炎獄のナイトクラッシュ
寄宿飲酒暴食
ほんの数時間前の先の事件に草臥れた俺たち一行は、その一件で、空は暮れの色を帯び、昼間に半ば強引ながらだが偶然にも確保することができた、あの謎の、居酒屋兼宿兼レストランへ目指していた。
やっぱ、スマホ有ると、便利だなぁ。
スマホの案内に全頼りで歩くと真面目なエリーヌは言う。
「東藤さん、それは俗に言う歩きスマホではないのですか?日本ではこれが社会現象級の大問題となった。そしてそれにより、各所で様々な事故、事件を招き起こした。とか…あー、まぁ、つまりですねー。
歩きスマホ、やめましょう。」
あ、はい。すいません。いつもの癖が…まぁ確かにこの人混みでは危険ですよね…
ていうか、日本人でもない貴女がどうしてその事を?
後、どうせ注意されるなら、三波がよかった…
「そうだよー、やめたほうがいいよ、東藤くん。」
「ごめん…」
(きたー!俺って神か!?願ったり叶ったりだな!何かついてるな。)
そんな茶番劇もとうとう終わりのようだ。
「次の角を左折してすぐですね。」
到着した。ドアを開け入ると…そこは昼間とは打って変わった風景で俺たちを迎えてくれた。
「おー、お帰りー、お客様!」
「お帰りなさいませ。」
昼間の従業員。
そして…
「おー、お帰り!君たちか。やっぱり、来てくれたのか!」
 
まぁ、受付はしてないけど、交渉したしな…
「それじゃあ、早速、受付を頼む。まず自己紹介だな。これから君たちの泊まる宿のオーナーをやっている。レイミー=バルバドール=イツヤだ。レイミーかレミで頼む。そしてあっちの従業員。活発で元気な方、昼間連れ込んだのが、マイミー=イツヤ、私の娘だ。」
なるほどー。通りで…似てると思った。
すると、お返しとしての本気の睨みが返ってきた。
しまった…この人も厨二病&現実世界で見たような変態さんと同様で、心の声、読めるのか…一体この世界にこんな人は何人いるのか…もう特殊能力でも何でもねー…
反省、反省…
反省を確認したと同時に、続けていく。
「そしてあっちの大人しい感じの方が、マイミーの友人のレイ=エルニーナ。後、まぁ色々いる。部屋は二階、丁度4部屋余ってる。鍵を渡しておく。」
「あ、どうも。」
「金は後払いだからよろしく頼む。
後は特に何も無いけど、何かあったら呼んでくれ。」
「ありがとう。」
そしてその脚で、飲み場へと向かう。
「おー。飲もうぜ、お前ら。」
「そうだ、そうだ。飲め、飲め〜。」
これらは全て、酒で頰を赤らめた、おじさん達。全くもって、失礼極まりない…俺は未成年だっつーの!
!!!!
ちょっと待て!
エリーヌ、普通に飲んでんじゃねーか!
未成年だろ!法律的にどうなんだ!
「法律なんて考えているのですか?ここは日本じゃありませんよ。というか、アミルダ王国では、酒は15歳からokです。この私が言うのですから、心配無用です。」
「そうだよ〜。ヒクッ。全く〜、そんなこと、ヒクッ。気にする必要無いんだよ〜。ヒクッ。」
うわぁ…酔ってる。あの優等生、三波京佳が未成年ながら飲酒し、更に泥酔だなんて…しかも見た感じ…飲んだ量がたったコップ一杯…酒、弱すぎじゃないか?」
他人の心配(?)をしながらだが、我ながら、奸な人間だなぁ…なんて考えつつ、乗り気になって酒の方へと、向かった。
この異世界の酒はとても赤く、まるで血のような色の酒が主流だということだろう。
風味はおおきく葡萄を感じられ、俺の鼻腔をくすぐる。
まぁ問題は味だな。
少量のそのワインを口に含み、下の上で転がす。また、グラスを軽く振り、その風味と香りを楽しむ。
うん!何たる美味!16年目にして初めて酒を飲んだがこれはいい!葡萄の風味が生きている!
酒って、素晴らしい。日本は何故これを未成年に禁止しているか。何故?馬鹿なの?
因みにこのワインは先にも言った通り、ワインそのものの味が強く、爽快感且つ果実感が普通と違う。(そもそも、『普通』を知らない俺が言うのも何だが…)
でも、これだけは言える。
酒は美味い。
酒を飲むと共に沢山のテーブルを合わせた大型テーブルの上へと、手作りの酒の肴が出て来る。
肴って…
てか飯は?
