天下界の無信仰者(イレギュラー)
油断してはなりません
俺はメタトロンに駆け寄った。全身で空気の壁を突破する。超スピードのままメタトロンに近づき、顔面を殴りつけた。
「はあ!」
メタトロンがのけ反る。以前の戦いではミルフィアの攻撃を受けてびくともしなかった巨体が背中を曲げていた。
だが終わらない。俺は腹部まで空間転移するとその腹を殴りつけた。
「ワン・トュー!」
左拳を当てた後全力の右ストレートをぶち込む。このほどの巨体、殴るほど接近すればでかい壁だ。体のどの部位かなんてここからでは分からない。
だが、目の前の壁が後退した。大地に立つ両足が引きずられ、地割れのような跡を地面に残していく。
俺はさらに叩き込んだ。
「ワントュー! ワントュー! ワントュー!」
何度も、何度も何度も何度も! 思いを拳に乗せて、何度も殴りつける。
その度に加速を付けながらメタトロンは後退していった。町はめちゃくちゃだ、メタトロンとの衝突にいくつもの建物が倒壊していく。
『ありがとう、神愛君』
俺に堕天羽だと告げた時、恵瑠はどこか諦めていた。だけど俺が友達だと言うと、あいつは喜んだ。涙を流すほど、喜んでいたんだ!
「バスタァアー!」
振り被り黄金に輝く渾身の一撃を打ち込む。
メタトロンが吹き飛んだ。足が地面から離れ宙を飛び、地面に倒れたのだ。
轟音が辺りに響く。漂う白煙にメタトロンの姿が見えなくなる。俺はメタトロンが倒れた場所を上空から見下ろしていた。
瞬間、白煙を切り裂きメタトロンが走り出してきた。走る足が大地に立つたび地面を破壊して、メタトロンは助走をつけ殴りつけてきたのだ。
その破壊力、さっきのとは比べものにならない。ただでさえ重い拳に速度までつけば威力は倍以上だ。
拳が迫る。はじめは拳と分かるそれがすぐに壁となり視界を覆う。その迫力、まるで隕石でも衝突するかのようだ。
だが、その拳が俺に届くことはなかった。
『主は傷つけさせません!』
俺の背後に控えるミルフィアが手を伸ばした。
その後、俺の正面、そこに漂う粒子が何枚もの壁を形作ったのだ。妨害の一つとしてメタトロンの攻撃を阻もうとする。
メタトロンの拳と黄金の壁がぶつかった。一枚、二枚といくつもの壁があっけなく砕け散るが、残りの壁で拳が止まった。拳と壁ではげしい火花が散っている。
そこへ、俺は壁ごと拳を殴りつけてやった。
再びメタトロンの体勢が崩れる。
「うおおお!」
俺はメタトロンの顔面へと直進する。
対してメタトロンは両手を前に構え始めた。腕を交えガードしようとするが、そんなことは許さない。
「させるか!」
メタトロンの両側に大量の黄金の粒子が現れる。それは鎖のように伸びメタトロンの両手首に絡まった。
 黄金が縄のように巻き付き、外へと引っ張ったのだ。それによりガードがこじ開けられる。メタトロンも抵抗するが隙間ができた。
その合間を潜り抜け、俺は顔面を左右のフックで何度も殴りつけた。
「なにが正義だ、なにが人助けだ!? 御託並べて人殺し正当化してんじゃねえぞ――」
最後にアッパーを打ち込んでやる!
