ニート 異世界で チート になる。
8話 魔法を練習しよう
「絶対に捕まらないからな......!」
木の枝から飛び立つとすぐにファイヤーボールが飛んできた。頭がいいのか偶然なのかタイムラグまである。
「グルォォ!!」
グラウンドウルフたちが強靭な脚力で跳び上がり、ファイヤーボールを避けるために斜め飛行をしていた俺を引きずり落とそうとしてくる。
魔物って名前は伊達じゃないみたいだ、俺がいるのって地面から15メートルは越えてるからな!?
ガチッ!っと歯が噛み合う音が近くですると ひやっ とする。きっと今の俺の顔は蒼白になってる。
俺が怯んだ隙にリーフラビットが魔法のイバラで絡めて拘束した。
「なっ...!」
マジか!そんな魔法もあるの!?
ファイヤーボールを避けていて周囲の状況が分かっていなかった。
身動きのとれなくなった俺にグラウンドウルフが襲いかかる。
でっかい牙が迫る!
「〈インフェルノ〉ッッ...!!!」
とっさに範囲攻撃のインフェルノのをほぼ手加減なしでぶっぱなす。
閃光がはしり、大質量の炎が地面を舐めまわしていく。
俺の8割の力のインフェルノが、先ほどまで寝ていた木もろとも焼き付くし、跡には硬化した黒い地面が2アールほど拡がっていた。
「環境破壊して魔物から怒りを買うとかないよな?」
それで殺されて死ぬとかそんなオチ嫌だよ?
でも魔物が逆襲してくるとか、ありそうで怖い。
あー、考えていたらホントに来そうだ。これ以上フラグを立てるのはやめよ。
                                       ◆
一度に大量に倒したせいか魔物の数が少なくなったみたいだ。これまでだと進む度に襲われてたのに全然来ないよ。ラッキー♪
さっきの戦闘とこれまででレベルがまた上がった。現在のレベルは12、肝心のHPは17。その他の基礎ステータスは何故か一度も上がらず2のままだ。速度と魔力はそれぞれ120上がって速度51820で、魔力は8621120。偏りすぎていませんか?
攻撃力2ってどんなものか気になったから試しに草の根元にいた何のこともないネズミを掴まえて思いっきり殴ってみたところ、4発で気絶した。もう一度言うが、気絶した。死んだのではなく気絶した。
ネズミ相手にこれってヤバくない?!ヤバいよね?!
俺弱っ!
もう魔法系鍛えまくろう。うん。そうしよう。
ただ射っても 魔法を使った という経験にはならない。だから的が必要になる。ってことでそこらの木にファイヤーアローを射ちまくってます。
俺の動物化の種類に水属性のリーフィー・シー・ドラゴンがあるから、交互に〈チェンジ〉して放火と消火を繰り返してスキルのレベル上げをする。
飛びながら狙うからかなり集中が必要だ。
木が炭になったら的を別の木にかえて延々と繰り返す。
環境破壊だなんだって言ったけどもういいや。ほっとけ。
「〈ファイヤーアロー〉!」
最高20本同時射出可能となったファイヤーアローLv10を遠慮なく100メートルほど離れた木に射つ。
なぜそんなに遠いかというと木がなくなってきたからだ。草原から岩山にかわってきて植物が疎らにしか生えていない。
枯れた木はすぐに炭になってしまった。次の木は...あんなに遠いよ...。当たるかなぁ?
距離にしてざっと200メートル。
「まぁ、試してみるか。ファイヤーアローの射程はかなりあるし...。」
左手を木に向けて的を定める。
「〈ファイヤーアロー〉!」
3本の火矢が真っ直ぐ高速で飛んでいく。あ、ヤバっずれた。
枯れた草に火がつき炎上する。
急いで飛んで駆けつけてリーフィー・シー・ドラゴンに〈チェンジ〉。
リーフィー・シー・ドラゴンはドラゴンって言ってるが実在するタツノオトシゴだそうだ。だから飛べない。
ヘルプの〔アニマル・オーブ〕レア度表では普通の動物の中ではレアらしい。そのせいか魔法の威力も実用性も高い。使い勝手の良い動物だ。
ただし見た目は黄緑色のストレート髪の女の子だが。手のひらサイズの葉っぱが髪の毛に生えていて、現物はよく分からない生物のようだ。
日本語に直すと 葉っぱの海の龍 ってとこか。
「〈ウォーターボール〉!」
火が拡がってきていたから大きめの水球を放つ。ウォーターボールLv11が水しぶきをあげながら轟音とともに地面に叩きつけられる。
一瞬にして火は消え、辺りは一面水浸しになった。水田が拡がっているようにも見える。
「7割でこれって...本気撃ったらフィールドどうなっちゃうんだろう?」
人前では5割以下で使おう。うん。
しばらく飛んでいくとついに木が生えていなくなり、代わりに大岩にぶつけまくっている。
ズガッ!
