こんな異能と職業で俺にどうしろと

上条康

神様の部屋にてー

「ん、」

目が覚めるとそこには見知らぬ天井があった。
体を起こすとそこには見知らぬおじさんがいた。

「おお、起きたのおぉ〜」
「……………………」

「誰だおじさん?」

マシで誰だよあんた。

「おお、これは失礼、まずは自己紹介と行こうかのうぉ、わしの名前は神様じゃ」

当然のように神様と名乗り俺の目の前で座ってくつろぐ自称神様。
からかって言っているようにしか思えない態度を見せる。

「ふざけてんのおじさん」
「ふざけてないわい!……ゲホッゲホッ」

咳してるけど大丈夫なのか?

自分のこと神様って言う痛いおじさんがいるんだけど……どうしようかなか。

「お主わしが神様じゃって信じてとらんじゃろ!」
そんな当たり前のことを言う自称神様に、

「いや、当たり前だろ起きてすぐに、わしは神様じゃと言われても信じれる訳ねぇだろ。おじさんもっとマシなこと言ったら」

「まあ、 ……よかろう……」
何がいいのか分からないが今はほっといておこう。
「まぁそれよりおじさんここどこ?」
知らない場所で、知らない人と話しているのに妙な安心感がこの部屋にはあった。
その部屋はというと辺り一面真っ白な空間で覆われたいた。

俺は布団に座り、自称神様の方は座布団に座っており、お互いに向き合った状態で見つめあっていた。

これを他の人が見たのなら異様な光景だろう。

そして俺の言った質問に答えてくれる。

「見て分からんのか?ここはのぉ神様の部屋じゃ」
ヒゲをいじりながら呑気な口調で言う自称神様を睨みつけたあと俺は頭を働かせて今の現状を考えた。

てか、分かるわけねぇーだろ。

これ見て、「あっ、神様の部屋だ」と言った奴はおかしい奴の何者でもない。
この自称神様の話を聞いてなんとなく分かったことがある。

「俺今夢見てるんだ、それなら納得。お休みなさい」

すると俺の肩を両手で掴みゆさゆさと揺らし始めて起こそうとしてくる、だがそうはいかない、こんな夢から早く冷めてしまいたいと思い自称神様の手を払いのける。


「まっ、待つのじゃ。お主はやってもらいたいことがあるんじゃ」
「知るか!」

そしてこんなしょうもない争いが続くこと数十分。
必死に声を出して掴みかかってくる自称神様に呆れた俺は少し話を聞くことにした。


このおじさんにはもうついていけない。

「まてぇい、お主にはやってもらうことがあるんじゃ」
「何を」

夢の中だったら何でもできるので、何でも言ってくれて構わないが。

「魔神の住む異世界に行ってもらう、そして魔神を倒して来てほしいのじゃ」

意外と夢の中でもスケール大きいんだな。

「別に構わないよ〜」
「お主、気軽な感じじゃのぉ」
「夢だからな何でも言ってくれ」
「まだ信じとらんかったか」

それにしてもリアルな夢だな。
本当に異世界に行けたら楽しそうだな。

「一つお主に得する情報を教えてやる!お主の妹さんは魔神の世界におるぞ」

「………………」

「え、なん、て」

俺の妹が魔神の世界にいる、だと。

「なぁ、おじさんこれって夢なのか?」
「夢ではないぞ、現実世界じゃ」

俺は定番のアレをやることにした。
「ふっにゅ…………痛いな」

「お主何をしとるんじゃ?」
不思議そうに困り顔で言う。

「頬っぺたをつねってた、痛かったから現実世界だと信じることにする」

「ホッホッ、なら話は早いのぉ」

「分かったけど、俺の妹はその世界にいるんだよな?」
「ああ、おるじゃろうなぁ」
「そうか、なら早くその世界に行かせてくれ……その前に俺ってどうやって魔神を倒すの?」
「おお、それはのぉ向こうの世界に行けば自分に合った異能の力が使えるようになるから安心せい。能力の確認は頭の中で想像すれば簡単に見られてれてべんりじゃよ」

「ふむふむ、なるほどつまり向こうの世界に行けば自分の能力が分かると、そう言うことか」

「言い忘れておったが、お主の他に7人、もう向こうの世界に行っておるぞ。何よりお主のクラスメイトたちじゃがな」

「え、マジで……」

「マジじゃよ、本当はのぉ、お主はそのクラスメイトたちと一緒に行く予定じゃったんだがいろいろ手違いがあってのぉすまんなのぉ」

マジでかよ、皆が能力を変な方向に使ってなかったらいいんだけど。
……てゆうか、行方不明事件の犯人が神様でしたー、警察の皆さーんここに犯人いますよー。

「良いことを教えてやろう、どこかにのぉ黒龍が眠っておるじゃろうかそれを自分の力にすることじゃな。まあ頑張るんじゃのぉホッホッホッ」

黒龍を自分の力にか……、いまはそんな事どうでもいいわー。

「なぁ、一つ言うぞ、おじさん神様だろ、なのに俺たちを誘拐みたいな風にしていいのか?はっきり言ってやる普通に考えていきなり異世界に行って魔神を倒してもらう、そんなこと言われても困るんだよ、てか何子供に戦わせようとさせてんだよ!俺たちからしたらいい迷惑だよ、親も困るだろうがあぁ、おじさんそんな事まで考えてここに連れてきてる?」

「確かに、迷惑じゃな」
「気づくの遅えよ、7人の誰か異世界で死んだらどうすんだよ」
「それは、心配無用じゃ。死んだ時は、ここに来てもらい、それから日本の世界に送り返してやるつもりじゃ」

まぁ、どうでもいいや、死んだら死んだ時でまたこっちで考えればいいからな。

「向こうの世界での活躍を期待しておるぞ」
おじさんが拳を突き出す俺もそれに合わせて拳を出して、拳と拳を合わせる。
そしてやってやるという意志を見せる。

「ああ、頑張るよ」

「それではな小僧」


その瞬間俺は光に包まれ意識が無くなった。






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