天下界の無信仰者(イレギュラー)
介入
エリヤの攻撃を受け実力を知ったウリエルの目つきがきつくなる。
「なるほど、虚勢ではないということか」
「降参するか? 降参だろ? 降参しとけ、俺様に負ける前にさっさと降参しろ」
「ムカつく男だな貴様は!」
ウリエルは剣を振るいズカズカと歩いてくる。降参どころかさらにやる気を増している。エリヤもボクシングポーズで応戦する気満々だ。
再び戦いが始まる。
そんな時だった。
「待ちなさーい!」
二人を呼び止める声が聞こえてきた。見ればさきほど逃げ出した男の子が言ったのか、衛兵が走ってきていた。
「騒ぎを起こしているというのはあなたたちだね? いったいなにが原因だね?」
衛兵の男性が聞いてくる。喧嘩をしている二人を仲裁しようといぶかしむ表情だ。
エリヤは答えるためウリエルを指さした。
「「こいつだ!」」
「?」
しかし指を指してきたのはウリエルも同じだった。
「なに!?」
「む」
お互い犯人扱いされ苛つき衛兵は小首を傾げている。
「「違う、こいつだ!」」
「??」
それでもう一度言うのだがまたも重なった。
「お前ふざけんなよ!」
「それはこっちの台詞だ! 私はただ助けようとしただけなのに――」
一向に非を認めようとしない相手にエリヤもウリエルも口論に熱が入る。衛兵そっちのけで言い合っていた。
そこへ衛兵が割って入る。
「分かった分かった、とりあえず二人とも連行しますね」
「「なに!?」」
その一言に二人同時に振り返った。
「おい、それは待てよ。謹慎中なのにそんなことされたらマジでやばいって!」
「それはあなたの問題でしょう」
「私は行くわけにはいかないんです!」
「それもあなたの問題でしょう」
衛兵の冷たい事務的対応が刺さる。
このままではやばい。エリヤの頭の中を嫌な想像が駆けめぐる。主にミルフィアの説教やエノクの冷たい態度が。
「くそ! おい、こっちに逃げるぞ!」
それだけはなんとしても避けるべく、エリヤはウリエルの手を掴むと走り出した。
「なっ、ちょっと!」
「おい、逃げるな!」
衛兵が追いかけてくる。エリヤはウリエルを引きながらスタコラサッサと必死に逃げ切るのだった。
*
それから十数分後。衛兵からなんとか逃げ切り二人は路地裏に来ていた。壁に背もたれ荒い息を吐く。
「まったく、なんて日だ……」
エリヤの口から愚痴がこぼれる。
「それはこっちの台詞だ」
ウリエルはしゃがみながら休んでいたが息が落ち着くと立ち上がった。
「それで、私をどうするつもりだ? まだ捕まえる気か?」
「それなんだけどな、どうすっかな、俺まで捕まるのは嫌だし」
「真面目なのかいい加減なのか分からない男だな」
困った表情をするエリヤをウリエルは見つめる。なんともつかみ所がない男だ。
「お前がどういうつもりだろうが私に逮捕される理由はない。転んだ男の子に手を貸そうとしただけだ」
「なんだ、そうだったのか? ならもっと早くに言えよ」
「何度も言った!」
頭に来る。ウリエルは苛立ちが収まらないものの諦めたように息を吐いた。
「はあ。もういい、誤解が解けたなら私は行く」
「おい」
ウリエルは路地裏から外へ出た。うんざりとした様子だがエリヤは追いかけた。
「なるほど、虚勢ではないということか」
「降参するか? 降参だろ? 降参しとけ、俺様に負ける前にさっさと降参しろ」
「ムカつく男だな貴様は!」
ウリエルは剣を振るいズカズカと歩いてくる。降参どころかさらにやる気を増している。エリヤもボクシングポーズで応戦する気満々だ。
再び戦いが始まる。
そんな時だった。
「待ちなさーい!」
二人を呼び止める声が聞こえてきた。見ればさきほど逃げ出した男の子が言ったのか、衛兵が走ってきていた。
「騒ぎを起こしているというのはあなたたちだね? いったいなにが原因だね?」
衛兵の男性が聞いてくる。喧嘩をしている二人を仲裁しようといぶかしむ表情だ。
エリヤは答えるためウリエルを指さした。
「「こいつだ!」」
「?」
しかし指を指してきたのはウリエルも同じだった。
「なに!?」
「む」
お互い犯人扱いされ苛つき衛兵は小首を傾げている。
「「違う、こいつだ!」」
「??」
それでもう一度言うのだがまたも重なった。
「お前ふざけんなよ!」
「それはこっちの台詞だ! 私はただ助けようとしただけなのに――」
一向に非を認めようとしない相手にエリヤもウリエルも口論に熱が入る。衛兵そっちのけで言い合っていた。
そこへ衛兵が割って入る。
「分かった分かった、とりあえず二人とも連行しますね」
「「なに!?」」
その一言に二人同時に振り返った。
「おい、それは待てよ。謹慎中なのにそんなことされたらマジでやばいって!」
「それはあなたの問題でしょう」
「私は行くわけにはいかないんです!」
「それもあなたの問題でしょう」
衛兵の冷たい事務的対応が刺さる。
このままではやばい。エリヤの頭の中を嫌な想像が駆けめぐる。主にミルフィアの説教やエノクの冷たい態度が。
「くそ! おい、こっちに逃げるぞ!」
それだけはなんとしても避けるべく、エリヤはウリエルの手を掴むと走り出した。
「なっ、ちょっと!」
「おい、逃げるな!」
衛兵が追いかけてくる。エリヤはウリエルを引きながらスタコラサッサと必死に逃げ切るのだった。
*
それから十数分後。衛兵からなんとか逃げ切り二人は路地裏に来ていた。壁に背もたれ荒い息を吐く。
「まったく、なんて日だ……」
エリヤの口から愚痴がこぼれる。
「それはこっちの台詞だ」
ウリエルはしゃがみながら休んでいたが息が落ち着くと立ち上がった。
「それで、私をどうするつもりだ? まだ捕まえる気か?」
「それなんだけどな、どうすっかな、俺まで捕まるのは嫌だし」
「真面目なのかいい加減なのか分からない男だな」
困った表情をするエリヤをウリエルは見つめる。なんともつかみ所がない男だ。
「お前がどういうつもりだろうが私に逮捕される理由はない。転んだ男の子に手を貸そうとしただけだ」
「なんだ、そうだったのか? ならもっと早くに言えよ」
「何度も言った!」
頭に来る。ウリエルは苛立ちが収まらないものの諦めたように息を吐いた。
「はあ。もういい、誤解が解けたなら私は行く」
「おい」
ウリエルは路地裏から外へ出た。うんざりとした様子だがエリヤは追いかけた。
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