ドゴーンッ!
バキバキ!
ガラガラガラ!!!
スパパパッ!
パラパラパラパラ
轟音が岩山に響き渡る。
もちろん俺の撃った魔法で、1回目の音はファイヤーアローが大岩を貫いて脆くしたもので、2回目はウォーターボールがヒビの入った岩肌を強打、そして岩が砕け、アクアカッターとシャドウクローが粉砕、欠片になった岩が落ちてきたものだ。
他の動物も使って、岩から岩への移動はウサギの大ジャンプで、魔物がいるところではバステトのハイドを使い、必要があれば朱雀と天竜を交互にかえて飛行、適度に魔物や岩に魔法を〈チェンジ〉を繰り返しながら撃ち込んでいる。
そのせいか岩山は日没前には綺麗な更地に変貌していた。
やり過ぎ?
                                             ◆
夜になった。俺は岩の上で焚き火をしている。
いつもなら木の上に逃げているところだが、あいにく木は全て俺がケシズミにしてしまった。じゃあ高い岩でも...と思ったがこれも既に破壊済だ。
綺麗に俺が更地にしてしまった。
だから仕方なく(自業自得だが)岩で寝ることにした。
遠くで ワオーン とウルフが遠吠えをしている。
焚き火をしていると魔物も流石に近寄らないみたいだ。これからはこうしよう。
ごろんっと岩に寝転がり、マントをストレージから出して体にかける。
季節は春のようで、地球と変わらないから暮らしやすい。
辺りはもう真っ暗で光なんてものは遠くにある街〔オリジナ〕の僅かな灯りくらいだ。
暗くて地面は全く見えない。だが、空は違った。
見上げれば満天の星空。
地球の夜空と違って、光の混ざることのない純粋な闇は星の僅かな光も通し、それぞれを際立たせている。
蒼い光は夜の濃さを、闇は沢山の星の光を。
地球では山とかに登らないとわからない天の川も、ここでは足元にも及ばない。
宝石を散りばめたような、美しい夜空。
「......。」
あまりの美しさに言葉が出てこない。
感動する作品ほど拍手や感想がでないとはこの事かと俺は星空を見上げながら微笑んだ。
ここに来て辛かったけど、それを忘れさせるくらいこの世界は綺麗だった。
輝く星たちに見守られながら、俺は眠りにおちていった。
明日も魔法の練習を頑張らなくちゃ......。
木の枝から飛び立つとすぐにファイヤーボールが飛んできた。頭がいいのか偶然なのかタイムラグまである。
「グルォォ!!」
グラウンドウルフたちが強靭な脚力で跳び上がり、ファイヤーボールを避けるために斜め飛行をしていた俺を引きずり落とそうとしてくる。
魔物って名前は伊達じゃないみたいだ、俺がいるのって地面から15メートルは越えてるからな!?
ガチッ!っと歯が噛み合う音が近くですると ひやっ とする。きっと今の俺の顔は蒼白になってる。
俺が怯んだ隙にリーフラビットが魔法のイバラで絡めて拘束した。
「なっ...!」
マジか!そんな魔法もあるの!?
ファイヤーボールを避けていて周囲の状況が分かっていなかった。
身動きのとれなくなった俺にグラウンドウルフが襲いかかる。
でっかい牙が迫る!
「〈インフェルノ〉ッッ...!!!」
とっさに範囲攻撃のインフェルノのをほぼ手加減なしでぶっぱなす。
閃光がはしり、大質量の炎が地面を舐めまわしていく。
俺の8割の力のインフェルノが、先ほどまで寝ていた木もろとも焼き付くし、跡には硬化した黒い地面が2アールほど拡がっていた。
「環境破壊して魔物から怒りを買うとかないよな?」
それで殺されて死ぬとかそんなオチ嫌だよ?
でも魔物が逆襲してくるとか、ありそうで怖い。
あー、考えていたらホントに来そうだ。これ以上フラグを立てるのはやめよ。
                                       ◆
一度に大量に倒したせいか魔物の数が少なくなったみたいだ。これまでだと進む度に襲われてたのに全然来ないよ。ラッキー♪
さっきの戦闘とこれまででレベルがまた上がった。現在のレベルは12、肝心のHPは17。その他の基礎ステータスは何故か一度も上がらず2のままだ。速度と魔力はそれぞれ120上がって速度51820で、魔力は8621120。偏りすぎていませんか?
攻撃力2ってどんなものか気になったから試しに草の根元にいた何のこともないネズミを掴まえて思いっきり殴ってみたところ、4発で気絶した。もう一度言うが、気絶した。死んだのではなく気絶した。
ネズミ相手にこれってヤバくない?!ヤバいよね?!
俺弱っ!
