女神様の告白を承諾したら異世界転移しました。

年中眠休

報告

目が覚めると、見慣れない天井だ。粛清してから一日が経った。俺はシロと共に王城に来ていた。

シロはブンブンと尻尾を振っている。そして、何故かメイド服を着ている。統率の従者に着るよう言われた様だ。まぁ、役得なので着るなとは言わない。俺は小雪から返してもらった黒いスーツを着ている。結構久し振りに着るがこれ?小雪の匂いがする気がする。留守にしてる間に小雪がずっと持ってたから当たり前かな?もしかして、小雪がこれを着てたりしてな。

それと小雪には王城に行く事を言っていない。聞かせたくないことがあるからだけど。この後、怒られるのは明白であり、避けられない運命だ。30人の暗殺者に立ち向かうよりも断然怖い。いや、ドラゴンに特攻をかける方がマシな気がしてきた。

「はぁー」
「どうかしましたか?」
「いや、この後のことを諸々と考えると溜息が漏れただけだ。心配しなくていい」
「はいでした」

シロの「でした」も前よりは改善されたっぽい。王城の門に辿り着いた。俺は門番に近づいた。門番は白髭の生やした筋肉隆々のおっさんだった。王城に来るのは2回目だが、1回目は統率による転移だったので門番と話すのは初めてだ。

「国王様にお目通りしたい」
「身分を証明しろ」
「これでいいか?」

俺は警察手帳の様な物を見せるとおっさんは目を開いてあからさまに驚いていた。

「これは…」
「いいだろ?」
「ああ、入りなさい。お前さんもその歳で苦労してるんだね」
「……。」

俺はその言葉を無視して、王城の敷地に入った。

「ご主人様、今のは何ですか?」
「……いつか言う。まだ俺にはこの数ヶ月間の事を言えない」
「はいでした」

シロは首をガクリと落としていた。そこまで落ち込まれると流石に罪悪感が生まれる。

「必ず言うから」

俺はシロの頭を撫でた。

シロはコクリと頷いた。俺が手放すと、シロは俺の方を見つめてきた。

「もっとして欲しい、でした」

その潤んだ上目遣いは反則だと思う。小雪には勝てないが、充分の破壊力がある。

「学園に戻ったら沢山してやるから」
「はいでした」

帰って来てから一番いい返事が聞けた。

俺は王の間に向かう途中にあいつに出逢った。俺よりも背が高くいけ好かない第1王女

「アーサー、何でお前がここに居る」

笑顔でアーサーは俺を見る。

「それは父上、国王に案内を頼まれたからね。ついてきなさい」

アーサーは俺を先導して、ある壁の前で止まった。アーサーが手を翳すとそこに扉が現れた。

その扉は王の間の扉とは違い豪華でなく、何とも質素な木製のドアである。だが、仁はある事に気づいていた。

「王の間と同等の結界を感じるな。それにステルス機能も加えたのか。隠れ部屋だな」
「ええ、それに近いもので円卓の間です。ここの事は内密にしてください」
「ああ、シロも他言無用だ」
「はいでした」
「それとここで武器を回収させてもらいます。疑うわけではありませんが、この中は武器の持ち込みは禁止しています。それとシロさんは私と一緒にお留守番です」
「分かった」

俺はアーサーに銃を渡した。シロは少し残念そうにしている。

「では、お入りください」
「ああ」

俺は木の扉を開けた。

仁が中に入ると既に四騎士、統率、国王が円形の机を囲み座っていた。まさに円卓である。仁が入ると、スーと扉が消えた。仁も空席に座る。

「待っていたぞ。一ノ瀬 仁」
「ああ。本題に入らせてもらう」

仁は挨拶もなしに始めた。国王は釣れない奴と顔に書いてある。スザク使いのヘクトは不機嫌であり、セイリュウ使いのジークは仁に敵視を抱いている。それを見て、仁の師匠であるスイレンがほくそ笑んでいる。仁は気にする様子は一切ない。

「俺が皇国で得た情報はあまりない。皇国は近日中に何かやらかす積もりらしい。内容は不明だ。それと、学園内にスパイが居るのは確実だが人数は不明。これは未確定だが、俺のクラスにスパイがいる可能がある。もし、不安と言うなら証拠として皇国で盗賊に見せかけて、幹部を拷問した時に録音したものがある。他に皇国の技術は俺が師匠から聞いた以上に発展していた。生活から軍事力上がってきている。まるでちき……いや何でもない。報告は以上だ」

仁は、何かを言う途中で辞めた。それを気にするものはいなかった。

「そうか、他に動きを確認したものは居るか?」

ゲンブ使いの最高齢のジージが話し始めた。

「話しは少し変わるが鬼族じゃない魔物達も活発化し始めていのじゃ。騎士と冒険者らで今の所は制圧しているが、強い魔物が現れたやばいのじゃ」

語尾が「のじゃ」というのが愛嬌がある。厳格な雰囲気出す老人が言うとギャップがあり、ある一部の者からは絶大の人気がある。

「うむ。近日か…。騎士道祭が一番怪しいな。人が他国からもやってくるほど、人気の祭りだしな。仕掛けるなら確実だな。もし、その幹部が有能であり我々の目を逸らすためのフェイクというの可能性もある。では、こうしよう………」

「ほぉ、リンキお前にしては面白い事を言うな」
「統率、乗り気ですね」

レイアはウキウキしており、それを冷静にスイレンがツッコミを入れる。

そんなこんなで終わり、会議が終わる。スイレンが話し掛けてきた。

「仁、本当に条件を飲んだのね。ここ来た事で実感したけど」
「ああ、師匠。俺は小雪を幸せにする事が全てなんだ。その為2ヶ月間だったからな」

仁とシロは王城を出た。学園の門をを通った。そして、そこには満面の笑みだが目が笑っていない少女が仁王立ちで立っていた。

「………仁さん。弁明はありますか?」
「ないです。あの丘で今日の事話すよ」
「そうですか…シロちゃんは一緒なのに…私には秘密にして……そうですかそうですか…仁さんは私の事なんて……こんな私なんて……また置いてけぼりですか……」

小雪が暴走し始めている。

「小雪……シロ……話すよ。俺の2ヶ月間の事を」

俺達は丘に来た。2人は俺を真ん中にして、頭を肩に預けるようにして逃げれない様に俺の片腕を両腕で拘束している。傍から見れば、女の子に抱きつかれた男の子である。

俺は言いづらい事を掻い摘んで話した。
要約すると

・皇国に行った事
・学園にスパイがいる事
・師匠との修行の事

の3つだ。
初めて人を殺した事、俺がこのソル王国での立ち位置が変化した事は言っていない。

「今日は皇国に行ったことを報告しただけだ」
「そうですか…。」

小雪は暗い顔をしてすぐに明るい顔へと戻った。

「明日はデートに連れて行ってくださいね」

俺は断るという権利がなかった。




どうも、年中眠休です。

ええと、コメント欄で誤字が多いとあって見直さないのかあったのですが。全く見直さないです。理由は面倒臭いから。

以上おわり。

これからも2人の異世界ストーリーをよろしくお願いします。

コメント

  • ペンギン

    誤字はまぁありますが、ひらがな読み?とかしたら、何となくわかります!

    1
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