一話 約束

私は世界から逃げ出した・・・・・
病気も老いもない優しさに溢れた世界。でもその優しさに息苦しくなり優しさに殺されるような気がした。だから私は戦場に逃げ込んだ。

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「もうすぐですよーハダリー。」

陽気な声とともに私は外を見たそこには広大な草原が広がっていた池も木もない一面緑の草原が。

「わかった 準備して。」

その掛け声とともに荷台に積んであった機械製の箱を下ろす。下ろし終わったと同時に遠くから馬に乗った民族衣装のような服を着た男たちが数人やってきた。

「毎度ご苦労様。」

と言い機械製の箱と同じ数ぐらいの木箱を渡して来た。お互いに中身を確認した。木箱の中には大量の酒と煙草が入っていた。機械製の箱の中には試験管のような容器の中に赤い液体が入っていた。

「いつもと違うようだが？」

馬に乗っている男が少し睨みつけながら言った。

「最新のHCWだ。」

HCW・・健康管理保全剤  これにはいくつもの種類があり人それぞれに合わせて調合調整することで健康が保たれるというもの。これが病気や老いを根絶させた薬である。

「そうかなら良い。」

「取引成立ね。」

取引を終え帰ろうとしたその時。

「ブロロロロロ・・・」

一機のヘリがこちらに向かってきた。

「やっべぇ　︎早く逃げるぞ!」

急いで車に乗り全速力で車を走らせるが当然ヘリの方が早い。距離はどんどん詰まっていく。

「クソ これじゃ逃げ切れねー」

「迎撃するわ ジェイクそれ取って。」

取り出したロケットランチャーをヘリに向ける。がまだ距離が射程圏外だった

「後500m」

ヘリについている機関銃がハダリーたちを襲うが何とか避けている。
「後400・・・300・・・200・・・100」

「ハダリーーー!」

「ドゴーン」

呼び声と同時に発射された弾はヘリを燃やし撃墜させた。

「ふぅ〜〜」

一息つき後部座席に座る。その直後眠りにつく。

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「ハダリーねぇハダリー」

呼ぶ声が聞こえる

「なに？アンジー」
そこには親友であり最初に私の心を理解してくれた。同志がいた。

「あなたはこの世界が好き？それとも嫌い？」

「・・・・・」

言葉が出ない。別に迷っているわけでもないのになぜか言葉が出ない。

「アンジーはどうなの？」

「私？・・もちろん嫌いよこんな健康に優しさに飼われた世界なんて。」

「飼われた？。」

「そう。だってそうじゃない。今はHCWを飲めば健康でいられる。まるで餌だけを食べて生きてる家畜じゃない。ねぇ知ってる？昔はね健康ってとても魅力的なものだったのよ。その時は病気にならない人なんていなかった。人が死んで当たり前だったの。だから少しでも長く生きようと健康でいようと考えて生きてきたのよ。でも今は違う。そんなこと考えなくてもいい時代になってしまった。ねぇ考える事をやめた人間って生きてると言える？」

ごもっともな言葉だった確かにそうだった。

「ハダリーの体もそう生まれ瞬間に健康に飼われているのよ。あなたの体は政府に管理されてるのよ。自分の生き方さえ考えさせてくれないのよ。そんな世界私はごめんだわ。ねぇハダリー・・私と一緒に・・・死んでくれる？」

彼女の言葉は天使の言葉のように聞こえた私と同じことを考えを持っている親友。でも私はその親友の死の約束を破った。親友を裏切った。