僕らのダンジョンアタカッーズ!
ようこそ!ファンタジアへ!~第一異世界人は超絶でした~
ーー拝啓、天国の御父上様。いかがお過ごしでしょうか。貴方の息子は今、
「ここどこですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」
異世界へやって来ています。
いやいやいやまてまてまてぇぇぇぇぇっ!!
何処ここ!?何この絶景!?なんだあの謎の生き物!?今まで見たことないぞこんな光景!
「まさか、本当に異世界?あの謎の声が言った通りの?
ちょっ、ふざけるなよ!?外国って話はどうした!!
それともなに?地球「外」の「国」ってか!?笑えるかぁ!!」
いやそもそも外国って話事態、武田先生が勝手に言ってたことで僕が勘違いしただけなのか。
おのれ、武田ぁ!!
「いや先ずはおちつけ~。カームダウンミー」
とりあえず深呼吸だ。スーハースーハーうわめっちゃ空気うまい。
いやそこはいいんだよ!
「とりあえず今の状況を整理だ」
服装は制服の格好のまま。荷物は手に案内状。肩に手提げ鞄。眼鏡はどうだ。…よし、割れてない!でもちょっと汚れてるな拭いておこう。
僕は眼鏡を掃除するために顔から外す。
「ん?何これ?うわっ!なんか見える」
シンドウ・クニハル level.1
HP : 34/34
MP: 23/23
状態:正常
攻撃力 13
耐久力 15
魔力     22
俊敏力 13
智力     32
汎用スキル:無し
マジックスキル:無し
オリジナルスキル
能力表示 level.Max:パッシブ 対象の能力をデータ表示する 解析していないものは表示されない
異世界言語level.Max:パッシブ アーテリアの言葉を自動で翻訳する
解析能力 level.1:アクティブ あらゆる物を解析出来る能力 この熟練度では解析出来る情報は限られるうえに時間を要する 
眼鏡を外し裸眼になったとたんまるでゲーム画面のようなものが見える。なにこれ!?スキル?レベル!?
ワケわかんないですけど!!
いやいや落ち着けぇ。とりあえず眼鏡をかけて……あっ、きえた。
どうやら眼鏡をかけると消えるらしいなこの画面。
良かった~。四六時中見えてたら鬱陶しいからな。
「とりあえず調べることが増えたな」
僕は再び状況を整理する。先ずはこの場所、異世界だ。名前は、たしかあの声は「アーテリア」とか言ってたな。どうせならファンタジア学園に飛ばせよ!何処とも知れない平原に飛ばしやがって!……って今言ってもしょうがないか。次。
この異世界言語とかいうのは恐らくこの世界の言語を理解できる能力だろう。といっても異世界人とあってないから検証の仕様がない。よって後回しだ。
次にこの画面。これが能力表示というスキルだろうか。眼鏡を外した時にだけ映る。しかもこれを見るときに気付いたけど僕の視力が回復してる。でも画面のせいで以前よりも周りが見えづらい。意味ねぇ…。
次は画面の内容。ゲームと同じと考えるならこの世界にはレベルが存在する。この攻撃力とかは今の僕の身体能力ということか。
次にスキル。レベルがあるということは、こいつは成長すると見ていいだろう。なんか片方既にMaxだけど。
というかこれどう使えばいいんだ?スキルなんだから使えるんだろうが…。
「アナライズとか言えばいいのかな?」
『解析能力』
「うぇっ!?」
頭に声が響く!そしてステータス画面同様にパソコンのダウンロード画面のようなバー出現する。
『対象の解析完了まで残り5秒』
頭にまた声が響く。ステータスのバーももう半分以上埋まっている。そして5秒が経過する。
『解析完了』
魔封じの眼鏡:
この眼鏡を掛けたものの特定のスキル・魔法を封じる
この眼鏡……普通の眼鏡じゃなかった……。というかなにこの能力、デメリットしかないじゃん。
まぁいいや…。この眼鏡のお陰であのステータス画面が消える訳だし。いきなりスキルが発動したが成る程、対象を見ながらアナライズと言えば発動するのか。なら何もないとこならどうだろう。空とかならーー
「解析能力」
 
『対象がありません』
うむ、こうなったか。対象がなければ発動しない。
このステータスのスキルはこの画面のことでいいんだよな。パッシブってつまり受動、勝手に発動するってことだし。
しかしこれだけじゃ何ともなぁ。……うん?でっかい鳥…鳥?が飛んでる。
「見てみるか。解析能力」
『解析能力』
『解析完了まで残り3分』
ーーおっそ!
