女嫌いと男嫌いの勘違い青春

あさにゃん

6.役員騒動

雄也
(どうしてこうなった!?)

花蓮
(どうしてこうなってしまったの!?)

いま二人は、普段誰も使わないような教具準備室に閉じ込められていた。

雄也•花蓮
(女(男)となんて最悪だ(です)!)

この時間帯は、一般学園生徒はそれぞれ家に帰っているだろう。学園教師も授業がない限りこの部屋は使わない。

よって事態は絶望的といえた。

今思えば全ては入学式終了後のクラス委員を決めるところから、始まってしまった。







熊野先生
「では、誰かクラス委員をやりたい者は………」

今は、入学式終了後。

入学式が終わりクラス委員などを決めるHRだ。そして、クラスのリーダー。つまりクラス長を決めようとしている真っ最中だ。

普通ならこのようなイベントでは大抵立候補者がいないものだが、ことクラスに限っては違った。

先生が言葉を言い切るよりも先に手を挙げているものがいた。

花蓮
「先生、クラス長は私がやります」
(叔母様の評価を私が上げるわ)

柊花蓮だった。

熊野
「う、うむ。自ら立候補することはいいことだ…」

熊野が少し言いよどんだことは、先程の一件での出来事があったからだ。熊野が柊花蓮に苦手意識をもっていることは本人以外は知る由もない。


「今年もやるの?」

花蓮
「もちろんよ。私は常にトップでいたいのよ」


「すげー。そのセリフ花蓮にぴったりだよ」

凛は少し引き気味に引きつった顔をした。

花蓮
「完璧にこなしてみせるわ」

花蓮
「凛もやらない?」


「へ?ウチ?ウチはいいよ、興味あるけど難しそうだし」

花蓮
「大丈夫よ、サポートはしっかりしてあげるわよ」

(去年は男とだったわ。ロクに仕事もしないで遊んでばかり。たまにやる一緒の仕事も苦痛で仕方なかったわ。だから…)

モブ(女1
「うんうん。柊さんなら大丈夫ね」

モブ(男1
「だな。柊さんすげーからなー」

モブ(男2
「柊さーん。なんでも手伝いますからねー」

モブ(達
「「「ガヤガヤ」」」


クラスが騒ぎ出す。



雄也は騒ぎ出したクラスをジト目で睨みつけた。

雄也
(どいつもこいつもうるさいな)

雄也
(あれは、うん。あれだな。街灯に群がる蛾だな。
人気者の近くにいけば自分も人気者だと思い込も奴らだ)

雄也はこれから共に協力しあうであろうクラスメイトにこのような酷い印象を持った。

真いわく雄也は女が関わると時々信じられなくなるくらいに根暗になるらしい。

本人は自覚していないが。それでもたまにだが。


「なな、雄也はやらないのか?」

雄也
「ん?クラス委員か?」


「そそ」


「中学はやってたのに。あれ?そ~言えばなんで去年もやんなかったの?」

雄也
「……真。去年もいったぞ」

真は良いやつではあるのだが基本的にバカだ。

雄也
「俺はそこまで目立ちたくないんだよ。……主に女から」ボソ

雄也
「考えてみろ…。中学は男子校だったから良かったが…。今は共学だぞ!女と関わる機会が増える。だから嫌だ」

最後に「以上」と一息で言い切った雄也に真は少し引いた。


「………」ハァー

ため息をついた…


「お前の女嫌いは知ってるし、【あの過去】の出来事も、俺だって胸くそ悪い思いだ」

雄也
「だろ?だったら…」


「でも、そろそろ克服しようとしてみたらどうだ?」

雄也
「………」

いつもの雄也なら「無理」の即答で返していただろうが。いつにもまして、いやいつも以上に真面目だったので黙るしかできなかった。


「お前には誰よりも幸せになってほしいんだよ…」

ふ、俺が女だったら惚れてたな。だが残念ながら、俺はホモではない。しかし、この親友の気持ちにはできれば答えてやりたい…

雄也
「そ…だな…。努力してみるか…」


「!それでこそ雄也だにゃー」パァー

真は自分の席を蹴飛ばす勢いで俺の肩に腕を回し抱きついてくる。ちなみに雄也たちの席は、縦6列✕横6列であり。雄也は一列目の一番後ろ右側には壁がある。真は二列目の一番後ろだ。雄也の隣だ。


「流石!流石!」♪

そう言って頭を撫でてくる。

雄也
「お、おま。いい加減に…」


「はいはい!せーんせい!」

俺の静止を聞かずにコイツは 
腕を回した状態で元気に手を挙げてた。
なんだろう。とてつもなく嫌な予感がする。

そしてその予感は当たることになる。

熊野先生
「ん?どうした!」


「確か〜クラス長の他にサポートで副クラス長つくよにゃー?」

熊野先生
「ん?何度も言わすな。それがどうしたんだ?」

あ、これは…


「俺っちの雄也がやりたいって言ってま〜〜す!」

やっぱりか!

雄也
「お、おい!真、何勝手に…」


「ど、りょ、く、するんだよな?」ニヤ

唖然とした。コイツ楽しんでるだけじゃね?
さっき説明したよね?クラス長やらない理由。
自慢じゃないけど、俺いるだけで女の子よってくるのに、さらによってくるような肩書いらないんだよ!

熊野先生
「うーん。じゃ、草彅にやってもらうかな」

お、おい!不味いぞ。
努力はするがこれだと俺死んじゃうかもしれない。

なんとかしないと…

花蓮
「しかし、先生。先程までは凛と言う話に…」
(男となんてゴメンだわ)

よし!この際誰でもいい!柊花蓮でもいい!俺を助けろ!


「いやいや、いいよいいよ。折角だから草彅くんやれし」

花蓮
「え、でも。さっき興味あるって…」


「?あれ?やーぱ。あれなし。草彅くんに譲るわ」


(もしかしたら、クラス委員やってればいい雰囲気になって花蓮と草彅くんくっついちゃうかも、だし!)

花蓮
「………りん」

柊花蓮はこの世の終わりを見たような程に青白い顔にを色になっている。

これは駄目だ宛にならない。なら俺が…

雄也
「先生ヤッパリ俺…」

モブ(男1
「お、最高じゃん」

モブ(男2
「柊さんに雄也。うん!これしかないわー」

モブ(女1
「これってやばくない!?似合いすぎでしょ!」

モブ(女2
「他のクラスの奴らより超レベルたかい!」

雄也
(あ、これおわったやつだ)

熊野先生
「うん!では、柊と草彅に任せようかな!二人とも、互いに協力して頑張りたまえ!」

クラスの雰囲気はもう、二人の意見を聞く様子はなかった。

雄也•花蓮
「「…はい」」

そのことを悟った二人は暗い返事をするのが精一杯であった。






凛は花蓮が男嫌いと言うことを知らないために。
真は雄也の女嫌いを克服させるために。



こうして雄也と花蓮は親友に裏切られたような形になりクラス委員を二人で始めることになってしまった。





二人が閉じ込められていた話はこの放課後であった。




                 次に続く

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