神が泣くなら悪魔になろう

犬飼ゆかり

ゆうしゃが あらわれた


グラタン食べたい、寿司食べたい、焼肉食べたい、コンスープ飲みたい、▂▅▇█▓▒ (’ω’) ▒▓█▇▅▂うわぁぁぁ!!






最近、街の人達は竜の噂でもちきりだ、鉱山に現れた竜、原因は不明、じゃあ何故人達が噂にするのか、それは


竜を討伐したのは国が召喚した勇者様らしい



という噂、そんな根も葉もない噂、勇者なんて御伽噺だろと笑う人も少なくない、もし勇者様がいるなら一目見ておきたいと思う人も少なくない、そもそも何故勇者様が召喚されたのかと考える人もいる、ただの噂だ、ただ


ただの噂にしては盛り上がりが激しい

そこが信憑性を高める、少しだけね

でも僕はその噂に対して、勇者なんて御伽噺だろと笑う人だった、一週間前までは



今?いたよ、勇者様はめんどくさい奴は




勇者がいるなんて噂が立ち始めた頃、僕の店にそいつは現れた、若いが装備が驚く程にいい物だった、どっかの貴族の下の子が冒険者になろうとしてるなんて思わなかった、理由は

髪と眼が真っ黒だった

珍しい、僕も黒だが同じやつは今まで見たことがなかった、そして

よく分からない言葉を使った

薬草は何時まで使うのだろう、回復魔法は何レベで覚えるのかな、ここのモンスターは経験値いくつ手に入るのかな、とか


意味分からん、とりあえず変わった奴だなぁと思った、少し経つと黒髪の少年は僕に聞いてきた

「体力を回復させる薬草を三十個ください」

「は?」

考える間もなく全ての疑問が出てしまった

「え?いや、体力を回復させる薬草…」

そんな注文されたの初めてだ、なんだ体力を回復させる薬草?なんて、薬草は食ったら苦いだけだ、すり潰して、混ぜて、熱して、冷やして、腐らせて、初めて薬になる、薬草で癒えるなら薬師はいらない、だから

「薬草は植物で薬ではありません、食べても苦いだけです、人を癒すものは薬です」

と、そこら辺の子供でも分かる常識を教えてあげた、勿論この常識知らずを馬鹿にしてだ

「へぇ、そうなんだ、なら体力を回復させる薬をください」

なんて真面目に返してきた、大丈夫かこいつ、今まで何処で生きてきた

何処か、この世界じゃない何処か……だとしたら?
いつもより冴えた頭が何かを繋げた、もしや噂の?は?御伽噺だろ?、でも見てみろ、この世界に生きる人とは思えない奴らを、考える…考えた結果、直球でいった



「もしかして巷で噂の勇者様でしょうか?」


「ん!?!?ち、違いますよ!!な、何言ってるんですか!!!!」

動揺してるこの少年がそうなのだろう


驚いた、勇者っているんだ

てか勇者ってさ、本当に世界が違うのかな

神に愛されてるのかな

彼の為に神は泣くのかな


もしさ泣くなら


その涙が勇者の口に入る前にさ



奪っちゃえばいいんじゃない?



「ッ!」

「?、大丈夫?」

本人の前で僕の何かが残酷な事を考える、そりゃ驚いて「ッ!」なんて言っちゃうくらいに、常識知らずに心配されるくらいに

急に出てきた言葉が脳裏から離れてくれない、汗で服が濡れているのが分かる、めまいもする、気持ち悪い

でも神に近い者は関わりたい、お得意さんにしたい

だけど笑えない、顔に力が入らない、汗を見せないように垂らす、深呼吸をして今までで一番顔に力を入れていつもの営業スマイルを見せる

「勇者様、是非うちの店を懇意にしてくれませんか?」

めっちゃ媚び売ってるなって自嘲する

「え?はい?いや、まぁいいですけど、薬屋さんってそんなに使うところじゃ…」

「勇者様の目的は何ですか?、出来るだけ力になりたいです」

「えっと…王様からは魔王を倒せと……世界が平和になるので…」

本当に勇者なのか、勇者なんていたのか、頭が状況を呑めていないがとりあえず回す、頭を回して回しまくる

その後は薬屋の良い所メリットを教えた、上級の冒険者だって使うし、敵に使う薬もある、あと好きな子を堕とせる薬もある、なんてからかってみた

勇者は顔を真っ赤にして大丈夫ですなんて言ってきた

その日は珍しく酒を飲んだ、
僕は恐らく、多分、きっと、大きな一歩を踏んだと思う、思いたい、彼は鍵だ、僕の目の前にある大きな壁の小さな扉の鍵だ、大切にしよう、必要なものを与えよう、魔王とギリギリで負けるくらいまで育てよう、ね?

あれ?勇者死んじゃうじゃん、あれ?僕ってこんなに悪者だったっけ?

『奪っちゃえばいいんじゃない?』

その言葉が消えない、消えろと願うほど強く聞こえる

飲み始めたばっかなのに吐き気がする

でもいいや、僕が例え、勇者の敵になっても、魔王の味方だと言われても、僕が死んでも、リアが…リアが救えるならそれでいい、まだ会った事など無い魔王に対して忠誠を誓う様なポーズをとる

僕は薬師だ、戦えやしない、でも薬師だ、勇者に教えた様に好きな子を堕とす、なんて言う下品な薬だって作れる

近い内に魔王に会ってみたいな、魔王だって知恵のある生き物だ、どんなに凶悪と言われてても味方につくと言ったら話くらい聞いてくれるかな、もしかしたら子が蟻を潰す様に殺されちゃうかも、でもそれくらいリスクは必要でしょ

ただの薬師が神を泣かそうとしてんだもん

なんてお酒を飲みながら考える

お酒は嫌いだ、嬉しくても不味い、苦いよ





ゴワゴワが終わりました次はムワムワですね、なんっつて
後半はお酒呑んでるから考えが甘い感じやってます
ジルくんは全然飲まんけどね('ω')

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