あれー??さっき眼鏡だと10秒くらいですんだのに。
生物相手だとデータ量が違うとか?
とりあえず僕は近くの木陰に移動し3分間待ってみる。
『解析完了』
スカイハイイーグル level:14
HP:224/224
MP:122/122
攻撃力 86
耐久力 74
魔力     53
俊敏力 88
智力     24
汎用スキル:無し
マジックスキル:
火炎吹き level.2:パッシブ 火炎を口から吹き出すことで攻撃する
オリジナルスキル:無し
うっわつええ。でかい鳥だとは思ったけど、レベルもステータスも違いすぎる!というか火ぃ吹くのこいつ!?怖っ!襲われる前に退散しよう。しかし智力だけ勝ってるけど、これはあれか?獣と人間との差というものなのだろうか。
あっ、そうだ人間!人を探さないと!ここが何処かも分からないのに。とりあえずここを移動するしかーー
「グルルルル……」ぐるる?
「グルルル……」
「ウゥゥゥ……」
「ガルルルゥ…」
何かヤバげな雰囲気のワンちゃんがいっぱいいるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
「ひぃぃ……!なに…!?なんだよぉ…!」
「ヴゥルルル……」
「ハッハッハッ……」
ひえええええ!めちゃくちゃ涎垂らしてらっしゃる!!完全に補食対象として見てるよコレ!
「あ、解析能力!」
『解析能力』
つい反射的にスキルを発動する。コレでなにかわかれば逃げられるかもしれない!でも解析時間がーー
『解析完了まで残り10秒』
解析時間が短い!やっぱり個体差があるのか!いやそれよりも早く!早く解析して!犬来てる犬来てる!!にじりよって来てるって!
『解析完了』
グリーンウルフ level.3
HP:42/42
MP:5/5
攻撃力 23
耐久力 18
魔力     10
俊敏力 31
智力     12
汎用スキル:
連携level2: パッシブ 複数でいる場合、連携を取りやすくなる
遠吠え level.2: アクティブ 大きく声をあげ、相手を威嚇する levelの低い相手の動きを怯ませる
マジックスキル:無し
オリジナルスキル:無し
複数のステータスが此方よりも高い!特に俊敏!これだと逃げても直ぐに追い付かれる!
でも智力が低い。数は三匹。コレならもしかしたら何とかなるかも!
僕は手提げ鞄からあるものを取り出す。それは今日食べようと思って買ったおいたコンビニ弁当だ。こいつをグリーンウルフたちの前に出す。すると奴ら狙い通り弁当に釘付けだ。
「ほ~ら欲しいか~?そんなに欲しいか~?」
弁当を左右に揺らす。それにつられてグリーンウルフたちも首を揺らす。…よし今だ!
「とってこぉぉぉぉい!!」
「バウバウバウッ!!」
「ハッハッハッ!!」
よっしゃあ!犬コロどもめ!あっさり引っ掛かりやがった!これなら直ぐに逃げられる!あばよ~とっつぁ~ん!
「ウォォォォォォォォォォン!!!」
ーーっ!?体が固まった!?いや、動ける!一瞬だけだ!でもなんで!?…まさかスキル!?さっきの『遠吠え』とかいうやつか!
「ウルルルゥ……」
「グゥゥゥ……」
「ーーっ!?……ず、随分と食い意地はってるなぁ」
なんてこった。もう弁当は食い尽くされたのか!
一匹が僕を監視して逃げ出そうとした瞬間に遠吠えを使って動きを止める。智力低い割にはやけに頭のいい行動をとっている。恐らくもう一つのスキル『連携』が発動しているからだろう。
ああくそ、甘く見ていた!スキル一つでここまで状況が一変するなんて何て世界だ!
どうする?走って逃げるか?だけど俊敏の能力で完全に負けてるぞ。なら倒す?武器も何もないのにどうやって?
仮に逃げても遠吠えと連携がある以上直ぐに追い付かれる。
結論=詰んでる!!
「ウルルァァァァ!」
「ガルルァァァ!」
痺れを切らしたのかグリーンウルフ達は襲いかかってくる!くそったれ!