もう魔法系鍛えまくろう。うん。そうしよう。
ただ射っても 魔法を使った という経験にはならない。だから的が必要になる。ってことでそこらの木にファイヤーアローを射ちまくってます。
俺の動物化の種類に水属性のリーフィー・シー・ドラゴンがあるから、交互に〈チェンジ〉して放火と消火を繰り返してスキルのレベル上げをする。
飛びながら狙うからかなり集中が必要だ。
木が炭になったら的を別の木にかえて延々と繰り返す。
環境破壊だなんだって言ったけどもういいや。ほっとけ。
「〈ファイヤーアロー〉!」
最高20本同時射出可能となったファイヤーアローLv10を遠慮なく100メートルほど離れた木に射つ。
なぜそんなに遠いかというと木がなくなってきたからだ。草原から岩山にかわってきて植物が疎らにしか生えていない。
枯れた木はすぐに炭になってしまった。次の木は...あんなに遠いよ...。当たるかなぁ?
距離にしてざっと200メートル。
「まぁ、試してみるか。ファイヤーアローの射程はかなりあるし...。」
左手を木に向けて的を定める。
「〈ファイヤーアロー〉!」
3本の火矢が真っ直ぐ高速で飛んでいく。あ、ヤバっずれた。
枯れた草に火がつき炎上する。
急いで飛んで駆けつけてリーフィー・シー・ドラゴンに〈チェンジ〉。
リーフィー・シー・ドラゴンはドラゴンって言ってるが実在するタツノオトシゴだそうだ。だから飛べない。
ヘルプの〔アニマル・オーブ〕レア度表では普通の動物の中ではレアらしい。そのせいか魔法の威力も実用性も高い。使い勝手の良い動物だ。
ただし見た目は黄緑色のストレート髪の女の子だが。手のひらサイズの葉っぱが髪の毛に生えていて、現物はよく分からない生物のようだ。
日本語に直すと 葉っぱの海の龍 ってとこか。
「〈ウォーターボール〉!」
火が拡がってきていたから大きめの水球を放つ。ウォーターボールLv11が水しぶきをあげながら轟音とともに地面に叩きつけられる。
一瞬にして火は消え、辺りは一面水浸しになった。水田が拡がっているようにも見える。
「7割でこれって...本気撃ったらフィールドどうなっちゃうんだろう?」
人前では5割以下で使おう。うん。
しばらく飛んでいくとついに木が生えていなくなり、代わりに大岩にぶつけまくっている。
ズガッ!
ドゴーンッ!
バキバキ!
ガラガラガラ!!!
スパパパッ!
パラパラパラパラ
轟音が岩山に響き渡る。
もちろん俺の撃った魔法で、1回目の音はファイヤーアローが大岩を貫いて脆くしたもので、2回目はウォーターボールがヒビの入った岩肌を強打、そして岩が砕け、アクアカッターとシャドウクローが粉砕、欠片になった岩が落ちてきたものだ。
他の動物も使って、岩から岩への移動はウサギの大ジャンプで、魔物がいるところではバステトのハイドを使い、必要があれば朱雀と天竜を交互にかえて飛行、適度に魔物や岩に魔法を〈チェンジ〉を繰り返しながら撃ち込んでいる。
そのせいか岩山は日没前には綺麗な更地に変貌していた。
やり過ぎ?
                                             ◆
夜になった。俺は岩の上で焚き火をしている。
いつもなら木の上に逃げているところだが、あいにく木は全て俺がケシズミにしてしまった。じゃあ高い岩でも...と思ったがこれも既に破壊済だ。
綺麗に俺が更地にしてしまった。
だから仕方なく(自業自得だが)岩で寝ることにした。
遠くで ワオーン とウルフが遠吠えをしている。
焚き火をしていると魔物も流石に近寄らないみたいだ。これからはこうしよう。
ごろんっと岩に寝転がり、マントをストレージから出して体にかける。
季節は春のようで、地球と変わらないから暮らしやすい。
辺りはもう真っ暗で光なんてものは遠くにある街〔オリジナ〕の僅かな灯りくらいだ。
暗くて地面は全く見えない。だが、空は違った。
見上げれば満天の星空。
地球の夜空と違って、光の混ざることのない純粋な闇は星の僅かな光も通し、それぞれを際立たせている。
蒼い光は夜の濃さを、闇は沢山の星の光を。
地球では山とかに登らないとわからない天の川も、ここでは足元にも及ばない。
宝石を散りばめたような、美しい夜空。
「......。」
あまりの美しさに言葉が出てこない。
感動する作品ほど拍手や感想がでないとはこの事かと俺は星空を見上げながら微笑んだ。
ここに来て辛かったけど、それを忘れさせるくらいこの世界は綺麗だった。
輝く星たちに見守られながら、俺は眠りにおちていった。
明日も魔法の練習を頑張らなくちゃ......。
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