天下界の無信仰者(イレギュラー)
どうしたんだい、この程度じゃないだろう?
エノクは慈愛連立ではなく、己の信仰に生きると決めたのだ。それこそが、己の慈愛連立だ。
「残念。まったくもって残念残念。残念至極」
その答えにミカエルは心底残念だと顔を横に振る。深いため息を吐いた。
「では仕方がない」
ミカエルは気を切り替え正面を向いた。
話し合いはこれでお終い。議論に意味はない。すでにサイは投げられた。
両陣営、教皇派と神官長派のトップがにらみ合う。この争いの趨勢を決める戦いの火蓋が、落とされた。
エノクは右手を翳す。そこには剣が現れ握りしめた。純白の刀身に輝くほど研いだ刃。彫りのある装飾された柄。聖騎士の時から使用しているエノクの愛剣だ。
「見せてもらおうか、君の力」
ミカエルは両手を小さく広げた。目の前の人間、向かい入れる男を強敵として認めつつも絶対的な自信を崩さない。
瞬間、ミカエルの背が羽ばたいた。
純真純白の八枚の羽。聖画に描かれる天羽の姿よりなお美しい、生きる奇跡。さらに右手には剣が、左手には盾が現れた。両刃の刀身に柄は黄金の装飾が施されている。
聖なる光に包まれて、ミカエルは天羽としてエノクの前に立ちふさがった。
「天羽軍天羽長、ミカエル。来るといいエノク、この戦いがすべてを決める運命の一戦だ」
ミカエルは浮上し、剣をエノクに突きつける!
両者同時に駆け出した。剣を振り上げぶつけ合う。瞬間、衝撃波に家具のすべてが吹き飛んだ。
両者の剣戟、高速で振るわれる互いの剣がぶつかり合うたびに余波で部屋が壊れていく。
エノクは剣を両手で握り振り下げた。力強い一閃に衰えは見られない。
ミカエルは吹き飛ばされベランダを割り外へと飛び出した。エノクは急いでベランダ前に近寄るとミカエルは上空で羽を広げ浮遊していた。
「どうしたんだい、この程度じゃないだろう?」
そこに一切の痛みは見れれない。まだまだ余裕の表情だ。
エノクはベランダから跳んだ。ミカエルの正面で制止するとエノクは空間に立った。落下することなくそこに足場があるように。
そのまま剣の構えを取ると、一拍の間を空けて斬りかかった。
その速度、部屋に居た時とは比べものにならない。初撃は様子見か準備運動だったのか、エノクが振るう剣はもはや極大の雷撃にも似た強烈さだった。
速度、勢い、すべてが他の騎士を圧倒している。
だが、それを前にしてもミカエルの微笑にひびが入ることはなかった。
エノクの一撃を左の盾で受け止める。その衝撃音は本当に雷鳴のようだった。轟音が天に鳴り響き両者の超常ぶりを物語っている。
「君とはいつかこうしてみたかったんだ、個人的な好奇心としてね」
二人の力がぶつかり合う。剣と盾の押し合いの中ミカエルは平常心のままだ。
「人間から七大天羽になったのは君の神託物しかいない。その実力、興味を持つのはごく自然なものだろう?」
エノクが剣を振り抜きミカエルは後方に押された。ミカエルは羽を全開に広げ減速し、立ち止まる。
「よくぞここまで強くなった。だが、果たして私を倒せるかな」
ミカエルは片手剣で虚空を切り裂いた後、はじめて構えを取った。不敵な笑みはそのままに油断のない視線がエノクを捉える。
瞬間、空間転移を行なったのは同時だった。
空間のあちらこちらで衝撃波が発生していた。それは空気の壁となって辺りの建物の窓ガラスを破裂させていく。
その正体は二人の剣戟だ。剣を交えては空間転移を繰り返し予測不可能な空間衝撃が炸裂している。
ミカエルは剣を振り被ると、刀身に光が集い始めた。剣は光に覆われクリスタルに似た輝きを放つ。それを渾身の力で振るいエノクを吹き飛ばした。
