最強剣士の息子は最強魔法師を目指す模様です

クラゲラボ

入学④

休憩時間に入った僕は廊下に出て少し悩んでいた。階段は1組、5組と10組のところにある。僕は3組なので、使うとしたら1組と5組の前のどちらかのトイレだ。1組側のトイレを下手に使おうものなら、高貴な方々になんと言われるか分かったものじゃない。かといって、5組側のトイレだと、単純に考えても3~8組の生徒が流れ込むから滅茶苦茶混みそうだ。

「ショーーン、遊びに来たわよー!!」

廊下に突っ立っていた僕めがけ手を振りながら駆け寄ってくるのは、天真爛漫娘・アリアだ。その後ろにはフランが歩きながらこっちに来ていた。

「ショーンどうしたの?友達できなかった?」

近づいてきたアリアは、少し腰を前に曲げ上目遣いでそう質問した。

「いやぁ~、友達もなにもまだ自己紹介してないからねぇ~。僕のクラスは。」
「じゃあ何に悩んでたの?」
「それがさ、どっちのトイレに行くべきかで迷ってたんだよ。1組の前と5組の前ので」
「どう言うこと?」
「1組の前のトイレってさ、1組と2組の貴族以上の位の人達が使うじゃん?下手に使おうものなら、なんて罵られるか…。一方、5組の前のトイレはさ、3~8組ぐらいの人達が行くわけだから混むじゃん!?どーしよっかなーって考えてた。」
「ショーンって本当にダメね。うちの国の貴族にそんなことで罵るような愚か者が居るわけないじゃない。王宮にしょっちゅう出入りしているショーンならわかるはずよ。っね。ショーンはなにも気にせずに1組の前のトイレを使えばいいの。分かった?」
「そうだね。わかったよ。ありがとう。アリア!」
「どおってことないわ。」
 
アリアは僕に背を向けながらいい、僕が返事をすると最後は振替ってそう言った。
僕はなにかが吹っ切れたそんな気がした。アリアのお悩み相談所は僕にとって特効薬だったみたいだ。
アリアって、たまーーーに頼りになるんだよねぇ。基本はみんなを振り回していることに気付きもしない天真爛漫で天然な女の子なんだけど。
そうこうしていると、フランが合流し3人で「友達できた?」だの「楽しそうなクラス?」だのとりとめのない話をしながら、1組側のトイレへと向かっていた。

すると、突然僕は後ろから左手首を捕まれた。誰だ?と思いながら僕は後ろを振り向くと、さっきトイレの場所をグラン先生に聞いた男の子だった。
そっちから来てくれるとは嬉しい限りだ。陰キャの僕には到底できることじゃないからなぁ。
でもなんか滅茶苦茶真面目な顔してない?僕何かしたかなぁ?集合時間はまだだと思うけど…。

「おい、君。確か3組の子だよね?」
「そうだけど。どうしたの?」
「どうしたもこうしたもない。今君が話しているあのお二方が誰かわからないのか?」
「えっ?フランとアリアだけど?」
「おい。僕たち一般人が、何、気安くフランチェスコ様とアリア様を呼び捨てにしているんだ。今すぐ謝れ!僕も一緒に謝ってあげるから。さぁ。」

僕はトイレの男の子(名前を知らない)に頭をガシッと捕まれ、強引にフランとアリアに向かって頭を下げさせられた。力強っ!見た目細そうなのに結構力が強く、いきなりだったのもあるけど抵抗できなかった。
かなりの一方的な転回で僕含めフランとアリアは一瞬呆気にとられていた。

少しの沈黙の後、フランがトイレの男の子に話しかけた。

「ねぇ君。ショーンの頭を放してやってくれるかな?僕たちは友達なんだ。」
「…っえ?」

フランからの友達宣言に唖然としているトイレの男の子とどや顔している僕。

「そうよ。私たちは幼馴染みってやつね。いつも一緒に遊んでいるわ。今日も一緒に登校したし。」
「……ほっ、本当ですか?」

トイレの男の子は、アリアからの幼馴染み宣言に更に困惑している。一方僕は、トイレの男の子の力の入らなくなった手から脱出し、更にどや顔になっている。

その後若干の沈黙が続き、頭の中の整理が終わったトイレの男の子が、僕には質問してきた。

「あのお二方と幼馴染みと言うことは、貴方様も貴族か何かで御座いましょうか?」
「いや!只の一般人だよ。」

急にトイレの男の子は僕に敬語を使い始めた。
なんだよ急に!むず痒いじゃないか。と思いながら、僕はトイレの男の子に即答した。

「でっ、では、どうしてあのお二方とお友達に?只の一般人があのお二方と関わることすら無いというのに!」
「んー、僕もいまいちわからない。なんでだろう?」

まぁ、何となくは分かるんだけどね。
お母さんの仕事の関係?前にも少し話したがお母さんことマリー・ヘブラスカは、王宮魔法研究室で働いている。そんなこんなで小さい頃からほぼ毎日王宮に出入りしていたら、いつの間にか友達になっちゃってたんだよなぁ。

「てか、君、名前何て言うの?」

ずっと質問されっぱなしだったし、トイレの男の子ってのもいちいち面倒だしで、ずっと疑問だった名前を僕は聞いてみた。

「大変失礼しました。僕の名前は、クラウス・アキーマンと言います。ショーン君?だったよね?これからよろしくな。」

急に馴れ馴れしいなぁ、おい!いきなりショーン君とか初めてだよ。
てか、アキーマンって名前、どっかで聞いた気がするなぁ…

「失礼。アキーマンと言うともしや昨年末の騎士団長決定戦でベスト8に入ったベルフ・アキーマンのご息子でしょうか?」

と、フランが話しかけた。

「その通りでごさいます。よくご存じで!フランチェスコ様。」
「一様、結果には目を通しましたからね。」

あっ、なるほど~。どっかで聞いた名前だと思ったら騎士団長決定戦かぁ。
にしてもフランよく覚えてたなぁ~。僕なんてお父さんが戦った試合全部見たけど、最後のモーガンしか覚えてないよ。

「そろそろ皆ならび始めたみたいだね。僕たちも並ばないと。ショーン、また後で。」
「またねぇー!ショーン。」
「二人ともまた後で。」

そうこうしている内に周りが廊下に整列を始めたので、僕たちも並ぶことにした。
ん?よく考えたらトイレ行ってなくね?まぁ、いっか?

列が整ったぐらいにグラン先生が列の先頭に来て人数を数え始めた。
「よーし!お前ら全員いるなぁ。時間通り!偉いぞ。じゃあ1組から順に会場の体育館に向けて進んでいくからちょっと待っててなぁ。」

まもなく全クラス生徒が整列したことを先生同士で確認が取れ、1組から会場に向かって静かに歩き始めた。
あっ、何かトイレ行きたくなってきた…

「最強剣士の息子は最強魔法師を目指す模様です」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く