「死んでたまるかぁ!!」
「ギャインッ!」
僕は持ってる鞄をおもいっきり振り回す。
一匹は何とか吹っ飛ばす。でも残りの二匹がこっちに来る!
「くあっ!」
襲いかかってくる二匹の攻撃を横っ飛びで何とかかわす。あ、あぶねぇぇぇ!!
でもだめだ。次はかわせない。それどころかーー
「ウゥゥゥ…」
「ガァァァァ…」
「グゥゥゥ…」
完全に囲まれた。ああ、くそ。ここまでなのかよ。
結局、学園にすらいくことが出来なかったか。変な広告を見つけて、変なオカルトに縛られて、変な所に飛ばされて、挙げ句の果てに狼たちの昼食かよ。
思えばしょうもない人生だった。自分の夢もやりたいことも見つけられないまま、周りに流されるだけ。なんてつまらない人生。父さんに顔向け出来ないな。せっかく父さんが育ててくれたってのに。このまま終わるのか。嫌だな。
ーーああ、そうだ。このまま終わるのは嫌だ。
父さんに会いに行くのはまだ早いよな!
「うおおおおおおお!!」
「ギャンッ!!」
迫り来る一匹に決死の体当たりを食らわせる!よし、何とか抜けた!後は全力で走る!!
「ガルァァ!!」
「あがっ!?いってええええ!?こんのぉ!」
追い付いてきたグリーンウルフの爪に腕を引っ掻かれるものの鞄で顔面をおもいっきり殴る。その勢いでグリーンウルフは崖の下へと転がっていく。ざまあみろっ!犬畜生!昨今の通学鞄は丈夫さが売りなんだよ!
「ガアアアッ!!」
「っい!?あ”あ”あ”ああああっ!!?」
迫り来るもう一匹に左肩を咬まれる。
ーーいたいいたいいたいいたい!!今まで味わったことのない激痛が脳へと伝わる!あまりの痛さに膝をついてしまう。
「こ…のっ!やめろぉぉ!!」
「ギヤァウッ!!」
僕はその場に落ちていた拳ほどの石を拾い上げ、それを肩の犬野郎の目の辺りにおもいっきり叩き付ける!何度も何度も何度も叩き付ける!!グシャッという音とともに血が吹き出て肩から離れる。うぶっ…!血以外にも色々と飛び出てグロい……!!必死だったとはいえこれを自分でやったというのか。でも拘束が外れた!今なら追って来るのは一匹だけ、このまま逃げ切る!
「はぁっはぁっはぁっ…!くそ、死んでたまるかよ!」
走りながら一度眼鏡を外し、自分の状況を確認する。
シンドウ・クニハル level.1
HP : 19/34
MP: 23/23
状態:正常
攻撃力 13
耐久力 15
魔力     22
俊敏力 13
智力     32
汎用スキル:無し
マジックスキル:無し
オリジナルスキル
能力表示 level.Max:パッシブ 対象の能力をデータ表示する 解析していないものは表示されない
異世界言語level.Max:パッシブ アーテリアの言葉を自動で翻訳する
解析能力 level.1:アクティブ あらゆる物を解析出来る能力 この熟練土では解析出来る情報は限られるうえに時間を要する 
案の定HPは下がってる。それも半分近くも。またさっきみたいに肩をやられたらいよいよ瀕死という感じか。
「ガウッガウッ!!」
ーーっ!追ってきた!僕は眼鏡をかけ直し先程一匹の顔面を潰した石を構え直す。噛まれたのが利き腕じゃなくて本当に良かった!
向かってくるグリーンウルフに石を投げながら牽制をする。何処まで通用するかは分からないけど何もしないよりはマシだ!
「ギャンッ!!」
ーーおおっ!牽制のために投げたのに顔面をクリーンヒット!ラッキー!これなら逃げられる!
このまま目の前の丘を越えて森に逃げる!そうすれば隠れられる所があるはず!
「よし!このまま逃げ切ってーー」
丘を越えて次の光景に僕は言葉を失う。なんせそこにいたのはーー
「ウゥゥゥ…」
「グルル…」
「フッフッフッ…」
「グゥゥゥ…」
「ガウッ!ガウッ!」
ーーおよそ五匹のグリーンウルフ。
何でここにいるんだ?さっきの遠吠えで仲間を呼んでいたのか?それとも最初からここで待ち伏せしていたのか?