「残念。まったくもって残念残念。残念至極」
その答えにミカエルは心底残念だと顔を横に振る。深いため息を吐いた。
「では仕方がない」
ミカエルは気を切り替え正面を向いた。
話し合いはこれでお終い。議論に意味はない。すでにサイは投げられた。
両陣営、教皇派と神官長派のトップがにらみ合う。この争いの趨勢を決める戦いの火蓋が、落とされた。
エノクは右手を翳す。そこには剣が現れ握りしめた。純白の刀身に輝くほど研いだ刃。彫りのある装飾された柄。聖騎士の時から使用しているエノクの愛剣だ。
「見せてもらおうか、君の力」
ミカエルは両手を小さく広げた。目の前の人間、向かい入れる男を強敵として認めつつも絶対的な自信を崩さない。
瞬間、ミカエルの背が羽ばたいた。
純真純白の八枚の羽。聖画に描かれる天羽の姿よりなお美しい、生きる奇跡。さらに右手には剣が、左手には盾が現れた。両刃の刀身に柄は黄金の装飾が施されている。
聖なる光に包まれて、ミカエルは天羽としてエノクの前に立ちふさがった。
「天羽軍天羽長、ミカエル。来るといいエノク、この戦いがすべてを決める運命の一戦だ」
ミカエルは浮上し、剣をエノクに突きつける!
両者同時に駆け出した。剣を振り上げぶつけ合う。瞬間、衝撃波に家具のすべてが吹き飛んだ。
両者の剣戟、高速で振るわれる互いの剣がぶつかり合うたびに余波で部屋が壊れていく。
エノクは剣を両手で握り振り下げた。力強い一閃に衰えは見られない。
ミカエルは吹き飛ばされベランダを割り外へと飛び出した。エノクは急いでベランダ前に近寄るとミカエルは上空で羽を広げ浮遊していた。
「どうしたんだい、この程度じゃないだろう?」
そこに一切の痛みは見れれない。まだまだ余裕の表情だ。
エノクはベランダから跳んだ。ミカエルの正面で制止するとエノクは空間に立った。落下することなくそこに足場があるように。
そのまま剣の構えを取ると、一拍の間を空けて斬りかかった。
その速度、部屋に居た時とは比べものにならない。初撃は様子見か準備運動だったのか、エノクが振るう剣はもはや極大の雷撃にも似た強烈さだった。
速度、勢い、すべてが他の騎士を圧倒している。
だが、それを前にしてもミカエルの微笑にひびが入ることはなかった。
エノクの一撃を左の盾で受け止める。その衝撃音は本当に雷鳴のようだった。轟音が天に鳴り響き両者の超常ぶりを物語っている。
「君とはいつかこうしてみたかったんだ、個人的な好奇心としてね」
二人の力がぶつかり合う。剣と盾の押し合いの中ミカエルは平常心のままだ。
「人間から七大天羽になったのは君の神託物しかいない。その実力、興味を持つのはごく自然なものだろう?」
エノクが剣を振り抜きミカエルは後方に押された。ミカエルは羽を全開に広げ減速し、立ち止まる。
「よくぞここまで強くなった。だが、果たして私を倒せるかな」
ミカエルは片手剣で虚空を切り裂いた後、はじめて構えを取った。不敵な笑みはそのままに油断のない視線がエノクを捉える。
瞬間、空間転移を行なったのは同時だった。
空間のあちらこちらで衝撃波が発生していた。それは空気の壁となって辺りの建物の窓ガラスを破裂させていく。
その正体は二人の剣戟だ。剣を交えては空間転移を繰り返し予測不可能な空間衝撃が炸裂している。
ミカエルは剣を振り被ると、刀身に光が集い始めた。剣は光に覆われクリスタルに似た輝きを放つ。それを渾身の力で振るいエノクを吹き飛ばした。
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