の強制参加者たちだろう。一人1枚金貨を貰っているはずだから。まぁ、俺は追加で100枚あるけど。
「はい、銀貨9枚に銅貨8枚ね。」
ファンタジー世界でよくある麻布の巾着が目の前に置かれる。
ありがとうございます と言って受け取る。
金貨1枚は銀貨10枚で、銅貨は10枚で銀貨1枚か。分かりやすくていいな。さしずめ、100玉と1000円て10000円ってところかな?
「滞在期間は1週間。1週間以内ならいつ出ても構わない。ただし、1週間たっても滞在していたら銀貨1枚の罰金がある。払えなかったら半月の牢獄暮しだ。」
こわっ!怖いな...。ちゃんと期間は気にしていないと...。
「じゃあ、行ってこい!」
「楽しんでな!」
塔の職員さんや兵士が手を振ってくれた。俺とリリィも手を振り返す。
優しい人だったな。
外で人に会うのも楽しいかもしれない。
大きな門をくぐり、俺たちはオリジナに入った。
俺たちはあの森で出会ってから1日、魔物に襲われない結界の道をひたすら歩いた。
そして今、ようやく俺は最初の街〔オリジナ〕に着いた。長かったなー。
街に入るのに許可証と身分証明書が必要だそうだから俺の分を正門の職員に作って貰っている。
正門はヨーロッパ風の大きな門で、鉄の扉が左右に開いている。その脇にある塔が見張り兵の常駐所だ。
リリィはこの街に滞在中だから許可証を見せるだけで良いそうだ。
大きな門に圧倒されていると、リリィがちょんちょんと俺の肩をつついた。
「ちょっと、職業を聞かれてるわよ。なにボーッとしてるのよ?」
リリィは塔の方を指で指している。あ、許可証作ってるんだった。忘れてたよ...。
「職業なんですが、あなたは冒険者ですね?」
「...はい。そうです。」
魔物を倒してるのだから冒険者だろう。
それが最後の記入欄だったらしく、職員のおじさんは紙に大きなスタンプを押して俺に手渡した。
「これが許可証ね、次は身分証明書なんだけど...こっちに来てもらえるかな?」
常駐所の奥におじさんは入っていく。俺も続いて入ると数人の他の職員がこっちを向いた。
「お邪魔します...。」
反射的にそう言う。そうしたらおじさんに律儀だねぇと笑われた。あれだけ魔物を殺してきたのに俺の中の日本人は健在みたいだ。
「魔力の質で個人を認識するんだ。これに魔力を流してくれ。君は〔力なし〕じゃないな?」
おじさんが手にしているのは水晶の柱の置物。
力なしって? 俺、筋力無いよ...?本気で殴ってもネズミも死ななかったくらいの攻撃力しか無い...。
「ん?もしかして流し方を知らないのか?」
おじさん、どっちも分かりません。
「はい...。」
おじさんは片手に水晶を持つ。少しして水晶が赤く光りだした。
「これが魔力を流した状態だ。手に意識を集中してごらん。利き手のほうがやりやすいかな。」
おじさんが俺に水晶を渡してきた。
言われた通りに意識をする。と、右手が白く光りだした。
職員の人たちがそれを見て騒ぎ出す。なんだ?
「こりゃ驚いた!あんた凄いな!こんなに綺麗な魔力は始めてだ!」
「ああ、最近、沢山 人が来たけどこんな奴はあんた一人だけだよ!」
「物凄く透き通ってる!こんな魔力は勇者様くらいだな!」
お?今聞いててなにか引っ掛かったぞ。
おじさんは水晶の光を俺の身分証明書に照らしている。それで認識するようにさせるのだろう。
「沢山人が来たって言いましたよね?その人たちは今この街にいるんですか?」
「あ、ああ。移住者が多くてな。対処が大変だったよ。」
!!!
俺の食い付きに軽く引かれぎみの職員のお兄さん。
「小さい子を連れた大柄な男はそのなかにはいましたか?!」
「えっ、いや...どうだったかな...?」
顎ヒゲを弄りながらおじさんはうなる。
「お前らは?シャジャール、お前はどうだった?」
シャジャールと呼ばれたお兄さんが奥の休憩スペースから出てくる。
銀髪のカッコいい背の高い人だ。リリィが見とれている。
「自分は...あ、いましたね。細い集団に一人だけ体格の良い奴が。確か男の子を担いでいました。」
「ホントに?!いつ?」
「は、はい。一昨日です。滞在期間はたしか1週間でした。」
ってことはあと5日。オリジナに来るのは分かっているから向こうは街中て探してるのだろう。
俺も早く行って会いに行かなくちゃ。
「ありがとうございました!もう入れますよね?」
「ああ、銅貨1枚で入れる。身分証明書もつくったから全部で銅貨2枚だ。」
おじさんがピースするように値段を表す。そりゃそうか。
「あの、金貨しかないのでこれで良いですか?」
俺は握った手にストレージから金貨を1枚取りだしテーブルに置く。
「あんたも金持ちだねぇ!ちょっと待ってな。」
おじさんは金貨に驚いた。そんなに価値が高いのかな?
「あなた、手に金貨をずっと握ってたの?!」
リリィが困惑した表情で聞いてきた。あれ?ストレージってこの世界の人は持ってないのかな?
神様があっさり皆にくれたから普通にみんな出来るのかと思っていたよ。
「いや、道中落とさないように裾に縫い付けてあったんだよ。」
ふーん と納得したようなしていないような反応だ。やっぱり怪しいかな?
奥からおじさんが戻ってきた。手に袋を持ってきている。ジャラジャラいっているからお金が入っているのかな?
見ると銅貨と銀貨が入っていた。
「最近、金貨を出してくる奴等が多いから前もってつくってあるんだよ。」
奴等ってのは俺と同じ〔ワンモア・ミサラジー・オンライン〕の強制参加者たちだろう。一人1枚金貨を貰っているはずだから。まぁ、俺は追加で100枚あるけど。
「はい、銀貨9枚に銅貨8枚ね。」
ファンタジー世界でよくある麻布の巾着が目の前に置かれる。
ありがとうございます と言って受け取る。
金貨1枚は銀貨10枚で、銅貨は10枚で銀貨1枚か。分かりやすくていいな。さしずめ、100玉と1000円て10000円ってところかな?
「滞在期間は1週間。1週間以内ならいつ出ても構わない。ただし、1週間たっても滞在していたら銀貨1枚の罰金がある。払えなかったら半月の牢獄暮しだ。」
こわっ!怖いな...。ちゃんと期間は気にしていないと...。
「じゃあ、行ってこい!」
「楽しんでな!」
塔の職員さんや兵士が手を振ってくれた。俺とリリィも手を振り返す。
優しい人だったな。
外で人に会うのも楽しいかもしれない。
大きな門をくぐり、俺たちはオリジナに入った。
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コメント
抹っちゃん
リンクが切れるということで、他作品を読めなくなったので執筆活動をアルファポリスに変えます。読んでいただきありがとうございました。