いずれにせよ確信した。終わった。
「ウゥゥゥ…!」
「グゥゥゥッ…!」
さっきの二匹も追い付いてきた。くそっ、くそっ、くそっ!!ここまで頑張った結果がコレかよ!結局何も変えられないのかよ!分かりきった結果だったってのかよ!!
「ふざけるなよ!ちくしょぉぉぉ!!死んでたまるか!駄目なんだそれだけは!!何にも残せないまま僕が死んだら、父さんは何のために僕を育てたんだよ!無下にしてたまるかよ!お前らみたいな犬畜生どもに好き勝手貪られていい命じゃないんだよ!!」
吠える。負け犬の遠吠えか、はたまた戦意を奮わせる咆哮か。ただ、グリーンウルフ達は僕のそんな意思などどうでもいいと言わんばかりに此方の退路を塞ぎにじりよってくる。
そして遂に奴らは一斉に襲いかかってきた。
(ちくしょう…!嫌だこんなとこで死にたくなんかない!死んだら駄目なのに…!)
目尻に涙を貯めながら迫り来る理不尽を睨み付ける。
それで奴らが止まるわけでもないのに。
ごめん、父さん。頑張ったけど駄目だった。こんな息子で本当にごめんなさい。
今そっちにーー
「ーーオリジナルスキル!!『超絶切り』ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
グリーンウルフの数体が突然吹き飛んでいく。何が起こったんだ?脳の処理が追い付かない僕の目の前に突然現れたのは、
「グリーンウルフ。一匹や二匹だとそうでもないけど、これだけいると面倒だよな。でも、ワタシの敵じゃあないな!!」
燃えるような赤いショートヘアー。軽そうで、されど丈夫そうな鎧を纏う少女が剣を狼たちに向けて僕を、庇うようにして立っていた。
「お前、大丈夫か?ワタシがきたからにはもう安全だぞ!何せワタシはーー」
目の前の少女が剣を狼たちに剣を向ける。そして意気揚々と叫ぶ。
「超絶すっごい戦士だからな!!」
「ここどこですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」
異世界へやって来ています。
いやいやいやまてまてまてぇぇぇぇぇっ!!
何処ここ!?何この絶景!?なんだあの謎の生き物!?今まで見たことないぞこんな光景!
「まさか、本当に異世界?あの謎の声が言った通りの?
ちょっ、ふざけるなよ!?外国って話はどうした!!
それともなに?地球「外」の「国」ってか!?笑えるかぁ!!」
いやそもそも外国って話事態、武田先生が勝手に言ってたことで僕が勘違いしただけなのか。
おのれ、武田ぁ!!
「いや先ずはおちつけ~。カームダウンミー」
とりあえず深呼吸だ。スーハースーハーうわめっちゃ空気うまい。
いやそこはいいんだよ!
「とりあえず今の状況を整理だ」
服装は制服の格好のまま。荷物は手に案内状。肩に手提げ鞄。眼鏡はどうだ。…よし、割れてない!でもちょっと汚れてるな拭いておこう。
僕は眼鏡を掃除するために顔から外す。
「ん?何これ?うわっ!なんか見える」
シンドウ・クニハル level.1
HP : 34/34
MP: 23/23
状態:正常
攻撃力 13
耐久力 15
魔力     22
俊敏力 13
智力     32
汎用スキル:無し
マジックスキル:無し
オリジナルスキル
能力表示 level.Max:パッシブ 対象の能力をデータ表示する 解析していないものは表示されない
異世界言語level.Max:パッシブ アーテリアの言葉を自動で翻訳する
解析能力 level.1:アクティブ あらゆる物を解析出来る能力 この熟練度では解析出来る情報は限られるうえに時間を要する 
眼鏡を外し裸眼になったとたんまるでゲーム画面のようなものが見える。なにこれ!?スキル?レベル!?
ワケわかんないですけど!!
