炎獄のナイトクラッシュ
異世界=余裕=満喫
無事、チュートリアルをクリアし、街へと帰還した俺たちは、チュートリアルクリアの報酬金やら、アイテムなどや、大切な書類等を受け取ってギルド本部を後にした。
はぁー。チュートリアル、疲れたー。
「東藤さん、これからどうしますか?」
エリーヌが尋ねて来た。
しかし今の体力は消耗しきっていて、返答する気力すら残っていない。
「そうだな、おい、一体どうするんだ?答えろ。」
「はい、お願いします。東藤君。」
はーい、三波が望むなら。畏まりましたー。
「そうだな、今の時刻が大体午前11時30分程度。とりあえず飯でも食おうぜ。こんだけ街がデカイと流石に何軒かレストランくらいあるだろう。」
「そうだね。賛成!」
そして俺の意見が通り(俺の意見しか候補は無い)昼食をとる事になった。
グーーー。
あ、お腹が鳴った。誰だろう。うーん…あ、分かった。三波ですね。自身の羞恥心を前面に出すように、赤面を顰めてそしてその顔を両手で深々と覆い黙ったまま俯く事、数秒。
すると、恐らく何処かの店の店員っぽい、ウェイトレスの姿の女性が…
「あ、貴方方。冒険者様ですか。ならば、嘸かしお腹が空いているのではありませんか。どうぞ、どうぞ。あちらのレストランで空腹を満たして下さいな。」
という事で最近で数えて3番目の、半強制的な勧めにより渋々その店員の後ろに付いていった。
着いたのはその数十秒後。
因みにその名は『シェフ バルバドール・ダビ』
人の名前のようだ。まぁ、空腹でそろそろ飢えそうだからとりあえず来店。
すると、今度は静かで大人しそうな感じの人が…
「いらっしゃいませ。4名様ですか?」
コクリと頷く。
「それでは、ご案内致します。」
付いて行きながら店内の様子を拝見する。
かなり落ち着いた雰囲気の中に心地よい程度の光で明るさをプラス。音楽はピアノ演奏者が終始落ち着いたテンポの曲で和やかな雰囲気を醸し出している。
着いたのは一階、窓からの景色がなかなか良い奥の席。
えーと…メニューは、と。
お、まず肉かー。
・頬肉と赤ワインのプレゼ
・ブフ・ブルギニオン
牛肉の赤ワイン煮
・仔羊のロティ
にんにく風味
・ヒレ肉とフォアグラのバロティーヌ
うわぁ。見るからに高そうー。
何だよ、バロティーヌって…
隣を見ると三波と笠原は目を輝かせていた。まぁ、当たり前だろう。もう見た事、聞いたことすら無い言葉ばっかだしな。
しかし、エリーヌは流石は王国子女だ。うなづきながら、メニューを見ていく。
はい、次!
魚料理だな。よし、魚は好きだし分かるかもしれない。
・スズキの赤ポルト酒ソース
・カレイのポワレ
きのこと共に
・ハマグリとホタテのガレット
うーん、これもちょっと…ポワレはまだ聞いたことがあるが…一体…?
他にも色々と見てみたが、正直なところ何なのか…
「どうやらここは、フランスの料理が多いですね。」
「そうなのか、全然わかんねー。ところで、エリーヌ。今現在の時刻は12時30分をまわって普通ならランチタイム真っ盛りだが、何故こんなに人が少ないんだろうな。」
無論、言いつつ失礼だと感じた俺は小声でそう尋ねる。
「それはですね…」
「今のは私ではありませんよ。」
と頭を振りながら答えた。
え、じゃあ…
「申し訳ありません、お客様。聞き耳を立てるつもりはなかったのですが…
はい、お察しの通りです。はっきり言うと、ここはランチタイムには人は少ないです。まぁ、元々ここはレストランと言うより宿兼居酒屋。という風な店ですので。私は、昼間は昼食を食べに来る人は少ないから、夜営業にしましょう、と店長に一度だけ提案はしてみた事はあるのですが…店長の言い分によると、ランチタイムのメニューも夜の飲みメニューに負けないくらい美味いから大丈夫だ!という事でした。」
へえー…ご、ご説明ありがとうございます…とは言え、特には言う事も見つからない…
「あのー、東藤君、注文しない?」
「ああ、お喋りもいいが、我は空腹だ…」
すいません。
「えーと、注文いいですかね?」
「ーーーー。」
注文確認を終え、店員が厨房に去ろうとした時、同時に来店を示すドアが開いた。
たっだ今〜。
只今?頭の中に疑問符が上がりつつ後ろを確認すると…
何だ何だ。俺の目の前には女性しか現れないのだろうか…(まぁ、正直なところとても嬉しいですがね。)
「うわっ。キモいぞ!貴様。」
「え、何?笠原さん?」
真面目で純粋な三波の発言だ。
共に背中に不安が過ぎる。
