天下界の無信仰者(イレギュラー)
だが、これはなんだ? 圧倒? 押しつぶす? 頭を抱えたかった
だが、失敗を知らぬが故の突撃、その代償は大きかった。
「黙れ」
ルシファーは第九の力、空間操作をしながら剣を振るう。刀身は虚空を斬るのみ。しかしその剣撃は空間を超越し、離れた場所にいる男を一方的に切り裂いた!
「がああああ!」
巨体が倒れる。胴体にいくつもの刀創を刻まれて、大きな音を立て地面に倒れた。
敵を倒す、打ち負かす。
それでもなおヘブンズ・ゲートからは天羽たちが押し寄せる。
終わりがない。底が見えない。なぜならそう、これは無限の軍勢。終わらない進撃がルシファーを襲う。
再び囲まれた。視界を覆う幾層にもある白。
ルシファーは敵を睨みつける。無限に沸いて出てくる敵たちを。憎しみに燃え、怒りに燃え、この手自らで地にたたき落としたいと願う者たち。
しかし、その願いは諦めた。
「創造を司る第一の力!」
ルシファーの背後から黒い霧が現れた。それはいくつも、この場に次々と出現する。
それらの霧は広がっていき大きくなると、霧の中から黒の甲冑を着込んだ天馬と、それに跨がる天羽が現れた。
いくつも、いくつも、いくつも、霧の中から地獄の騎兵が現れる。馬はひずめで宙を蹴り跨がる堕天羽は弓で天羽たちをねらい射ってくる。
「各自応戦!」
天羽たちが驚く。突如空間から現れる闇の軍勢に彼らの隊列は崩され混乱していた。無限対一体という構図から一転混戦となっていた。
創造を司る第一の力。それは文字通り創造の力、生命や無機物の区別無く、想像したあらゆるものを実体化させる。
そこに、制限はない。
無限の軍勢をルシファー一人で作り出していた。
「なんと……」
敵の部隊長が唖然とこの場の光景を見つめていた。空中を走り回る無数の白と黒の兵士たち。至るところで雄叫びと剣と剣がぶつかる音、さらには爆発が起こり余波がヘルムから露出する頬を殴りつけた。
彼ら天羽の作戦は、敵の司令官であるルシファーを前線までおびき出し、ヘブンズゲートを移転するとともに増援を送り続け倒すというものだ。
無限の数で圧倒し、押しつぶす。それがこの作戦の基本戦術。
だが、これはなんだ? 圧倒? 押しつぶす? 頭を抱えたかった。
戦況は今や互角、いや不利と言わざるを得ない。ヘブンズゲートが絶えず送り出す無限の増援は健在ではあるが、同時にルシファーが創造する無限の軍勢もまた稼働中。
無限対無限。作戦は根底から破綻した。
「馬鹿な……!」
部隊長の額から汗が流れた。強いとは思っていた、相手はかつての天羽長、そこに油断はなかった。
だからこそヘブンズゲートを移転するという大空間転移術式を組み事に当たった。どれだけ強い相手でも無限にかなう者などいないと思っていた。
想像を越えていたのだ、麓では山頂を見ることが出来ないように。
並の者では、頂点を測ることは出来ない。
「ん?」
黒の騎兵を創造しながら戦うルシファーは頭上に浮かぶヘブンズゲートを見た。能力を使わなくても分かる。来る。離れていたも伝わってくる存在感があった。
それは、ヘブンズゲートの奥から車体を擦りながら現れた。
白い、丸を横に引き延ばしたかのような、それは天界の輸送艦だった。
 卵のように滑らかな外観には両サイドに四枚の有機的翼を有し、マンタのひれのように優雅に動かしては空中を泳いでいる。
 後部にある扉が下がると、中から白い小型廷がいくつも展開し天羽輸送艦の護衛についた。
輸送艦から重力リフトの光がいくつも放たれる。それは負傷した天羽たちを包み込み船内へと運んでいった。
また背部には白い光弾を発射する砲塔三十六基、腹部には機銃がいくつも備わっていた。
それらが一斉に火を噴き堕天羽たちを一掃していく。弾幕が堕天羽たちを打ち落とし連続で放たれる光弾が空中を走る。それらは万魔殿に直撃し城を揺らした。
「く!」
奥歯を噛みしめた。この火力はまずい。結界が壊れる。ルシファーはすぐさに羽を広げ突撃しようとした。だが、敵はそれを許してはくれなかった。
輸送艦から重力リフトの光が三つ、ルシファーの前と左右に照射された。光のトンネルを一つずつ一体分の影が下りてくる。
ルシファーは表情を引き締めた。これだ。さきほどから全身を刺激する存在感の正体。それは輸送艦の登場でもその火力でもない。
真の脅威が三つ、ついに決戦の地へと現れた。
正面から。
「久しぶりだな、ルシファー」
その一つ、ガブリエル。
「あれから五年、探したわよ」
右側、ラファエル。
「よう、ダンナ。殺しに来たぜ」
左側、サリエル。
全員が白衣の上から甲冑を着込み、八枚の羽を広げていた。
「黙れ」
ルシファーは第九の力、空間操作をしながら剣を振るう。刀身は虚空を斬るのみ。しかしその剣撃は空間を超越し、離れた場所にいる男を一方的に切り裂いた!
