村人が世界最強だと嫌われるらしい
とりあえず特訓だ! 7
「あ、最後に聞きたいんだけど、この世界でお前が知る限り、超上級ジョブの冒険者ってどれ位いるの?」
「う〜んそうね……二十はいるかしら?」
二十。ココ最近で増えたってことか? もしかしたら、また前とは何か違ってきてるのか……勇者の数も増えてたり……それは無いか。
「それがどうかした?」
「いやな、俺が二百到達した頃は指で数えるくらいしかいなかったんだよ」
「へぇ〜」
こいつ関心ねぇな?
「まぁいいや。じゃ、外に出るぞ」
「今出るのはまずくない?」
「いや、今行く」
勇者に会ってみたいし。何より、敵の戦力を知っておきたいしな。
「まぁ貴方がそう言うなら付いていくけど……」
「さーんきゅ!」
その後、外に出て幻惑魔法を解いてもらう。すると、早速烈毅達を見つけた冒険者達が、一斉に襲いかかってくる。
「レーナ、ちょっと戦ってみろ」
「へ?」
ドンッと背中を押し、前に突き出す。なんの準備もしてないレーナは、「ひぃ〜〜!」と声を出しながら抜刀し迎え撃つ。
二人がかりで来た敵は、左右に展開し同じタイミングでレーナに斬りかかる。
こいつら、殺すように命令されてるな?
レーナは、それを冷静に判断し、後に下がってその攻撃を凌ぐ。敵の冒険者は、身を軽く翻して真正面から襲いかかる。
そして、レーナは一人の攻撃を剣で防ぐも、もう一人の攻撃はどうにもできない。
「まずっ……!」
そこに、ミーシュが攻撃魔法を飛ばしてレーナを守る。
「ありがとう!」
そう言って、攻撃を防いだ敵の溝落に蹴りを入れ、倒れさせる。
「クッ……ここは引く」
たおれた仲間を抱え、敵は逃走する。
「なーんだ。手応えのない奴らだな」
「さぁ、今がチャンスだ。行くぞ烈毅」
「はいはいっと」
レーナ、少し大人になったな。
それからその場を離れ、烈毅が戦闘を走って森を抜ける。
時刻は夜、それに今夜は新月と来た。これは逃げるのにうってつけだ。
そのまま走っていると、一つの大きな穴蔵が見えてくる。
「あそこがファイアの巣穴だ。勝手に入って勝手に食い散らかせ」
「いいのそれで!?」
「あぁ、俺が保証するよ」
「今夜は新メンバー歓迎パーティーね!」
「ん? ……先にいけ」
烈毅は足を止め、ルノ達を先に行くよう促す。
「どうしたの?」
「今の奴らって、どれくらい強いのかと思ってな」
「何それ? じゃあ先行くわよー?」
「おう」
そして、三人は巣穴へと潜って行く。
「さーて。今の勇者様とやらは、どれくらい強いのかな?」
そう大声で訪ねてみると、大きな岩の裏から姿を現す。不敵な笑みを浮かべながら。
「君か? 先日の殺気をだした村人と言うのは?」
「ああ、俺だよ。それで、君は神に選ばれし勇者様でいいのかな?」
「ああ、俺は選ばれし人間。そして、この世界を支配する者」
あらら。この子頭がハッピーな子だ。
「俺は勇者リバイス。貴様の様な村人を殺す者だよ」
「わかったわかった。だけど、俺は一応町救ってるんだけど?」
「あんな恐ろしい殺気をだしといて、そんな戯言が信じられると思っているのか?」
「いやいや、信じろよ……って言っても無理かな。お前、誰に勇者だと言われた? 聖剣は持ってるの?」
「神に言われ、神に聖剣を貰った。剣の名はエクスカリバー。どんな邪悪でも斬り捨てる最強の武器だ」
「最強の武器、ね……俺が知る限りでは、エクスカリバーは他のやつが持ってた筈だけど?」
「何を言っている? そんな者はこの世にいない。聖剣エクスカリバーはこの世に一つしか存在しない。故に、俺が本物だ」
あらら、こいつ騙されてる。つーか、この世界の聖剣エクスカリバーは女しか持てないっていう糞みたいな制限あるの知らないなこいつ。
この世の聖剣には制限がある。例えばこのエクスカリバーの様に、決まった異性しか持てないものや、とある血統しか持てない物もある。俺みたいに、異世界出身のヤツなんてここにはいない。実質、この世界で生まれ育った者しか勇者にはなれない。
こいつは何者かに騙されてる。検討はまだつかないが、早めに誤解を解いた方がいいだろう。
「とりあえず、話を聞いて欲しいんだけど、その聖剣多分偽物だぞ?」
「何を言う? これは本物だ。ここに刻まれたエクスカリバーの文字が読めないのか?」
いや、なんで聖剣に字が掘ってあるんだよ……。
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