慌てて、時計を確認すると、一般の人ならとっくに夕食を終えているであろう時間で、窓から見える外の景色は闇の暗さで全く見えない。また、「今夜は満月のはずだ」と同じ飲みの席にいたおじさんが言っていたが、今現在、空全体に雲がかかって、残念ながら俺たちの異世界初の晩は、月明かりの下で見知らぬ人と酒を交わすということにはならなかった。
その時に…
あの、明るく朗らかと言うのだろうか…その人が両手に、両腕と両肘辺りで、大皿4枚を至妙に平衡にテーブルへと運んできた。
「お望み通りに!飯、持ってきてやったぞ!」
おおー!
男たちがむさ苦しい叫び声をあげる。
無論、俺はその程度の話には首を突っ込まない。
「やだなぁ。君が、飯は!?って言ったから作ってきてあげたというのに。あ、言ってはないのかな。まあいいや。さあさあ、君たち!無駄な嗜みなど捨てて、食え!そして、飲め!早くしないと、私も飲んでやるぞ!」
その言葉で、男たちは早々に目の前の飯を貪る。
何と、猥雑な…下卑ているな…
そんな言葉で罵りつつ、俺も戴くことにしよう。
恐らく、見たところこれは、単純にステーキか…
美味っ!
何だ!
普通の肉とは比でない程に美味い。どうすればいいのか是非伝授させていただきたい。
周りを見ると、エリーヌは…ここは王国子女らしく上品に食事を召しあがる。
笠原はほぼ酔い潰れつつ、数口ぱくついていく。
三波は…酔い潰れて爆睡中。あーあー。無防備な…しかしながら幸い、その少女の寝顔を見ている者はいないらしく(俺、見てるよな…)、完全に守られていた。
あー。美味い、美味い…それから、ただ食べ続けた。
あれからご飯を何杯食べたかは覚えていない。
美味かった!ご馳走さまです!
今回のところはこれでお開きらしく、今回の食事に絶賛しながら帰宅していった。
後片付けを手伝おうかと頼んだが、その必要はないから、部屋へ帰っていいよ。と言われ、ご厚意に甘えてそれぞれ部屋へと帰っていった。
その時にすっかり泥酔して寝込んだ三波を抱えて部屋の前へと上げていった。その後は流石に女子の部屋には入る筈も無く、一番ピンピンしているエリーヌに任せた。
俺はそこから、部屋の中に飛び込み、ベッドへダイブした。
布団の上で、うつ伏せの状態で、今日の振り返りと、これからについて、を真剣に考えた。
しかし、余りにも疲れ果てた体は徐々に自身をコントロールすることが困難になっていき、段々と瞼が落ちていった。
目が醒めると…うつ伏せの状態でベッドに横たわっていた人間がいた。というか、俺のことだ。
窓から白光りの日の光が入り込み、 部屋の中を照らし出している。そこで時計を確認してみる。『9:48』
ヤバっ!
寝過ぎた!一体何時間寝てたんだ!?
布団から飛び上がり、すぐさまに着替えて下へと下りていった。
階段を慌てて駆け下りた音が聞こえたのであろう理由で、全員が俺を注視している。
「遅かったですね。東藤さん。何をしていたのでしょうか?まぁ、角はともあれ、揃いましたことですし、朝食を頂きましょう。」
「我はもう空腹である。貴様、早くこちらへ来るがいい。」
正直なところ昨夜の食事で殆ど満腹だった俺は、途中、とても食べるのに困り、フォークとナイフを置いた。
そして、昨日俺程に食べなかった女性陣は早くも、俺がまだ半分弱くらいしか食べていないというのに、もう完食し、立ち上がった。
「えっと、東藤さん、私たち、クエスト確認のため一足先にギルド本部へ参りますので、ひと段落つきましたら、後追って頂きますよう、お願いします。それでは。」
マジか。普通、仲間なのだから、待ってくれたりしないの!?