「がああああ!」
巨体が倒れる。胴体にいくつもの刀創を刻まれて、大きな音を立て地面に倒れた。
敵を倒す、打ち負かす。
それでもなおヘブンズ・ゲートからは天羽たちが押し寄せる。
終わりがない。底が見えない。なぜならそう、これは無限の軍勢。終わらない進撃がルシファーを襲う。
再び囲まれた。視界を覆う幾層にもある白。
ルシファーは敵を睨みつける。無限に沸いて出てくる敵たちを。憎しみに燃え、怒りに燃え、この手自らで地にたたき落としたいと願う者たち。
しかし、その願いは諦めた。
「創造を司る第一の力!」
ルシファーの背後から黒い霧が現れた。それはいくつも、この場に次々と出現する。
それらの霧は広がっていき大きくなると、霧の中から黒の甲冑を着込んだ天馬と、それに跨がる天羽が現れた。
いくつも、いくつも、いくつも、霧の中から地獄の騎兵が現れる。馬はひずめで宙を蹴り跨がる堕天羽は弓で天羽たちをねらい射ってくる。
「各自応戦!」
天羽たちが驚く。突如空間から現れる闇の軍勢に彼らの隊列は崩され混乱していた。無限対一体という構図から一転混戦となっていた。
創造を司る第一の力。それは文字通り創造の力、生命や無機物の区別無く、想像したあらゆるものを実体化させる。
そこに、制限はない。
無限の軍勢をルシファー一人で作り出していた。
「なんと……」
敵の部隊長が唖然とこの場の光景を見つめていた。空中を走り回る無数の白と黒の兵士たち。至るところで雄叫びと剣と剣がぶつかる音、さらには爆発が起こり余波がヘルムから露出する頬を殴りつけた。
彼ら天羽の作戦は、敵の司令官であるルシファーを前線までおびき出し、ヘブンズゲートを移転するとともに増援を送り続け倒すというものだ。
無限の数で圧倒し、押しつぶす。それがこの作戦の基本戦術。
だが、これはなんだ? 圧倒? 押しつぶす? 頭を抱えたかった。
戦況は今や互角、いや不利と言わざるを得ない。ヘブンズゲートが絶えず送り出す無限の増援は健在ではあるが、同時にルシファーが創造する無限の軍勢もまた稼働中。
無限対無限。作戦は根底から破綻した。
「馬鹿な……!」
部隊長の額から汗が流れた。強いとは思っていた、相手はかつての天羽長、そこに油断はなかった。
だからこそヘブンズゲートを移転するという大空間転移術式を組み事に当たった。どれだけ強い相手でも無限にかなう者などいないと思っていた。
想像を越えていたのだ、麓では山頂を見ることが出来ないように。
並の者では、頂点を測ることは出来ない。
「ん?」
黒の騎兵を創造しながら戦うルシファーは頭上に浮かぶヘブンズゲートを見た。能力を使わなくても分かる。来る。離れていたも伝わってくる存在感があった。
それは、ヘブンズゲートの奥から車体を擦りながら現れた。
白い、丸を横に引き延ばしたかのような、それは天界の輸送艦だった。
 卵のように滑らかな外観には両サイドに四枚の有機的翼を有し、マンタのひれのように優雅に動かしては空中を泳いでいる。
 後部にある扉が下がると、中から白い小型廷がいくつも展開し天羽輸送艦の護衛についた。
輸送艦から重力リフトの光がいくつも放たれる。それは負傷した天羽たちを包み込み船内へと運んでいった。
また背部には白い光弾を発射する砲塔三十六基、腹部には機銃がいくつも備わっていた。
それらが一斉に火を噴き堕天羽たちを一掃していく。弾幕が堕天羽たちを打ち落とし連続で放たれる光弾が空中を走る。それらは万魔殿に直撃し城を揺らした。
「く!」
奥歯を噛みしめた。この火力はまずい。結界が壊れる。ルシファーはすぐさに羽を広げ突撃しようとした。だが、敵はそれを許してはくれなかった。
輸送艦から重力リフトの光が三つ、ルシファーの前と左右に照射された。光のトンネルを一つずつ一体分の影が下りてくる。
ルシファーは表情を引き締めた。これだ。さきほどから全身を刺激する存在感の正体。それは輸送艦の登場でもその火力でもない。
真の脅威が三つ、ついに決戦の地へと現れた。
正面から。
「久しぶりだな、ルシファー」
その一つ、ガブリエル。
「あれから五年、探したわよ」
右側、ラファエル。
「よう、ダンナ。殺しに来たぜ」
左側、サリエル。
全員が白衣の上から甲冑を着込み、八枚の羽を広げていた。
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