天下界の無信仰者(イレギュラー)
どうやらお前を倒すにはこの私自らやらねばならんらしい
耐えられない。
普通なら。
「弱すぎるぜ」
それを、神愛は易々と見越していた。
神愛は手を向ける。迫る暗黒の天体に向かって。掌の先には黄金の光が収束していく。ミルフィアも神愛と同じく手を伸ばし、二人で作り出す黄金の力が、一条の光となって宇宙を切り裂いた。
物理の限界を超越し、黄金は光速を超えブラックホールに直撃した。光がブラックホールに飲み込まれていく。消えていくかのように見えるが、ブラックホールに亀裂が入っていくかのように黄金が現れ始め、暗黒の天体は爆発した。
すさまじい衝撃波だ。すべての星を同時に爆発させたようなもの。ここ一帯だけでなく宇宙全域を襲う規模だ。無数の星があっけなく消滅していく。
そんな言葉にもならない暴風域の中にいるのだ、当然神愛もミカエルもこの破壊の衝撃を受けている。太陽系どころか銀河すら息を吹きかけられた水泡のように消えるこの衝撃を。宇宙規模の津波だ、星々は消える。
だが、
しかし、
だとしても。
両者健在。その姿に傷一つありはしない。変わらない姿で神愛もミカエルも立ち続けていた。
「馬鹿な……」
ここにきてミカエルもさすがに驚いた。
(単一宇宙破壊攻撃だぞ?)
ミカエルの思ったとおり今のブラックホールは宇宙一個を破壊できるだけの力を持っていた。
破壊という意味だけなら神業だ。それを易々砕くなどそれこそ神業。
今の神愛は神域にいる。というよりも神そのものだ。しかも神が当たり前のようにいる神理時代においてもまったく別次元の神。
純白のコートは宇宙に残る余波に揺れ、湧き上がる金色は太陽のごとく光を放ち、背後に控える女神は勝利を歌う。立ち上がる黄金は燃えさかり、古の王の帰還に震えて歓喜する。
真の神だ。無限の次元を創造し、人類を作り出した、全生命体の父だ。
だがその事実をミカエルが知るはずもなく、また彼にとってそんなことはどうでもいいことだ。
やつを倒す。正体など関係ない。理想の実現のためにやることは変わらない。
「どうしたミカエル、お手玉遊びはもうお終いか?」
恒星だけでなくブラックホールまでお手玉と揶揄する。
ミカエルは表情を引き締め、今まで触れることのなかった剣に手を伸ばした。
「どうやらお前を倒すにはこの私自らやらねばならんらしい」
剣が鞘から引き抜かれ、隙間から白光が漏れ出した。それは伝説と化した反逆者ルシファーを倒した愛剣。星の輝きを用いて鍛え上げたその剣は神秘そのものだ。
神愛は拳を握りしめミカエルの前にまで飛んだ。ミカエルの顔面を狙い右ストレートを放つ。今までの想いを込めた、全力の一撃だ。
だがミカエルは躱すどころか剣で防ぐ素振りも見せなかった。
「?」
神愛に疑問が走るが止める理由もない。そのまま拳はミカエルの額に直撃した。惑星破壊規模の衝撃に周囲の岩石が飛び散った。太陽やブラックホールの崩壊によりここ一帯はチリやガスが漂っており、それらが触媒となり衝撃波を生んでいた。
だが、
「なに!?」
それ以上の衝撃が神愛を襲う。
ミカエルは無傷。神愛の攻撃を受けてなお。その表情は依然と不敵な笑みを浮かべ痛苦の様子など微塵もない。
ミカエルは剣を振るい神愛は下がった。距離を開けミカエルを見つめるが表情は険しい。当てた攻撃、それが通用していない。
「無駄なんだよイレギュラー。私は傷つかない。誰であろうとも私を傷つけることは不可能なんだ」
「傷つかない?」
普通なら。
「弱すぎるぜ」
それを、神愛は易々と見越していた。
神愛は手を向ける。迫る暗黒の天体に向かって。掌の先には黄金の光が収束していく。ミルフィアも神愛と同じく手を伸ばし、二人で作り出す黄金の力が、一条の光となって宇宙を切り裂いた。
物理の限界を超越し、黄金は光速を超えブラックホールに直撃した。光がブラックホールに飲み込まれていく。消えていくかのように見えるが、ブラックホールに亀裂が入っていくかのように黄金が現れ始め、暗黒の天体は爆発した。
すさまじい衝撃波だ。すべての星を同時に爆発させたようなもの。ここ一帯だけでなく宇宙全域を襲う規模だ。無数の星があっけなく消滅していく。
そんな言葉にもならない暴風域の中にいるのだ、当然神愛もミカエルもこの破壊の衝撃を受けている。太陽系どころか銀河すら息を吹きかけられた水泡のように消えるこの衝撃を。宇宙規模の津波だ、星々は消える。
だが、
しかし、
だとしても。
両者健在。その姿に傷一つありはしない。変わらない姿で神愛もミカエルも立ち続けていた。
「馬鹿な……」
ここにきてミカエルもさすがに驚いた。
(単一宇宙破壊攻撃だぞ?)
ミカエルの思ったとおり今のブラックホールは宇宙一個を破壊できるだけの力を持っていた。
破壊という意味だけなら神業だ。それを易々砕くなどそれこそ神業。
今の神愛は神域にいる。というよりも神そのものだ。しかも神が当たり前のようにいる神理時代においてもまったく別次元の神。
純白のコートは宇宙に残る余波に揺れ、湧き上がる金色は太陽のごとく光を放ち、背後に控える女神は勝利を歌う。立ち上がる黄金は燃えさかり、古の王の帰還に震えて歓喜する。
真の神だ。無限の次元を創造し、人類を作り出した、全生命体の父だ。
だがその事実をミカエルが知るはずもなく、また彼にとってそんなことはどうでもいいことだ。
やつを倒す。正体など関係ない。理想の実現のためにやることは変わらない。
「どうしたミカエル、お手玉遊びはもうお終いか?」
恒星だけでなくブラックホールまでお手玉と揶揄する。
ミカエルは表情を引き締め、今まで触れることのなかった剣に手を伸ばした。
「どうやらお前を倒すにはこの私自らやらねばならんらしい」
剣が鞘から引き抜かれ、隙間から白光が漏れ出した。それは伝説と化した反逆者ルシファーを倒した愛剣。星の輝きを用いて鍛え上げたその剣は神秘そのものだ。
神愛は拳を握りしめミカエルの前にまで飛んだ。ミカエルの顔面を狙い右ストレートを放つ。今までの想いを込めた、全力の一撃だ。
だがミカエルは躱すどころか剣で防ぐ素振りも見せなかった。
「?」
神愛に疑問が走るが止める理由もない。そのまま拳はミカエルの額に直撃した。惑星破壊規模の衝撃に周囲の岩石が飛び散った。太陽やブラックホールの崩壊によりここ一帯はチリやガスが漂っており、それらが触媒となり衝撃波を生んでいた。
だが、
「なに!?」
それ以上の衝撃が神愛を襲う。
ミカエルは無傷。神愛の攻撃を受けてなお。その表情は依然と不敵な笑みを浮かべ痛苦の様子など微塵もない。
ミカエルは剣を振るい神愛は下がった。距離を開けミカエルを見つめるが表情は険しい。当てた攻撃、それが通用していない。
「無駄なんだよイレギュラー。私は傷つかない。誰であろうとも私を傷つけることは不可能なんだ」
「傷つかない?」
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