いやいや落ち着けぇ。とりあえず眼鏡をかけて……あっ、きえた。
どうやら眼鏡をかけると消えるらしいなこの画面。
良かった~。四六時中見えてたら鬱陶しいからな。
「とりあえず調べることが増えたな」
僕は再び状況を整理する。先ずはこの場所、異世界だ。名前は、たしかあの声は「アーテリア」とか言ってたな。どうせならファンタジア学園に飛ばせよ!何処とも知れない平原に飛ばしやがって!……って今言ってもしょうがないか。次。
この異世界言語とかいうのは恐らくこの世界の言語を理解できる能力だろう。といっても異世界人とあってないから検証の仕様がない。よって後回しだ。
次にこの画面。これが能力表示というスキルだろうか。眼鏡を外した時にだけ映る。しかもこれを見るときに気付いたけど僕の視力が回復してる。でも画面のせいで以前よりも周りが見えづらい。意味ねぇ…。
次は画面の内容。ゲームと同じと考えるならこの世界にはレベルが存在する。この攻撃力とかは今の僕の身体能力ということか。
次にスキル。レベルがあるということは、こいつは成長すると見ていいだろう。なんか片方既にMaxだけど。
というかこれどう使えばいいんだ?スキルなんだから使えるんだろうが…。
「アナライズとか言えばいいのかな?」
『解析能力』
「うぇっ!?」
頭に声が響く!そしてステータス画面同様にパソコンのダウンロード画面のようなバー出現する。
『対象の解析完了まで残り5秒』
頭にまた声が響く。ステータスのバーももう半分以上埋まっている。そして5秒が経過する。
『解析完了』
魔封じの眼鏡:
この眼鏡を掛けたものの特定のスキル・魔法を封じる
この眼鏡……普通の眼鏡じゃなかった……。というかなにこの能力、デメリットしかないじゃん。
まぁいいや…。この眼鏡のお陰であのステータス画面が消える訳だし。いきなりスキルが発動したが成る程、対象を見ながらアナライズと言えば発動するのか。なら何もないとこならどうだろう。空とかならーー
「解析能力」
 
『対象がありません』
うむ、こうなったか。対象がなければ発動しない。
このステータスのスキルはこの画面のことでいいんだよな。パッシブってつまり受動、勝手に発動するってことだし。
しかしこれだけじゃ何ともなぁ。……うん?でっかい鳥…鳥?が飛んでる。
「見てみるか。解析能力」
『解析能力』
『解析完了まで残り3分』
ーーおっそ!
あれー??さっき眼鏡だと10秒くらいですんだのに。
生物相手だとデータ量が違うとか?
とりあえず僕は近くの木陰に移動し3分間待ってみる。
『解析完了』
スカイハイイーグル level:14
HP:224/224
MP:122/122
攻撃力 86
耐久力 74
魔力     53
俊敏力 88
智力     24
汎用スキル:無し
マジックスキル:
火炎吹き level.2:パッシブ 火炎を口から吹き出すことで攻撃する
オリジナルスキル:無し
うっわつええ。でかい鳥だとは思ったけど、レベルもステータスも違いすぎる!というか火ぃ吹くのこいつ!?怖っ!襲われる前に退散しよう。しかし智力だけ勝ってるけど、これはあれか?獣と人間との差というものなのだろうか。
あっ、そうだ人間!人を探さないと!ここが何処かも分からないのに。とりあえずここを移動するしかーー
「グルルルル……」ぐるる?
「グルルル……」
「ウゥゥゥ……」
「ガルルルゥ…」
何かヤバげな雰囲気のワンちゃんがいっぱいいるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
「ひぃぃ……!なに…!?なんだよぉ…!」
「ヴゥルルル……」
「ハッハッハッ……」
ひえええええ!めちゃくちゃ涎垂らしてらっしゃる!!完全に補食対象として見てるよコレ!
「あ、解析能力!」
『解析能力』
つい反射的にスキルを発動する。コレでなにかわかれば逃げられるかもしれない!でも解析時間がーー
『解析完了まで残り10秒』
解析時間が短い!やっぱり個体差があるのか!いやそれよりも早く!早く解析して!犬来てる犬来てる!!にじりよって来てるって!
『解析完了』
グリーンウルフ level.3
HP:42/42
MP:5/5
攻撃力 23
耐久力 18
魔力     10
俊敏力 31
智力     12
汎用スキル:
連携level2: パッシブ 複数でいる場合、連携を取りやすくなる
遠吠え level.2: アクティブ 大きく声をあげ、相手を威嚇する levelの低い相手の動きを怯ませる
マジックスキル:無し
オリジナルスキル:無し
複数のステータスが此方よりも高い!特に俊敏!これだと逃げても直ぐに追い付かれる!
でも智力が低い。数は三匹。コレならもしかしたら何とかなるかも!