色々な意味で辛い。
まあ、まだまだこれからだな。
急いで、飯を掻き込み、何とか完食した。
こんな状態でなければ、もっと美味しく感じられただろうに…生憎の状況だ…全くもって無念だ。
気を取り直し、少しばかりの休憩を入れようかと思ったが、実際そんな時間は無く、あまりに慌てていた為に少々乱雑に扱われた用意を持って、ドアを蹴破って、3人の後を追うのであった。無論、そんな勢い良くドアを蹴破ることは、レイミーさんに怒鳴られる原因にしかならず、それを無視して飛び出して来てしまった自分への後悔と、次回帰って来る際の不安を感じながら。
やっぱ、スマホ有ると、便利だなぁ。
スマホの案内に全頼りで歩くと真面目なエリーヌは言う。
「東藤さん、それは俗に言う歩きスマホではないのですか?日本ではこれが社会現象級の大問題となった。そしてそれにより、各所で様々な事故、事件を招き起こした。とか…あー、まぁ、つまりですねー。
歩きスマホ、やめましょう。」
あ、はい。すいません。いつもの癖が…まぁ確かにこの人混みでは危険ですよね…
ていうか、日本人でもない貴女がどうしてその事を?
後、どうせ注意されるなら、三波がよかった…
「そうだよー、やめたほうがいいよ、東藤くん。」
「ごめん…」
(きたー!俺って神か!?願ったり叶ったりだな!何かついてるな。)
そんな茶番劇もとうとう終わりのようだ。
「次の角を左折してすぐですね。」
到着した。ドアを開け入ると…そこは昼間とは打って変わった風景で俺たちを迎えてくれた。
「おー、お帰りー、お客様!」
「お帰りなさいませ。」
昼間の従業員。
そして…
「おー、お帰り!君たちか。やっぱり、来てくれたのか!」
 
まぁ、受付はしてないけど、交渉したしな…
「それじゃあ、早速、受付を頼む。まず自己紹介だな。これから君たちの泊まる宿のオーナーをやっている。レイミー=バルバドール=イツヤだ。レイミーかレミで頼む。そしてあっちの従業員。活発で元気な方、昼間連れ込んだのが、マイミー=イツヤ、私の娘だ。」
なるほどー。通りで…似てると思った。
すると、お返しとしての本気の睨みが返ってきた。
しまった…この人も厨二病&現実世界で見たような変態さんと同様で、心の声、読めるのか…一体この世界にこんな人は何人いるのか…もう特殊能力でも何でもねー…
反省、反省…
反省を確認したと同時に、続けていく。
「そしてあっちの大人しい感じの方が、マイミーの友人のレイ=エルニーナ。後、まぁ色々いる。部屋は二階、丁度4部屋余ってる。鍵を渡しておく。」
「あ、どうも。」
「金は後払いだからよろしく頼む。
後は特に何も無いけど、何かあったら呼んでくれ。」
「ありがとう。」
そしてその脚で、飲み場へと向かう。
「おー。飲もうぜ、お前ら。」
「そうだ、そうだ。飲め、飲め〜。」
これらは全て、酒で頰を赤らめた、おじさん達。全くもって、失礼極まりない…俺は未成年だっつーの!
!!!!
ちょっと待て!
エリーヌ、普通に飲んでんじゃねーか!
未成年だろ!法律的にどうなんだ!
「法律なんて考えているのですか?ここは日本じゃありませんよ。というか、アミルダ王国では、酒は15歳からokです。この私が言うのですから、心配無用です。」
「そうだよ〜。ヒクッ。全く〜、そんなこと、ヒクッ。気にする必要無いんだよ〜。ヒクッ。」
うわぁ…酔ってる。あの優等生、三波京佳が未成年ながら飲酒し、更に泥酔だなんて…しかも見た感じ…飲んだ量がたったコップ一杯…酒、弱すぎじゃないか?」
他人の心配(?)をしながらだが、我ながら、奸な人間だなぁ…なんて考えつつ、乗り気になって酒の方へと、向かった。
この異世界の酒はとても赤く、まるで血のような色の酒が主流だということだろう。
風味はおおきく葡萄を感じられ、俺の鼻腔をくすぐる。
まぁ問題は味だな。
少量のそのワインを口に含み、下の上で転がす。また、グラスを軽く振り、その風味と香りを楽しむ。
うん!何たる美味!16年目にして初めて酒を飲んだがこれはいい!葡萄の風味が生きている!
酒って、素晴らしい。日本は何故これを未成年に禁止しているか。何故?馬鹿なの?
因みにこのワインは先にも言った通り、ワインそのものの味が強く、爽快感且つ果実感が普通と違う。(そもそも、『普通』を知らない俺が言うのも何だが…)
でも、これだけは言える。
酒は美味い。
酒を飲むと共に沢山のテーブルを合わせた大型テーブルの上へと、手作りの酒の肴が出て来る。
肴って…
てか飯は?
