転生ライフ〜転生最後は人間種〜

古風凛

プロローグ スライム


 僕は生まれた頃から、ほとんどの生物の言語を理解し、話すことが出来た。

 植物、ゴブリン、コボルト、オーガ、ドラゴン、精霊、そして、僕の種族であるスライム、僕は魔物の中では話せない魔物がいなかった。

 だが僕にも例外があり、人間種の言語だけは全然理解出来ないし、ましてや話すことも出来ない。

 僕は、そんな人間種に興味を持ち、里である湖を出て、人間種が数多く住んでいると言う街に行こうとした。
 
 だが、ここで運悪く、気性の荒いオーガに出会ってしまい、説得してみたのだが、荒れていたオーガに言葉が通じるわけがなく、襲われた、一応応戦したがスライムがオーガに勝てるわけなくて、僕はコテンパンにやられてしまった。

 傷ついた僕はやっとの思いで逃げだして、街に着いたが、そこで力尽き、大きな建物のある庭で気を失ってしまった。



 








僕が目を覚ますと目の前には、目的の人間種がいた。その人間種は、太陽のように輝く髪を腰まで伸ばした。美しい人間種だった。

「――――――――――――。」

 その人間種の言葉は理解出来なかったが  、その言葉に何故か安心感があった。

 僕は傷を癒してくれた、この家は心地がよかったので気づいたら住み着いていた。


 僕がこの大きな家に住み着いてから数ヶ月後、僕を助けてくれた人間種が僕を使い魔にしたいらしい。理由はなんか癒しを求めていたらしい。
僕は、こんなことでもいいのならこの人間種に恩を返すために使い魔になった。


 この家に時々、僕を殺しに来る人間種もいたが、この人が返り討ちにしてくれた。

 今日から、この人が僕に戦い方を教えてくれるらしい。

だいたいこの頃くらいから人間種の言語か理解できるようになってきた。

 僕は、体術などは出来なかったが、そのかわりに魔法を覚えた。僕オリジナルの魔法を使った時はすごく驚いていた。

 


今日は、記念すべき日だ!!。あの人が名前を付けてくれた。

僕の名前は「ノア」あの人がつけてくれた名前。
 

 


明日、あの人は隣の国との戦争に行くらしい。出来れば行って欲しくないが国からの「騎士だから。」と言い、僕を置いて家から出ていってしまった。


あれから半年、あの人はまだ帰って来ない。僕は特に食べる物は必要ないが、あの人がいないと寂しい。

 一年後あの人が帰って来た、とても寂しかったので、しばらくはあの人にくっついていた。あの人は苦笑しながらも、僕を撫でてくれた。

 今日は久しぶりの魔法を見せた。あの人は僕の魔法の上達ぶりに少し驚いているようだった。

 

 また半年と時間がたち、あの人はまた、国の命令で戦争に行くらしい。僕は寂しいのがもう嫌だったので、あの人の荷物に紛れ込んだ。

 戦争は初めてだった、人間種が同種族の人を殺している。あの人もたくさん殺していた。そして、戦争が過激になるにつれ僕はあの人が心配で荷物から抜け出し、あの人を探した。

 あの人はすぐ見つかった。あの人も僕を見て一瞬目を見開いて、すぐに笑顔を浮かべてくれた。




 が、僕の後ろを見た一瞬で顔が蒼白になった。僕もあの人につられて後ろを見ると、そこには大量の矢の雨が目の前まで迫って来ていた。

 僕は覚悟を決めて眼を閉じる。
 
けれどいつまでも矢の刺さる痛みと衝撃が来ない。ゆっくり目を開けると、あの人が僕を庇っていた。何が起こったか理解出来なかった。
 
あの人は「ノアは、とても賢いこくて寂しがり屋、でも、いつか困っている人がいたら助けて上げて、これはルミス国騎士団団長である私のお願い。あとは、生きて、これは家族である私ルナ・リアフォーゼのお願い。」そう残しあの人、いや ルナは動かなくなった。

 僕の頭の中が真っ白になった。目の前がチカチカする。あの人が死んだルナが死んだ。
 
 そんな、、、、ねぇ、いつもみたいに撫でてよ。優しい笑顔を見せてよ、ねぇ、まだ魔法の勉強も残ってるよ。あの大きなお家に帰ろうよ。なんで動かないの、動いてよ、まだ僕は君に恩返し出来てないよ。なんで、なんで
僕を一人ぼっちにするの。
 
 僕は泣いた、途中で雨に打たれようとも泣き続けた。

 日が明けたら、辺り一面水だらけだった、僕はその柔らかい土を掘り、ルナの動かなくなった体を埋めた。埋めたあと、そこに小さな石碑を建てた。太陽はもう西に傾いており、あれだけ濡れていた土も乾いていた。

 ごめんね、ルナ僕は君の願いを叶えられない。僕はスライム。体の90%近くが水分でできてる。僕の体は涙で全部の水分か出してしまってしまって動けないんだ。ほんとにごめんね。

 そして僕はそっと眼を閉じた。


乾いた大地に立つ小さな石碑、その前には世にも奇妙なスライムのミイラ、そのミイラのスライムの核はほかのスライムの核よりも紅くランランと輝いていた。





























どうもこんにちははじめまして。
古風凛です。
読んでいただきありがとうございます。
初投稿なので、誤字脱字などがあれば教えてくださると幸いです。
 

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