村人が世界最強だと嫌われるらしい
理不尽な戦争 2
「さっきから視線を感じる……」
フードを被っているなんてどこにでもいそうな格好なのに、何故こんなにも視線を感じるのかは、烈毅にはわからなかった。
暫く歩いても、なかなかその視線は消えない。どうしょうもなく気になり、周りを見渡す。が、誰一人として烈毅を見ている様子はない。
「気のせいか?」
以前にも、殺気を感じることがあった。だが、その感じた方向には誰もいない。
もしかしたら、烈毅は疲れているのかもしれない。自分でそう思い込んだ。そのおかげか、そう思った瞬間、視線は感じなくなった。
そんな事はもう頭からは消し、今は町を堪能しようと気持ちを切り替える。
「にしても、この町は少し建物が古いな」
烈毅の泊まっていた宿もそうだが、この町は作りが古い。レンガや石などといったものでの作りではなく、全て木造。しかもかなり乾燥した木だ。
烈毅なら、こんなものよりも質の良い家を幾らでも作れる。
町の人も、少しだけ痩せ細った体の者も見える。時々、体付きが良い者も見えるが、多分それはこの町の者ではないだろう。
「でも、この町の飯は美味いんだよなぁ〜」
先程買ったヘビの様な生物の串焼きが、見た目に反してこれまた美味い。食感は弾力があり、臭みも無ければ味のしつこさも無い。食べ歩きにはもってこいの物だ。
そんな感じで町を回っていると、一つの冒険者パーティーが、掲示板をじっくり眺めながら、何か話をしていた。
それを盗み聞きしようと、烈毅はこっそり掲示板を見るふりをして聞く。
一人の剣士が喋る。
「最近さ、こいつの噂をよく聞くけどさ、こいつ本当にヤバいやつなの?」
一人の魔法使いは言う。
「あんた知らないの? こいつ、魔王の使いとか言われてる最低最悪な奴よ?」
一人の僧侶が言う。
「私も、この人はあまり好きません。だって、顔が怖いもの」
一人の狩人は言う。
「でも村人だろぉ? なんで村人っていうクソ雑魚ジョブが魔王の使いなんだよ?」
「俺に聞くな。話して見ないと分からないこともあるだろ?」
「あんた……本当にお人好しね? この前もそれで引っかかって財布盗まれたじゃない」
「そうですよぉ……少しは反省を……」
「俺もそう思いまーす」
烈毅は、その話を聞いて思った。聞かなければ良かったと。そして、分かりそうなやつも世の中には居るもんだと。
まだガヤガヤと言い合っているが、烈毅はもう聞くことも無いだろうと思い、立ち去ろうとしたその時だった。
「なぁ、そう言えばさ、最近メルクリア国にベルム国の冒険者が軍になって来るって噂知ってるか?」
それを聞いて、烈毅は立ち止まる。
「どこの情報なのそれ?」
「いやさ、ある日お前らが寝ちまってから夜に遊ぼうと思って酒場に入った時の事なんだけどさ、その時に変なオーラ出してる奴がいてよ、そいつが言ってたぞ?」
変なやつ? デルノゼか? いや、でもあいつは当分動かないとは思うし……ってことは新たな刺客?
「そんな情報信じるな。お前は前からそうだ。変な情報持ってきてはそれは全部ハズレ。正しかった事なんて一度もないだろ?」
「そ、そんなことねぇよぉ!?」
なんだよデマかよ……安心した。
烈毅は安堵し、その場を離れる。ただ、もしそれが本当なら……と考えてしまうが、すぐにそれは無いだろうと判断し、宿へ戻る。
ベルム国というのは、メルクリア国の隣に位置する国で、この世界で三番目に所有地が広い国だ。メルクリアはかなり所有地は狭く、ベルム国とは前から睨み合ったりもしていた。
ベルム国は、メルクリア国を呑み込みたい。領土拡大は、誰でも望むことだ。
烈毅は、もし戦争になるとしたら、身バレしてでも良いから全力で阻止するつもりだ。
なぜなら護りたいものがあるから。
この国は烈毅にとっては思い出の国。そんな国を易々と譲る気は無い。
ただ、これがメルクリア国を呑むために動くわけでは無いとなると、話は変わってくる。
今の烈毅は指名手配されている。これだけ言えば分かるだろう。
もし共闘でもされたら、いよいよこの国には住めなくなる。
それだからと言って、他の国で暮らしていけるとは思わない。
そんな考えは、今の烈毅にはこれっぽっちもない。と言うよりは、考えないようにしていた。
宿へ戻ると、まだ皆はベッドでぐっすりと眠っていた。
「可愛いなこいつら……」
烈毅は微笑みながら扉を閉める。
四人の寝顔に気が緩み、烈毅は欠伸をする。
「まだ日が出てるけど、俺も寝ちゃおーっと」
烈毅は、一眠りする事にした。
