ニート 異世界で チート になる。

抹っちゃん

2話 天竜との約束

沢山の擬人化した動物が呼び込みしてるよ。
ここにきてやっとファンタジー感が出てきたね。

「らっしゃい!お嬢ちゃん、猫の〔アニマル・オーブ〕はどう?お嬢ちゃんの魔力量ならなれるよ?素早さも上がるし正確に的を討ちやすくなるよ?」

「私これにする!」

「おれも!」

「こんにちは兄ちゃんたち。早速だけどいのししはどう?一発が強いから良いわよ?」

「俺の〔アニマル・オーブ〕は雀や!短距離やけど飛行が出来るんやで!どうや、先着10名様や!」

「まじ?じゃあこれにする!」

へぇ、飛行が出来るのもあるんだ。

俺もはやく見つけないとな。
てか、ここやだな。俺、人のいるとことか嫌だし。顔を見られたくない。
狭くて人気のない道に進んでいく。

ドンッ!
走ってきた女の子にぶつかっちゃった。

「ご、ごめんなさい!」

倒れた女の子に手を差し伸べる。
小学生くらいだろうか。

「だい...だいしょうぶです!あのっ、そのっ!」

テンパってて何が言いたいのかわからないな。

「あのっ、こっちに......!」

パタパタと手招きする金髪の女の子について行くと。

「やぁ、ハルユキ殿。先ほどは娯楽神がすまなかった。」

開けた所で待っていたのは角の生えた大男。
藍色の和服で無精髭が印象的な厳ついおっさんだ。

「あなたは誰ですか?」

「わしは龍神じゃ。こっちは天、天竜じゃ。まぁ弟子じゃよ。わしらは謝罪をするために来たんじゃ。
すまんのう、娯楽神はああだからいけん。」

「はぁ......。」

「ニート、ニートうるさかったじゃろ。」

深々と謝罪されてしまった。
神に謝られるってなんか自分が怖い。

「あの、やめてください。ニートは本当ですし。」

「状況が理解できていない今、一人の神のせいでわしらまでそういう奴らだと思われてしまうものじゃからの。礼はするぞ。」

あーそうゆうこと。

「結構ですお礼なんて。」

龍神さまはフムというと何故か何かを一人で納得し始めた。
俺が見ているのに気付いたのかニコッと笑った。

「やはり、君は謙虚じゃのう。」

へ?そうかな?

・・・・・・。

「あ、あの、天竜さん、痛かったでしょごめん。」

とりあえず話をして気まずい空気を和ませよう。

と、それを聞いて天竜はふるふると首をふった。

「い、いえ、平気ですっ...!」

なんか顔赤くしてるよ。
なんで?

「あと、さん付けしなくていい....です。」

「どぉした 天。赤いぞ?もしかして...?」

「ちがっ...!違います!」

茶々を入れる龍神さまを押し退ける天竜さん。
しばらくモジモジすると、小さな声で呟いた。

「だって、嬉しいんだもん。気を使ってもらえるなんて。
他の子達は私が神獣だって分かると力をよこせとか、神に会わせろとか、家に帰せとかばっかり。
私は知らないし、むしろ無理やり連れてこられて力をあんな人達に渡せとか言われて、私も被害者なんだよ...?」

泣きそうな声が痛い。

それを天竜に 聞き、罵声を浴びせたのは俺達だ。
天竜も神と一緒だと考えて、神関係はすべて冷酷な実行者だと思い込んで、話も聞かずに。

罪悪感。

「ごめん。天竜のせいじゃないのに、勝手に決めつけて......ごめん。」

俺もその一人になるところだった。関係ない奴もいることを俺は分からなかった。詫びるのは俺のほうだ。

「ハルユキ殿が謝ることじゃない。顔を上げてな。」

ぽんっと俺の肩を叩く龍神さま。気にするなと笑いかけてくれる。

「優しい人の子よのう。そんな子がいてくれて嬉しいわい。」

「ありがとう、ハルユキ。」

天竜さん、そんな笑顔を向けられるなんて眩しすぎます。

「わしはそれ以前に、カワイイ子に会えて嬉しいのう。」

龍神さまは俺の頭から足先まで食い入るように見詰めてくる。
やめてくれ、俺はこの容姿が......!

「女の子みたいでカワイイのう!こんなカワイイ子は滅多におらんわい!」

ぐはぁっ!!
言いやがった、俺の嫌なことを!!
俺は容姿が女子みたいだから人に見られるのが嫌で引きニートになったのに!

「顔なんて特に女の子だのう!幼い感じが良い!良いぞぉ!!!」

もうやめてくれ、これ以上......!