べ、別に、目の前に女性しか現れないから、嬉しいな!だなんて、お、思ってないんだからね。(自分を荒唐無稽な人間と思いつつ、狼狽する自分に惻隠の情を表す。)
頼む。後で何かするから今は許してください。
すると、口だけを動かして伝えてきた。微かなの動きでほんの僅かしか分からなかったが、何とか理解した。「了解した」という言葉を。
「否、何もない。驚かせてしまったようで、すまない。」
おお〜。この全く役立たずの超能力を素晴らしいと思える日が来たなんて…
で、だ。
「お客さんかー。珍しい。
ようこそ、私がオーナーのバルバドールだ。うちのメニューはどれも良いものばかりだから、どんどん食べてくれ。」
何か、大人のお姉さんって感じの人だな…
待っている間はこの人とのお喋り時間だった。(ガールズトークの為、女性陣は唯一の男性陣の俺には目もくれなかった…)
そこで
「お待たせ致しました。鴨のコンフィです。」
流石にどの料理も高いから、単品にしておいた。これも十分すぎるほど高いけど。
また、次々と皿が運ばれてくる。
はぁー、美味かった。
そうして駆け出し冒険者達のたった、数分、数時間の束の間の休息を終え、席を立ち、お暇しようと思ったその瞬間…
「お客さん達!さっきの話で、これから宿を探すといったが、本当か?うちの者が引っ張って無理矢理連れ込んだみたいで、さっきはすまなかった。お詫びといっては何だがうちに泊まっていかないか。色々礼もしたい。どうだろう。」
「東藤さん、千載一遇のチャンスが転がり込んできましたね。」
「私は良いと思うよ。」
「いいだろう、悪い話では無いようだからな。」
「じゃあ、そういう事なので、お願いします。」
「よし。ありがとう。これから、よろしく。」
握手。やはり、こういう事は世界共通なのか、いや、異世界は世界に含まれ…る、か…
まぁ、何でも良い。
「はぁー。」
思わず安堵の溜息が漏れる。
そうして、時間も余っていることだし、市内を散策しようと俺たちはこの宿を出ていく。
「いってらっしゃい。」
「行ってきます。」
こんな感じで。これからも是非、余裕の異世界ライフを満喫したいところだ。
この時、ドアを開く音は俺には、始まりの音にしか聞こえなかった。
はぁー。チュートリアル、疲れたー。
「東藤さん、これからどうしますか?」
エリーヌが尋ねて来た。
しかし今の体力は消耗しきっていて、返答する気力すら残っていない。
「そうだな、おい、一体どうするんだ?答えろ。」
「はい、お願いします。東藤君。」
はーい、三波が望むなら。畏まりましたー。
「そうだな、今の時刻が大体午前11時30分程度。とりあえず飯でも食おうぜ。こんだけ街がデカイと流石に何軒かレストランくらいあるだろう。」
「そうだね。賛成!」
そして俺の意見が通り(俺の意見しか候補は無い)昼食をとる事になった。
グーーー。
あ、お腹が鳴った。誰だろう。うーん…あ、分かった。三波ですね。自身の羞恥心を前面に出すように、赤面を顰めてそしてその顔を両手で深々と覆い黙ったまま俯く事、数秒。
すると、恐らく何処かの店の店員っぽい、ウェイトレスの姿の女性が…
「あ、貴方方。冒険者様ですか。ならば、嘸かしお腹が空いているのではありませんか。どうぞ、どうぞ。あちらのレストランで空腹を満たして下さいな。」
という事で最近で数えて3番目の、半強制的な勧めにより渋々その店員の後ろに付いていった。
着いたのはその数十秒後。
因みにその名は『シェフ バルバドール・ダビ』
人の名前のようだ。まぁ、空腹でそろそろ飢えそうだからとりあえず来店。
すると、今度は静かで大人しそうな感じの人が…
「いらっしゃいませ。4名様ですか?」
コクリと頷く。
「それでは、ご案内致します。」
付いて行きながら店内の様子を拝見する。
かなり落ち着いた雰囲気の中に心地よい程度の光で明るさをプラス。音楽はピアノ演奏者が終始落ち着いたテンポの曲で和やかな雰囲気を醸し出している。
着いたのは一階、窓からの景色がなかなか良い奥の席。
えーと…メニューは、と。
お、まず肉かー。
・頬肉と赤ワインのプレゼ
・ブフ・ブルギニオン
牛肉の赤ワイン煮
・仔羊のロティ
にんにく風味
・ヒレ肉とフォアグラのバロティーヌ
うわぁ。見るからに高そうー。
何だよ、バロティーヌって…
隣を見ると三波と笠原は目を輝かせていた。まぁ、当たり前だろう。もう見た事、聞いたことすら無い言葉ばっかだしな。
しかし、エリーヌは流石は王国子女だ。うなづきながら、メニューを見ていく。
はい、次!