「ボウシィット(虫酸が走るんだよ)!」
メタトロンが浮かび上がる。やつの身長の半分くらいまで浮いている。
メタトロンを浮いている最中に、俺は空間転移を繰り返し、縦横無尽、あらゆる場所から拳を打ち付けた。その衝撃にメタトロンの巨体が踊るように動いていく。
「おらぁ!」
俺はメタトロンの頭上にまで一気にワープすると、拳を打ち下ろした。
メタトロンが今度は地面へと落ちる。俺は高度を落とし百メートルほどで停止した。相手は沈黙している。その隙に俺は自分の両手を見つめてみた。
すごい。自分でも信じられないくらいだ。あのメタトロンを圧倒している。以前はこっちがぼろぼろだったのに。なのに、今では吹き飛ばし、叩きのめしている。
これが、憑依形態の力か。
『主』
すると背後からミルフィアが話しかけてきた。
『油断はなりません。相手はメタトロン。これで終わる相手ではありません』
「ああ、分かってるさ」
油断なんていない。手加減もしない。
「はあ!」
メタトロンがのけ反る。以前の戦いではミルフィアの攻撃を受けてびくともしなかった巨体が背中を曲げていた。
だが終わらない。俺は腹部まで空間転移するとその腹を殴りつけた。
「ワン・トュー!」
左拳を当てた後全力の右ストレートをぶち込む。このほどの巨体、殴るほど接近すればでかい壁だ。体のどの部位かなんてここからでは分からない。
だが、目の前の壁が後退した。大地に立つ両足が引きずられ、地割れのような跡を地面に残していく。
俺はさらに叩き込んだ。
「ワントュー! ワントュー! ワントュー!」
何度も、何度も何度も何度も! 思いを拳に乗せて、何度も殴りつける。
その度に加速を付けながらメタトロンは後退していった。町はめちゃくちゃだ、メタトロンとの衝突にいくつもの建物が倒壊していく。
『ありがとう、神愛君』
俺に堕天羽だと告げた時、恵瑠はどこか諦めていた。だけど俺が友達だと言うと、あいつは喜んだ。涙を流すほど、喜んでいたんだ!
「バスタァアー!」
振り被り黄金に輝く渾身の一撃を打ち込む。
メタトロンが吹き飛んだ。足が地面から離れ宙を飛び、地面に倒れたのだ。
轟音が辺りに響く。漂う白煙にメタトロンの姿が見えなくなる。俺はメタトロンが倒れた場所を上空から見下ろしていた。
瞬間、白煙を切り裂きメタトロンが走り出してきた。走る足が大地に立つたび地面を破壊して、メタトロンは助走をつけ殴りつけてきたのだ。
その破壊力、さっきのとは比べものにならない。ただでさえ重い拳に速度までつけば威力は倍以上だ。
拳が迫る。はじめは拳と分かるそれがすぐに壁となり視界を覆う。その迫力、まるで隕石でも衝突するかのようだ。
だが、その拳が俺に届くことはなかった。
『主は傷つけさせません!』
俺の背後に控えるミルフィアが手を伸ばした。
その後、俺の正面、そこに漂う粒子が何枚もの壁を形作ったのだ。妨害の一つとしてメタトロンの攻撃を阻もうとする。
メタトロンの拳と黄金の壁がぶつかった。一枚、二枚といくつもの壁があっけなく砕け散るが、残りの壁で拳が止まった。拳と壁ではげしい火花が散っている。
そこへ、俺は壁ごと拳を殴りつけてやった。
再びメタトロンの体勢が崩れる。
「うおおお!」
俺はメタトロンの顔面へと直進する。
対してメタトロンは両手を前に構え始めた。腕を交えガードしようとするが、そんなことは許さない。
「させるか!」
メタトロンの両側に大量の黄金の粒子が現れる。それは鎖のように伸びメタトロンの両手首に絡まった。
 黄金が縄のように巻き付き、外へと引っ張ったのだ。それによりガードがこじ開けられる。メタトロンも抵抗するが隙間ができた。
その合間を潜り抜け、俺は顔面を左右のフックで何度も殴りつけた。
「なにが正義だ、なにが人助けだ!? 御託並べて人殺し正当化してんじゃねえぞ――」
最後にアッパーを打ち込んでやる!
「ボウシィット(虫酸が走るんだよ)!」
メタトロンが浮かび上がる。やつの身長の半分くらいまで浮いている。
メタトロンを浮いている最中に、俺は空間転移を繰り返し、縦横無尽、あらゆる場所から拳を打ち付けた。その衝撃にメタトロンの巨体が踊るように動いていく。
「おらぁ!」
俺はメタトロンの頭上にまで一気にワープすると、拳を打ち下ろした。
メタトロンが今度は地面へと落ちる。俺は高度を落とし百メートルほどで停止した。相手は沈黙している。その隙に俺は自分の両手を見つめてみた。
すごい。自分でも信じられないくらいだ。あのメタトロンを圧倒している。以前はこっちがぼろぼろだったのに。なのに、今では吹き飛ばし、叩きのめしている。
これが、憑依形態の力か。
『主』
すると背後からミルフィアが話しかけてきた。
『油断はなりません。相手はメタトロン。これで終わる相手ではありません』
「ああ、分かってるさ」
油断なんていない。手加減もしない。
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