天下界の無信仰者(イレギュラー)
いいから聞け
よく分からないことに巻き込まれたようだがきっと事故だろう。
ドライバーも相当頭が飛んでいたようだしこのことはもう忘れよう。
そんなことより今は静かでありたい。
が、またもドアがノックされ扉が開かれた。
「入るわよ」
「今度はお前か」
入ってきたのは加豪だった。少しだけ緊張した様子で神愛の前にまで歩いてくる。
「天和はともかく、お前までどうした。気でも触れたのか?」
「あんたに言われたくないわよ、こっちは心配してやってんのに」
「心配?」
「それよりも」
神愛の追求を振り切り、加豪は強引に話題を切り替えた。
「実は以前にミルフィアが甘いものを食べたいって言ったからね、二人でケーキが食べれるお店に入ったのよ。受付のガラスケースにいろいろなケーキが入ってあって、どれにしようかなって私は眺めてたのよ」
「なんの話だ突然」
「いいから聞け」
「う、うん」
突然始まった加豪の話にとりあえず合わせ神愛は相づちを打った。
「そしたらミルフィアはたくさんあるケーキの中わき目もふらず一点だけをじーと見てるの。いったいなにを見てるのかなーって、私もそれを見てみたわけよ。そしたらね」
加豪は一端そこで話を止めると、神愛を見つめ言い放った。
「ミルフィアが見る、ミルフィーユ」
「…………」
「…………」
「…………」
緊急速報。二人の間にブリザード級の寒気が訪れる。
「あれ?」
神愛のリアクションがないからか、手応えのなさに加豪はおかしいなという表情をした。
「あのね、ミルフィアのミルが、見ると、ミルフィーユのミルとかかってて」
「いやいや、分かってる分かってる。そんなこと説明されなくても分かってるんだよ。俺が知りたいのは、どうしてそんなしょうもないダジャレを言うためにお前がわざわざこの部屋に来たのか、ってことなんだよ」
「…………」
「…………」
部屋になんだか気まずい空気が流れる。二人は少しだけ無言のまま見つめ合った。
そしてすべてを理解した加豪は、神愛から顔を背けると扉に向かって歩き始めた。
「ごめん、今のは忘れて」
「ちょっと待てって! 説明してくれよ、どういうことなんだ!?」
「うるさい! 忘れてって言ったでしょう!」
バン!
加豪は乱暴な勢いで扉を閉め出ていった。
「どういうことなんだ……」
神愛は立ち上がった体をベッドに下ろし、額に片手を当てた。
加豪は廊下に出るが、表情は生気を失いグロッキー状態だった。
「死にたい…………」
「加豪、頑張りました。よくやりましたよ」
そんな加豪をミルフィアが優しく迎える。ミルフィアは励ますが加豪は収まりきらず自棄になっていた。
「もう嫌だ私~。帰りたい、五分前に戻りたい。死にたいもぉ~!」
哀れ加豪、その望みは届かない。
加豪は惨敗に終わり、ついにミルフィアの番が回ってきた。
「それじゃラストね、オオトリだからって緊張しなくていいわよ」
「やめてください天和、緊張します」
ミルフィアは扉の前に立ち体を固くしている。こんなこと転生したいくつもの人生を含めても初めてのことだ。
ミルフィアは不安から背後にいる二人を見つめた。
「じゃあ、あと頑張って」
「死にたいもぉ~」
頼れる仲間はみんな目が死んでる。
ドライバーも相当頭が飛んでいたようだしこのことはもう忘れよう。
そんなことより今は静かでありたい。
が、またもドアがノックされ扉が開かれた。
「入るわよ」
「今度はお前か」
入ってきたのは加豪だった。少しだけ緊張した様子で神愛の前にまで歩いてくる。
「天和はともかく、お前までどうした。気でも触れたのか?」
「あんたに言われたくないわよ、こっちは心配してやってんのに」
「心配?」
「それよりも」
神愛の追求を振り切り、加豪は強引に話題を切り替えた。
「実は以前にミルフィアが甘いものを食べたいって言ったからね、二人でケーキが食べれるお店に入ったのよ。受付のガラスケースにいろいろなケーキが入ってあって、どれにしようかなって私は眺めてたのよ」
「なんの話だ突然」
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「う、うん」
突然始まった加豪の話にとりあえず合わせ神愛は相づちを打った。
「そしたらミルフィアはたくさんあるケーキの中わき目もふらず一点だけをじーと見てるの。いったいなにを見てるのかなーって、私もそれを見てみたわけよ。そしたらね」
加豪は一端そこで話を止めると、神愛を見つめ言い放った。
「ミルフィアが見る、ミルフィーユ」
「…………」
「…………」
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神愛のリアクションがないからか、手応えのなさに加豪はおかしいなという表情をした。
「あのね、ミルフィアのミルが、見ると、ミルフィーユのミルとかかってて」
「いやいや、分かってる分かってる。そんなこと説明されなくても分かってるんだよ。俺が知りたいのは、どうしてそんなしょうもないダジャレを言うためにお前がわざわざこの部屋に来たのか、ってことなんだよ」
「…………」
「…………」
部屋になんだか気まずい空気が流れる。二人は少しだけ無言のまま見つめ合った。
そしてすべてを理解した加豪は、神愛から顔を背けると扉に向かって歩き始めた。
「ごめん、今のは忘れて」
「ちょっと待てって! 説明してくれよ、どういうことなんだ!?」
「うるさい! 忘れてって言ったでしょう!」
バン!
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「どういうことなんだ……」
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「死にたい…………」
「加豪、頑張りました。よくやりましたよ」
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「もう嫌だ私~。帰りたい、五分前に戻りたい。死にたいもぉ~!」
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「それじゃラストね、オオトリだからって緊張しなくていいわよ」
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