エデンの先

RIKU

第三話 過去

「リヤン 最近どうなの?」

「最近?とても楽しいよ〜仕事も楽しいし あっ そう 私ボランティア始めたの  と言っても家事の手伝いぐらいだけど・・・」

「そう でもリヤンが楽しいならそれでいいと思う。」

「うん!」

昔の友人が死の約束をした友人があんなに嫌ってた世界に溶け込んでいる。周りの人間と同じような姿になっている。まるで私だけ変わらない子供みたいな感覚になる。

「ねぇハダリーお昼食べた?」

「いや まだだよ。」

「それならこれからご飯食べに行こうよ 美味しいお店に連れてってあげる。」

と言いハダリーの手を取り電車に乗る。全く揺れず騒音の聞こえない電車、まるで動く棺桶のようだった。二人で電車を降りた後、すぐにレストランに向かった。そのレストランのテーブルはとても変な形の丸テーブルだった。二人は向かい合うように座ってリヤンが暗い面持ちで口を開いた。

「アンジーのこと覚える?」

「うん」


五年前・・・・






「ねぇハダリー?」

「なに?アンジー」

「人の人生ってさぁ本当にその人だけのものなのかな?」

「そんなの当たり前じゃん」

「そうかな?私は思うんだこんな世界になってしまってから私達はもう知らない誰かに人生を決め付けられてる気がするの。何歳になったらこの薬を飲め 何歳になったらこれをやれ。そうやって私達生きてきたじゃない。だから私こんな人生はもうごめんだわ。やり直したいよ。

「でも人生は一度きりじゃん」

「違うよリヤン 人生はやり直せる。」

「どうやって?」

「例えばオモチャは間違った遊び方で遊んでしまうと壊れてしまうじゃない?でも人間は間違った選択をしても生きていられるでしょ?そして人間生きていれば絶対じゃなくても同じような選択肢がまた出てくるかもしれないだから人生はやり直しができる。でも今の世界はその選択すらさせてもらえない そんな私達は生きる屍なのよ。そんな私達は生きていても苦しいだけよ。」

「でもそれを間違ってるとしても証明できないじゃないか。」

「簡単よ私達が死ねばいいの」

そんなことを言いアンジーは左手から三本のHCWを取り出した。

「私が調合したHCWよ。これを飲めば死ねるわ。これを使って大人達に反旗を翻すの。この世界は間違っていると。」

「でもどうやってこんなの作ったの?」

「変えるのは薬の材料とか機械の部品ではないわ。変えるのは仕組みよ、それさえ騙すことができれば健康な薬から死の毒薬に変わるの 世界を混乱に陥れることができるの。 ねぇハダリー リヤン 私と一緒に死んでくれる?」

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