魚料理だな。よし、魚は好きだし分かるかもしれない。
・スズキの赤ポルト酒ソース
・カレイのポワレ
きのこと共に
・ハマグリとホタテのガレット
うーん、これもちょっと…ポワレはまだ聞いたことがあるが…一体…?
他にも色々と見てみたが、正直なところ何なのか…
「どうやらここは、フランスの料理が多いですね。」
「そうなのか、全然わかんねー。ところで、エリーヌ。今現在の時刻は12時30分をまわって普通ならランチタイム真っ盛りだが、何故こんなに人が少ないんだろうな。」
無論、言いつつ失礼だと感じた俺は小声でそう尋ねる。
「それはですね…」
「今のは私ではありませんよ。」
と頭を振りながら答えた。
え、じゃあ…
「申し訳ありません、お客様。聞き耳を立てるつもりはなかったのですが…
はい、お察しの通りです。はっきり言うと、ここはランチタイムには人は少ないです。まぁ、元々ここはレストランと言うより宿兼居酒屋。という風な店ですので。私は、昼間は昼食を食べに来る人は少ないから、夜営業にしましょう、と店長に一度だけ提案はしてみた事はあるのですが…店長の言い分によると、ランチタイムのメニューも夜の飲みメニューに負けないくらい美味いから大丈夫だ!という事でした。」
へえー…ご、ご説明ありがとうございます…とは言え、特には言う事も見つからない…
「あのー、東藤君、注文しない?」
「ああ、お喋りもいいが、我は空腹だ…」
すいません。
「えーと、注文いいですかね?」
「ーーーー。」
注文確認を終え、店員が厨房に去ろうとした時、同時に来店を示すドアが開いた。
たっだ今〜。
只今?頭の中に疑問符が上がりつつ後ろを確認すると…
何だ何だ。俺の目の前には女性しか現れないのだろうか…(まぁ、正直なところとても嬉しいですがね。)
「うわっ。キモいぞ!貴様。」
「え、何?笠原さん?」
真面目で純粋な三波の発言だ。
共に背中に不安が過ぎる。
べ、別に、目の前に女性しか現れないから、嬉しいな!だなんて、お、思ってないんだからね。(自分を荒唐無稽な人間と思いつつ、狼狽する自分に惻隠の情を表す。)
頼む。後で何かするから今は許してください。
すると、口だけを動かして伝えてきた。微かなの動きでほんの僅かしか分からなかったが、何とか理解した。「了解した」という言葉を。
「否、何もない。驚かせてしまったようで、すまない。」
おお〜。この全く役立たずの超能力を素晴らしいと思える日が来たなんて…
で、だ。
「お客さんかー。珍しい。
ようこそ、私がオーナーのバルバドールだ。うちのメニューはどれも良いものばかりだから、どんどん食べてくれ。」
何か、大人のお姉さんって感じの人だな…
待っている間はこの人とのお喋り時間だった。(ガールズトークの為、女性陣は唯一の男性陣の俺には目もくれなかった…)
そこで
「お待たせ致しました。鴨のコンフィです。」
流石にどの料理も高いから、単品にしておいた。これも十分すぎるほど高いけど。
また、次々と皿が運ばれてくる。
はぁー、美味かった。
そうして駆け出し冒険者達のたった、数分、数時間の束の間の休息を終え、席を立ち、お暇しようと思ったその瞬間…
「お客さん達!さっきの話で、これから宿を探すといったが、本当か?うちの者が引っ張って無理矢理連れ込んだみたいで、さっきはすまなかった。お詫びといっては何だがうちに泊まっていかないか。色々礼もしたい。どうだろう。」
「東藤さん、千載一遇のチャンスが転がり込んできましたね。」
「私は良いと思うよ。」
「いいだろう、悪い話では無いようだからな。」
「じゃあ、そういう事なので、お願いします。」
「よし。ありがとう。これから、よろしく。」
握手。やはり、こういう事は世界共通なのか、いや、異世界は世界に含まれ…る、か…
まぁ、何でも良い。
「はぁー。」
思わず安堵の溜息が漏れる。
そうして、時間も余っていることだし、市内を散策しようと俺たちはこの宿を出ていく。
「いってらっしゃい。」
「行ってきます。」
こんな感じで。これからも是非、余裕の異世界ライフを満喫したいところだ。
この時、ドアを開く音は俺には、始まりの音にしか聞こえなかった。
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