女嫌いと男嫌いの勘違い青春

あさにゃん

50.お兄ちゃん!幸せものだよ!

鈴乃
「黙って聞いていたら…!」

そこには、ドスのきいた低い声で怒りに燃えている…

鈴乃
「お兄ちゃんをバカにするな!」

鬼がいた。
テーブルを強く叩いたせいか、周りの目が一斉に集まった。それでも鈴乃は止まることを知らない。

鈴乃
「お兄ちゃんの事なにも知らないで!お兄ちゃんは誰よりも優しくてカッコいいの!ちょっぴりナルシストだけど…」

雄也(おい…)

鈴乃
「人が傷つくことは絶対にしないし、いつも周りに気をつかってるとっても素敵なお兄ちゃんなの!そんなお兄ちゃんを悪く言うなんて!いくら凛先輩でも許しません!」

雄也(…)カオマッカ
花蓮(…)コウチャオイシ
鈴乃(…)ウルウル
凛(…)オロオロ

大輝
「お嬢様方…他のお客様の目がありますので…お声を下げて頂きたく思います」

騒ぎすぎた。そんなことを思っても遅いこと。

花蓮
「ごめんなさいね。ほら鈴乃ちゃん?だったかしら?取り敢えず座って。あ、それと紅茶のおかわりをお願い」

大輝
「かしこまりました」

紅茶をとりに厨房へ戻る。周りにの客はまだざわついているものも多いが、元々それほど客がいるまでもないので気にならないほどだ。

雄也
「鈴乃熱くなりすぎだ」

とりあえず良き兄は今日枕に顔を埋めて悶えるな。いゃーあのままプロポーズされてたらOK出してた自信あるなー。

などと下らないことを考える雄也。鈴乃の事になるとほんと知能力が低下する。

鈴乃
「すみません。感情的になりました」

消え入りそうな声で雄也の腕に顔を埋める。目の端には涙をうっすら浮かべている。

うん、可愛い。

雄也
「おい、福島。鈴乃が謝ってるんだが」

俺の可愛い鈴乃をいじめやがって殺すぞ?しばくぞ?なぎ倒すぞ?鈴乃が泣いてるんだぞ。


「え…その…ごめん…なさい…鈴乃ちゃん」

シドロモドロに言葉を口にする。正直聞き取りにくいし、雄也としては誠意が足りない気もしなくもないが
まぁ、優しくてカッコいい気配りのできるお兄ちゃんだからな!これくらいならいいだろう。

花蓮
「ねぇ、シスコン君」

雄也
「あ?」(なんだその不名誉な呼び名は。…事実だからなんも言えないが)

花蓮
「話がこれ以上こじれないように凛にある程度· · · ·話しておいたほうがいいと思うのたけれどいいかしら?」

ある程度がどの程度の事を指しているのが危惧したが、俺の女嫌いをバラされたらたまったもんじゃない。俺に確認してきたところを見ると大丈夫そうなので、この提案にのることを決める。それにコイツめんどくさいし…。

雄也
「そうだなお前に任せるわ」

花蓮
「わかったわ。凛話があるわ」


「…?それって泣いたこと?」

花蓮
「そうね。それもあるけれど…順を追って説明していくわ」

そして花蓮は凛に説明し始めた。

さて、どんな説明をするのか鈴乃の頭を撫でながらそっと耳を傾けた。

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