ギャグ特化異世界ライフwith妖精

さわんちゅ

9 グロ犬

 私は一直線に飯に向かい駆け出す。
 あ、飯じゃあなくてモンスターか。
 「いたあああ!!!」
 目視できる距離まで接近すると、向こうもこちらに気づいたのか体を向けてくる。
 そいつの姿はどう見てもチワワだった。
 悪いな。私のために死んでくれ。
 しかし、チワワはチワワではなかった。
 それの頭はぱっかりと割れて、口のように広がった。
 頭の中には頭蓋骨とか脳みその代わりに無数の歯が生えていた。
 ゲームとかではよく見るけど、これめっちゃグロいな。てかこれ一生のトラウマレベルよ。二度とチワワを可愛がれない。 
 しかし、そこは私。グロ系のゲームは割とやってきたので少しは耐性がある。
 私は、勢いそのままに胸の辺りをサッカーボールが如く蹴飛ばす。
 「そいやっ!」
 適当な掛け声で蹴飛ばしたそいつは簡単に数メートル吹き飛んだ。
 私はそのままぐったりしているチワワにトドメを刺すべく駆け寄る。
 そいつは、頭の割れ目の食道?の口からゴポリゴポリと血と吐瀉物の混ざった物を吐き出していた。
 き、気持ち悪っ!てかくっさ!そしてめちゃくちゃグロい。ゲームとかではこういう演出はないし、なにより食道?の口がメッチャヒクヒクと痙攣を起こしているのがもう見てられない。
 私は目を逸らしながらそいつの首あたりを狙って踏み抜く。
 グチャリと嫌な感触が靴越しに足に伝わってきた。どうやらレベルの補正のお陰で私の筋力でも足りたようだった。
 しかし骨までは砕けず、念のためもう一度同じ所に足を掛ける。今度こそ骨を砕いた感触が伝わり安堵のため息を漏らす。
 チワワは灰になって霧散していく。 
 「ってちょっと!?私の肉が!」せっかく、せっかく苦労して取った肉が…。うわぁ……。切ない……。
 「……早く街に行こう。」切り替えが大事。
 そう思っていたらまたしても魚群探知機に赤点が出た。しかもかなり多い。ゆうに20はくだらない。
 これは無理だな。逃げるしかない。
 とりあえず来た方角にダッシュ。途中にいたシロちゃんもついでに回収。
 「どこに行ってたの!私心配したんだよ!」               お母さんかな?
 とりあえず「ごめんね。」と謝っておく。
 「敵の群れに会ったからとりあえず逃げるよ!」
 一応敵影を確認したら全員ワンちゃんだった。秋田犬とか柴犬とか。あのワンちゃん達も頭が割れるのかと思うとすごい世界に来たと実感するよね。

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