こんな異能と職業で俺にどうしろと

上条康

日常の日々ー・学校にてー

家を出た俺は遅刻ギリギリで教室へと足を踏み入れた。
全力で走ったせいか呼吸が乱れてしまい息をするのにも苦しさを感じる。
まあ、間に合ったので良かったのだが。

そして俺は自分の席に座って一息つこうと椅子にもたれ掛かり休憩していた。
クラスの奴らはというと、「ぎゃーぎゃー」騒いでいるやつが大勢いる。入学してからまだ一ヶ月もたっていないというのに、クラスに馴染んでいる奴がほとんどだ、俺はというと、話したり話さなかったりとする程度だ。
廊下側の後ろの席では、アニメオタクたちが集まって雑談していた。

ラノベやアニメの世界でのオタクは可愛い女子と恋におちたりするが、現実ではそれはないと思う、女子と恋におちたとしてもそれは、可愛くない女子とだろう。
そしてその隣ではクラスのムードメーカーやら、クラスの中心的メンバーが集まって「ぎゃーぎゃー」と騒いで盛り上がっていた。
あ、「ぎゃーぎゃー」聞こえたの全部こいつらからだ。
ここで俺は一つ思うことがあるそれは、どこの学年や、クラスにも生徒同士では立場という関係が成り立っているということだ。
立場とは、会社で言うところの上司と部下みたいなものだ。
つまり、権力が上か下かということだ。
このクラスで言えば……。


上位グループ
1位……不良、問題児(不良ランク外かも)
2位……ムードメーカー、中心的メンバー
3位……かわいい、イケメン(親しみやすい人)

中位グループ
1位……俺
2位……学級員
3位……スポーツ、勉強マン達

下位グループ
1位……オタク(オタク強いかも)
2位……ブス

クズグループ
1位……ぼっち(友達いない、話す人がいない)

最下位グループ
ブスぼっち友達いない話さない、話す人がいない、取り柄がない、部活無所属


最下位上位グループ
もう言葉にならない

ランク外グループ
不登校生

だいたいこんな感じだな。
こうして考えると俺って結構上位にいる気もするが、どうなんだろうか。

こんなランキング関係なく誰とでも話せる俺みたいな優秀なやつがいるんだけどね。
そんな自分の考えに浸っていた時、突然後ろの方から「眞田くんおはよー」と言う女子の声が聞こえてきた。
「おはよ」と、俺も言ってやる。
するとその女子は嬉しそうに自分の席へと座った。
そんなに嬉しいのだろうか。

入学してから席が近いこともあってか、この女子はなぜか男子には俺だけに毎朝おはようと挨拶をしてくる。
え、なに、この女子って俺のことからかってんの、なんで男子には俺だけに挨拶すんの、他の男子にもしろよ。
そうしないと、俺がいつもクラスの男子からすごく冷たい視線を受るだろうがああぁ。
そのことを知ってんのかこの女子は。
この女子、咲田兎茂恵さきたともえは一言で言えばすごく可愛い。
何より、静かであまり目立たないが男子からの人気は高い。
なので、俺は当然のように男子からの視線は冷たいのである。
いつもなんでお前だけが挨拶されんのって思っている男子がほどんだろう。
いや、俺も知りてぇよ。
だから思うこの女子は俺のことからかっているんじゃないかと。

まあ、はっきり言ってどっちでもいいんだけど。
そんなことを思いながら俺はすぐに寝る体勢を作った。
全力で走って学校に来たこともあって体が疲れていて眠い。
少しだけ寝ようと思ったが、もう少しで朝礼が始まるのでここは我慢することにした。
それから学級員の号令が聞こえ始め、皆んな自分の席へと戻っていき、朝礼が始まった。
朝礼で一つめんどくさいと思うことがあるそれは、呼名だ。

なんで、一人ずつ返事させるんだよ、もっと効率の良い方法があるだろ。
このせいで俺は寝れないでいた。
寝ようとする俺も俺だけど。
呼名にはそれなりには意味があるんだろうが。

そんなどうでもいいことを考え終え朝礼は終わった。


朝掃除も終わり一時間目の準備をしていた。

「おーい、龍魅ー」
と、俺の名前を呼ぶ一人の男子生徒。
こいつの名前は、吾桑鶴あそうつる
こいつとは小学生からの付き合いだ。
小学生の時クラスは二回しか同じになった事ないんだけど、中学生ではなぜか一緒になるという奇跡。

「ん、どうした鶴?」
「ん、どうした……じゃねぇーよ。お前ここ最近生きてるか?」

そんな意味のわからないことを言ってくる、今こいつ何気に恐ろしいこと言ったぞ。

「よく見ろ、生きてるだろちゃんと俺!」
「ああ、それは知ってる」

何こいつ、中学生になって頭おかしくなったのか、病院いきのレベルだぞこいつ。

「龍魅、俺はな、そういう事を聞いてんじゃねえんだよ」

ならどういう事だ?  え、俺がおかしいの、ん、どっち?

「最近のお前を見てると何か疲れてるっていうか……目が死んでるっていうか……つまりそゆこと!」

いや、だからどういう事だよ、ドヤ顔で言われても困るんだよ、誰かー俺に説明してくれー。
心の中で思いっきり叫んでいたら横から声が聞こえて来た。

「龍魅、オレも鶴の言ってる事と同じ考えだな」

そう言って来たのは、佐藤進助さとうしんた
今やクラスの中心的メンバーの一人である。
こいつとも、小学校の時からの付き合いだ。

「だろ!進助もそう思うよな!」

鶴は、自分と同じ考えだったのが嬉しいのか、進助の手を両手で握り、手をブンブンと振っていた。
おい、何お前ら何二人で納得してんだよ。
わからないのが俺だけなので二人に聞いてみる。

「つまり……どゆこと?」
そういうと進助の方が俺に教えてくれる。

「お前最近元気が無くて笑顔も無くなって性格が暗くなったって事だな」

すると鶴がこれでもかと首を上下に振っていた。
自分の言いたい事を言ってくれてよほど嬉しかったんだろう。

「まあ、そうなのかもな」
「龍魅なんでそんなに暗くなったんだ?前はもっと明るかったろ」
鶴が不思議そうに聞いてくる。

「ちょっとな、いろいろあった」

そう言って「また後でな」と言って二人を自分の席につかせた。






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