「師匠やめて!ハルユキがかわいそうだよ!」

天竜が必死で訴えるが聞こえてないみたいだ。

「ロリータ超良い!わしは今神生最高に嬉しいぞ!」

俺は、中学生の頃からからかわれはじめてその年の1学期から引っきーになった。その頃から皆容姿に厳しくなったからだ。ロリってる。そう言われた。

「やめてってば!」

思い出す度に心が痛い。今まで仲の良かったやつが俺にとって悪人に変わってしまったのだから。あいつらには悪気は無かった、からかっていただけ、けど..。

「確かに言い過ぎたの、すまんな。」

カリカリと頭をかく龍神さま。すまんと頭を頭を下げる。

「そうじゃ、お詫びなんじゃが一方的に渡されるのは嫌かね?」

「え? いや、嫌というか......。」

遠慮しただけです。日本人なら誰でもしちゃうやつ。

「君が決めると良いぞ。」

おーい と龍神さまが手を鳴らすと何処からともなく沢山の擬人化動物たちが現れた。

「今こられる知り合いの神や動物たちじゃ。」

知り合いって1000人くらいいますよ!?それにまだいるってこと?!

「まぁ、わしは古い神じゃしのう。そこそこおるんじゃよ。」

うわ、引きニートの俺には考えられないスケールですわ。うじゃうじゃいるよ。

ドンッ!!!

いきなり出現したのは屋台の一つらしき店。提灯の灯りが衝撃で揺れる。

「君に一回打つチャンスをやろう。どれでもいいぞ、当てたまえ!動いたのが君の力だ!」

せう言ってくるのは店主のヤマアラシ。
ぐいっと射的用の銃を渡してくる。

「あ、はい。」

その背中の針を見せつけてくるのは何なんですか?あ、決めポーズですね。はい。

「俺が決めるってこうゆうことなんですね?」

「そうじゃよ。一発限りじゃし、見ていてこちらも楽しいわい。」

頑張ってーっとかキャーって歓声が響く。

「一番右にしてぇ!」

「いや、違う!ど真ん中こそ一番良いぞ!」

「ピンクのにしてお兄さん?」

「手前のっ!手前の小さいやつよ!」

的を指してあれこれ言ってくる擬人化動物たち。
そう、この射的の的は店の中にギッチリと嵌められた動物たちの力〔アニマル・オーブ〕だ。
適当に外そうかと思ったけど当たらないわけがないな。

「さあ打つのじゃ~っ!」

あ、あの前に突きだしてるオーブにしよう。見たとこ1個だし。

すぅーっ、はぁーっ

正確に的を射るにはタイミングが大事だ。息を止めるのではなく、はくのと同時にっ!

ビュンっ!

バシッ!

狙い道理にオーブが撃ち落とされる。

コロンっ

どんっ

あれっ?

コロコロ

どんどんっ

ゴロゴロゴロゴロ!!

うわわっ!
なんかいっぱい落ちてきたっ!!!

「おお、流石だのう!アッパレじゃハルユキ殿!」

1個のつもりが落ちたやつに巻き込まれたやつも含めて5個になってしまった...。

「あの、1つで良いんですが、返しますよ。」

ぐい

4個を渡そうとしたら押し返されてしまった。

「それは君の力じゃよ。君の魔力保有量は飛び抜けている。最大8個持てるのじゃ、貰っておけい。」

龍神さまが5個をすべて俺の手に握らせる。
もっとも、ひとつひとつの大きさが鶏の卵くらいだから握れなかったが。

すうっと〔アニマル・オーブ〕は俺に溶け込んでいった。
温かいものが腕から体全体に行き渡る。おおっ!

「ありがとなのだ!きっと役に立つのだ!」

緑色の髪の女の子が嬉しそうに笑う。

「よろしくね!」

ウサギの男の子がはにかむ。

「君ならボクの力を扱えそうだ。宜しく頼むぞ!」

黒いショートカットのボクっ子の猫耳お姉さん。

「正しい戦に役立てて下さい。」

紅い髪のお姉さんがフッと微笑む。

「地味だけど話獣なんだぞ?うまく使ってくれ!」

小柄なリスのお兄さんは頑張れと両手に グー! をつくる。

「ふむ、力をちゃんと受けれたようじゃの。ではのぅ、頑張ってな!」

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」

ペコリとお礼する。
まさかこんなに貰えて、龍神さまたちに応援されるとは。
そとに来て良いこともあるもんだな。

「ハルユキ!これも!」

天竜が差し出してきたのはさっきのより一回り大きい黄色の〔アニマル・オーブ〕。これは...。

「私の力も!私のも使って!」

受け取るとオーブはすっと俺の体に取り込まれた。

「良かったの?俺、他に5個もあるんだよ?」

俺が聞くと、天竜はうんっ!とうなずいた。
そして笑顔で、

「ハルユキに会えて嬉しかった!今までで一番!だからね、地上に帰るときにまた神界で会おう?今までの事、あっちの事、聞きたいの!
だから必ず生きてね。死んじゃうと神界を経由しないから。生きて、そのためにこの力を使ってほしい。」

!!!  そうだ、そのために。
俺は生きて、地上に帰る。そして家族と暮らすんだ。ニートだっていつかは外に出ていくものなんだ。だから!

「うん、約束するよ。生きてクリアして、必ず君に会いに行く。地上の話を聞かせてあげる。もちろん、これからいく世界のことも。」

「うんっ!約束っ!」

俺が小指をだすと天竜は小さな小指を絡ませた。



















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