フードを被っているなんてどこにでもいそうな格好なのに、何故こんなにも視線を感じるのかは、烈毅にはわからなかった。
暫く歩いても、なかなかその視線は消えない。どうしょうもなく気になり、周りを見渡す。が、誰一人として烈毅を見ている様子はない。
「気のせいか?」
以前にも、殺気を感じることがあった。だが、その感じた方向には誰もいない。
もしかしたら、烈毅は疲れているのかもしれない。自分でそう思い込んだ。そのおかげか、そう思った瞬間、視線は感じなくなった。
そんな事はもう頭からは消し、今は町を堪能しようと気持ちを切り替える。
「にしても、この町は少し建物が古いな」
烈毅の泊まっていた宿もそうだが、この町は作りが古い。レンガや石などといったものでの作りではなく、全て木造。しかもかなり乾燥した木だ。
烈毅なら、こんなものよりも質の良い家を幾らでも作れる。
町の人も、少しだけ痩せ細った体の者も見える。時々、体付きが良い者も見えるが、多分それはこの町の者ではないだろう。
「でも、この町の飯は美味いんだよなぁ〜」
先程買ったヘビの様な生物の串焼きが、見た目に反してこれまた美味い。食感は弾力があり、臭みも無ければ味のしつこさも無い。食べ歩きにはもってこいの物だ。
そんな感じで町を回っていると、一つの冒険者パーティーが、掲示板をじっくり眺めながら、何か話をしていた。
それを盗み聞きしようと、烈毅はこっそり掲示板を見るふりをして聞く。
一人の剣士が喋る。
「最近さ、こいつの噂をよく聞くけどさ、こいつ本当にヤバいやつなの?」
一人の魔法使いは言う。
「あんた知らないの? こいつ、魔王の使いとか言われてる最低最悪な奴よ?」
一人の僧侶が言う。
「私も、この人はあまり好きません。だって、顔が怖いもの」
一人の狩人は言う。
「でも村人だろぉ? なんで村人っていうクソ雑魚ジョブが魔王の使いなんだよ?」
「俺に聞くな。話して見ないと分からないこともあるだろ?」
「あんた……本当にお人好しね? この前もそれで引っかかって財布盗まれたじゃない」
「そうですよぉ……少しは反省を……」
「俺もそう思いまーす」
烈毅は、その話を聞いて思った。聞かなければ良かったと。そして、分かりそうなやつも世の中には居るもんだと。
まだガヤガヤと言い合っているが、烈毅はもう聞くことも無いだろうと思い、立ち去ろうとしたその時だった。
「なぁ、そう言えばさ、最近メルクリア国にベルム国の冒険者が軍になって来るって噂知ってるか?」
それを聞いて、烈毅は立ち止まる。
「どこの情報なのそれ?」
「いやさ、ある日お前らが寝ちまってから夜に遊ぼうと思って酒場に入った時の事なんだけどさ、その時に変なオーラ出してる奴がいてよ、そいつが言ってたぞ?」
変なやつ? デルノゼか? いや、でもあいつは当分動かないとは思うし……ってことは新たな刺客?
「そんな情報信じるな。お前は前からそうだ。変な情報持ってきてはそれは全部ハズレ。正しかった事なんて一度もないだろ?」
「そ、そんなことねぇよぉ!?」
なんだよデマかよ……安心した。
烈毅は安堵し、その場を離れる。ただ、もしそれが本当なら……と考えてしまうが、すぐにそれは無いだろうと判断し、宿へ戻る。
ベルム国というのは、メルクリア国の隣に位置する国で、この世界で三番目に所有地が広い国だ。メルクリアはかなり所有地は狭く、ベルム国とは前から睨み合ったりもしていた。
ベルム国は、メルクリア国を呑み込みたい。領土拡大は、誰でも望むことだ。
烈毅は、もし戦争になるとしたら、身バレしてでも良いから全力で阻止するつもりだ。
なぜなら護りたいものがあるから。
この国は烈毅にとっては思い出の国。そんな国を易々と譲る気は無い。
ただ、これがメルクリア国を呑むために動くわけでは無いとなると、話は変わってくる。
今の烈毅は指名手配されている。これだけ言えば分かるだろう。
もし共闘でもされたら、いよいよこの国には住めなくなる。
それだからと言って、他の国で暮らしていけるとは思わない。
そんな考えは、今の烈毅にはこれっぽっちもない。と言うよりは、考えないようにしていた。
宿へ戻ると、まだ皆はベッドでぐっすりと眠っていた。
「可愛いなこいつら……」
烈毅は微笑みながら扉を閉める。
四人の寝顔に気が緩み、烈毅は欠伸をする。
「まだ日が出てるけど、俺も寝ちゃおーっと」
烈毅は、一眠りする事にした。
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