慌てて、時計を確認すると、一般の人ならとっくに夕食を終えているであろう時間で、窓から見える外の景色は闇の暗さで全く見えない。また、「今夜は満月のはずだ」と同じ飲みの席にいたおじさんが言っていたが、今現在、空全体に雲がかかって、残念ながら俺たちの異世界初の晩は、月明かりの下で見知らぬ人と酒を交わすということにはならなかった。
その時に…
あの、明るく朗らかと言うのだろうか…その人が両手に、両腕と両肘辺りで、大皿4枚を至妙に平衡にテーブルへと運んできた。
「お望み通りに!飯、持ってきてやったぞ!」
おおー!
男たちがむさ苦しい叫び声をあげる。
無論、俺はその程度の話には首を突っ込まない。
「やだなぁ。君が、飯は!?って言ったから作ってきてあげたというのに。あ、言ってはないのかな。まあいいや。さあさあ、君たち!無駄な嗜みなど捨てて、食え!そして、飲め!早くしないと、私も飲んでやるぞ!」
その言葉で、男たちは早々に目の前の飯を貪る。
何と、猥雑な…下卑ているな…
そんな言葉で罵りつつ、俺も戴くことにしよう。
恐らく、見たところこれは、単純にステーキか…
美味っ!
何だ!
普通の肉とは比でない程に美味い。どうすればいいのか是非伝授させていただきたい。
周りを見ると、エリーヌは…ここは王国子女らしく上品に食事を召しあがる。
笠原はほぼ酔い潰れつつ、数口ぱくついていく。
三波は…酔い潰れて爆睡中。あーあー。無防備な…しかしながら幸い、その少女の寝顔を見ている者はいないらしく(俺、見てるよな…)、完全に守られていた。
あー。美味い、美味い…それから、ただ食べ続けた。
あれからご飯を何杯食べたかは覚えていない。
美味かった!ご馳走さまです!
今回のところはこれでお開きらしく、今回の食事に絶賛しながら帰宅していった。
後片付けを手伝おうかと頼んだが、その必要はないから、部屋へ帰っていいよ。と言われ、ご厚意に甘えてそれぞれ部屋へと帰っていった。
その時にすっかり泥酔して寝込んだ三波を抱えて部屋の前へと上げていった。その後は流石に女子の部屋には入る筈も無く、一番ピンピンしているエリーヌに任せた。
俺はそこから、部屋の中に飛び込み、ベッドへダイブした。
布団の上で、うつ伏せの状態で、今日の振り返りと、これからについて、を真剣に考えた。
しかし、余りにも疲れ果てた体は徐々に自身をコントロールすることが困難になっていき、段々と瞼が落ちていった。
目が醒めると…うつ伏せの状態でベッドに横たわっていた人間がいた。というか、俺のことだ。
窓から白光りの日の光が入り込み、 部屋の中を照らし出している。そこで時計を確認してみる。『9:48』
ヤバっ!
寝過ぎた!一体何時間寝てたんだ!?
布団から飛び上がり、すぐさまに着替えて下へと下りていった。
階段を慌てて駆け下りた音が聞こえたのであろう理由で、全員が俺を注視している。
「遅かったですね。東藤さん。何をしていたのでしょうか?まぁ、角はともあれ、揃いましたことですし、朝食を頂きましょう。」
「我はもう空腹である。貴様、早くこちらへ来るがいい。」
正直なところ昨夜の食事で殆ど満腹だった俺は、途中、とても食べるのに困り、フォークとナイフを置いた。
そして、昨日俺程に食べなかった女性陣は早くも、俺がまだ半分弱くらいしか食べていないというのに、もう完食し、立ち上がった。
「えっと、東藤さん、私たち、クエスト確認のため一足先にギルド本部へ参りますので、ひと段落つきましたら、後追って頂きますよう、お願いします。それでは。」
マジか。普通、仲間なのだから、待ってくれたりしないの!?
色々な意味で辛い。
まあ、まだまだこれからだな。
急いで、飯を掻き込み、何とか完食した。
こんな状態でなければ、もっと美味しく感じられただろうに…生憎の状況だ…全くもって無念だ。
気を取り直し、少しばかりの休憩を入れようかと思ったが、実際そんな時間は無く、あまりに慌てていた為に少々乱雑に扱われた用意を持って、ドアを蹴破って、3人の後を追うのであった。無論、そんな勢い良くドアを蹴破ることは、レイミーさんに怒鳴られる原因にしかならず、それを無視して飛び出して来てしまった自分への後悔と、次回帰って来る際の不安を感じながら。
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