レゾンデートル

雨宮 叶奈

プロローグ

今日は、静かな日曜日。
お母様とお父様はお出かけに行ったみたい。
「レゾンデートル、元気…?」
(えぇ、元気よ。貴女はどう?)
「とっても元気よ、心配してくれてありがとう」

不思議ね、静かだと不安になるわ。
ひとり部屋の隅っこで体育座りでもしようかと椅子から降りてみる。

『ピンポーン』

っ……?
どなたかしら、お母様?それともお父様?

私は玄関へ向かった。

「どなたでしょうか…?」
ドアを開ける。
……イタズラか。
なんだ、ビックリしちゃったじゃない。

「間違いだったみたいだわ…」
(そっか、貴女に何もなくてよかったわ)
「えぇ、そうね……。少し、出掛けてくるわ…」
(………)

一歩間違えれば厨二病や、黒魔術師に見えてしまうゴスロリワンピース。
金色のツインテール。
青い瞳。
いわゆる『フランス人形』
お母様とお父様の趣味なのだけれど。
私はこの格好が大嫌いなの。
でも服装を変えたことがバレたら嫌だから、このまま出掛ける事にする。

私はそっとドアを開けた。

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