女嫌いと男嫌いの勘違い青春
20.花蓮side〜心の中
三時間目…
「えー、なので…ここでこのXを…Yに…」
「はぁー」
今は数学の授業中。
ひっそりと。そして重々しい溜息をついている人物がいた。
そう柊花蓮だ。
今の花蓮はどこか上の空というか…なにやら酷く頭痛でもしているよに、額に手を添えて肘をついて頭を支えている。
考える像の上半身の様な格好だ。
決して体調が悪いというわけではなかった。
なかったが…
…とてつもなく気分は悪かった。
このなにか物にあたりたくなる気持ちの元凶を花蓮は知っている。
花蓮
「はぁー」
その元凶について考えているとまた一つ溜息をこぼした。
「んじゃー草彅!この問題前に来て解いてみろ」
雄也
「わかりました」
花蓮
「…!」ビク
つい身体が反応してしまった。
そう、今こんなにも最悪な気持ちにしている人物。草彅雄也。
別に彼に悪気があるという訳ではないとこぐらい花蓮にも分かってる。
だが、納得はしていない。
花蓮
「……はぁー」
花蓮はそっと自分の唇に手を当てる。
花蓮
(おそらく叔母様はあの場面を見ていた…。それは
『文子
「だってー、少し学園校舎内を歩いていたら面白いことになってるんだもーん」』
とさっき叔母様の所を訪れた時に言っていた言葉が、ほぼ間違いない証拠になるわ。
それにその発言後、私の事をチラ見していたしね…。
いつか私のにも婚約者、そして結婚が私の意思に関係なく来ると思っていたわ。
今は自由恋愛なんて言うけれど、今だに上の家の人たちには昔ながらの上級者同士の政略結婚が根付いているわ。
いつか私も草彅雄也とも結婚しなくてはならないのね…
草彅家の力は絶大。それこそ今は栄えてる私の柊家の比にならない程に。
確かに草彅雄也と結婚すれば将来安泰かもしれないわね…
でもでもそれでも…嫌だ。
でも、その嫌なことよりも嫌なことがあるわ…
それは…
叔母様に見捨てられた事…
……………結局私も柊家を大きくするための道具でしかなかったわけね…
そのために色々な事をできるように育ててくれたんだわ…
叔母様…
ってなんだろう…
この目から出る熱い何かは…
目から悲しみとともに溢れ出るこれは…『涙』?
涙なんてあの時以来出さないって決めたのに…
ああー、ヤバい一度気づいたら止まらない
どうしましょう…このままだと誰かに気づかれて笑われるわ。
なにか、別なこと…別なことをしないと。
と言っても何もないわね…
学校なのだから何もないわ。
筆場箱にも制服のポケットにはなにもないし。
……………え?ポケットにない!?)
そして急ぎポケットに手を突っ込む花蓮。
その顔は一気に蒼白になり、ほんの少し前まで流れていた涙も一瞬で止まった。
今あるのは悲しさではない、それは『焦り』だ。
それも、尋常な焦りではない。
花蓮は無が夢中で探した。
もう、授業もお構いなしだ。席を立ち今度はスカートのポケットにも手を入れて探し始めた。
しかし、ない…。
いや、ハンカチなどはあった。しかし、制服のポケットに絶対に入ってはいけないものが入っていなかった。
いつも学校に行く時には肌身離さず持ち歩いてもの…
「どーした?柊?なにか質問か?」
花蓮
(黒手帳が!ない!)
焦りすぎて花蓮を咎める先生の言葉すら、花蓮の耳には入ってこなかった…
「えー、なので…ここでこのXを…Yに…」
「はぁー」
今は数学の授業中。
ひっそりと。そして重々しい溜息をついている人物がいた。
そう柊花蓮だ。
今の花蓮はどこか上の空というか…なにやら酷く頭痛でもしているよに、額に手を添えて肘をついて頭を支えている。
考える像の上半身の様な格好だ。
決して体調が悪いというわけではなかった。
なかったが…
…とてつもなく気分は悪かった。
このなにか物にあたりたくなる気持ちの元凶を花蓮は知っている。
花蓮
「はぁー」
その元凶について考えているとまた一つ溜息をこぼした。
「んじゃー草彅!この問題前に来て解いてみろ」
雄也
「わかりました」
花蓮
「…!」ビク
つい身体が反応してしまった。
そう、今こんなにも最悪な気持ちにしている人物。草彅雄也。
別に彼に悪気があるという訳ではないとこぐらい花蓮にも分かってる。
だが、納得はしていない。
花蓮
「……はぁー」
花蓮はそっと自分の唇に手を当てる。
花蓮
(おそらく叔母様はあの場面を見ていた…。それは
『文子
「だってー、少し学園校舎内を歩いていたら面白いことになってるんだもーん」』
とさっき叔母様の所を訪れた時に言っていた言葉が、ほぼ間違いない証拠になるわ。
それにその発言後、私の事をチラ見していたしね…。
いつか私のにも婚約者、そして結婚が私の意思に関係なく来ると思っていたわ。
今は自由恋愛なんて言うけれど、今だに上の家の人たちには昔ながらの上級者同士の政略結婚が根付いているわ。
いつか私も草彅雄也とも結婚しなくてはならないのね…
草彅家の力は絶大。それこそ今は栄えてる私の柊家の比にならない程に。
確かに草彅雄也と結婚すれば将来安泰かもしれないわね…
でもでもそれでも…嫌だ。
でも、その嫌なことよりも嫌なことがあるわ…
それは…
叔母様に見捨てられた事…
……………結局私も柊家を大きくするための道具でしかなかったわけね…
そのために色々な事をできるように育ててくれたんだわ…
叔母様…
ってなんだろう…
この目から出る熱い何かは…
目から悲しみとともに溢れ出るこれは…『涙』?
涙なんてあの時以来出さないって決めたのに…
ああー、ヤバい一度気づいたら止まらない
どうしましょう…このままだと誰かに気づかれて笑われるわ。
なにか、別なこと…別なことをしないと。
と言っても何もないわね…
学校なのだから何もないわ。
筆場箱にも制服のポケットにはなにもないし。
……………え?ポケットにない!?)
そして急ぎポケットに手を突っ込む花蓮。
その顔は一気に蒼白になり、ほんの少し前まで流れていた涙も一瞬で止まった。
今あるのは悲しさではない、それは『焦り』だ。
それも、尋常な焦りではない。
花蓮は無が夢中で探した。
もう、授業もお構いなしだ。席を立ち今度はスカートのポケットにも手を入れて探し始めた。
しかし、ない…。
いや、ハンカチなどはあった。しかし、制服のポケットに絶対に入ってはいけないものが入っていなかった。
いつも学校に行く時には肌身離さず持ち歩いてもの…
「どーした?柊?なにか質問か?」
花蓮
(黒手帳が!ない!)
焦りすぎて花蓮を咎める先生の言葉すら、花蓮の耳には入ってこなかった…
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