僕は手提げ鞄からあるものを取り出す。それは今日食べようと思って買ったおいたコンビニ弁当だ。こいつをグリーンウルフたちの前に出す。すると奴ら狙い通り弁当に釘付けだ。
「ほ~ら欲しいか~?そんなに欲しいか~?」
弁当を左右に揺らす。それにつられてグリーンウルフたちも首を揺らす。…よし今だ!
「とってこぉぉぉぉい!!」
「バウバウバウッ!!」
「ハッハッハッ!!」
よっしゃあ!犬コロどもめ!あっさり引っ掛かりやがった!これなら直ぐに逃げられる!あばよ~とっつぁ~ん!
「ウォォォォォォォォォォン!!!」
ーーっ!?体が固まった!?いや、動ける!一瞬だけだ!でもなんで!?…まさかスキル!?さっきの『遠吠え』とかいうやつか!
「ウルルルゥ……」
「グゥゥゥ……」
「ーーっ!?……ず、随分と食い意地はってるなぁ」
なんてこった。もう弁当は食い尽くされたのか!
一匹が僕を監視して逃げ出そうとした瞬間に遠吠えを使って動きを止める。智力低い割にはやけに頭のいい行動をとっている。恐らくもう一つのスキル『連携』が発動しているからだろう。
ああくそ、甘く見ていた!スキル一つでここまで状況が一変するなんて何て世界だ!
どうする?走って逃げるか?だけど俊敏の能力で完全に負けてるぞ。なら倒す?武器も何もないのにどうやって?
仮に逃げても遠吠えと連携がある以上直ぐに追い付かれる。
結論=詰んでる!!
「ウルルァァァァ!」
「ガルルァァァ!」
痺れを切らしたのかグリーンウルフ達は襲いかかってくる!くそったれ!
「死んでたまるかぁ!!」
「ギャインッ!」
僕は持ってる鞄をおもいっきり振り回す。
一匹は何とか吹っ飛ばす。でも残りの二匹がこっちに来る!
「くあっ!」
襲いかかってくる二匹の攻撃を横っ飛びで何とかかわす。あ、あぶねぇぇぇ!!
でもだめだ。次はかわせない。それどころかーー
「ウゥゥゥ…」
「ガァァァァ…」
「グゥゥゥ…」
完全に囲まれた。ああ、くそ。ここまでなのかよ。
結局、学園にすらいくことが出来なかったか。変な広告を見つけて、変なオカルトに縛られて、変な所に飛ばされて、挙げ句の果てに狼たちの昼食かよ。
思えばしょうもない人生だった。自分の夢もやりたいことも見つけられないまま、周りに流されるだけ。なんてつまらない人生。父さんに顔向け出来ないな。せっかく父さんが育ててくれたってのに。このまま終わるのか。嫌だな。
ーーああ、そうだ。このまま終わるのは嫌だ。
父さんに会いに行くのはまだ早いよな!
「うおおおおおおお!!」
「ギャンッ!!」
迫り来る一匹に決死の体当たりを食らわせる!よし、何とか抜けた!後は全力で走る!!
「ガルァァ!!」
「あがっ!?いってええええ!?こんのぉ!」
追い付いてきたグリーンウルフの爪に腕を引っ掻かれるものの鞄で顔面をおもいっきり殴る。その勢いでグリーンウルフは崖の下へと転がっていく。ざまあみろっ!犬畜生!昨今の通学鞄は丈夫さが売りなんだよ!
「ガアアアッ!!」
「っい!?あ”あ”あ”ああああっ!!?」
迫り来るもう一匹に左肩を咬まれる。
ーーいたいいたいいたいいたい!!今まで味わったことのない激痛が脳へと伝わる!あまりの痛さに膝をついてしまう。
「こ…のっ!やめろぉぉ!!」
「ギヤァウッ!!」
僕はその場に落ちていた拳ほどの石を拾い上げ、それを肩の犬野郎の目の辺りにおもいっきり叩き付ける!何度も何度も何度も叩き付ける!!グシャッという音とともに血が吹き出て肩から離れる。うぶっ…!血以外にも色々と飛び出てグロい……!!必死だったとはいえこれを自分でやったというのか。でも拘束が外れた!今なら追って来るのは一匹だけ、このまま逃げ切る!
「はぁっはぁっはぁっ…!くそ、死んでたまるかよ!」
走りながら一度眼鏡を外し、自分の状況を確認する。
シンドウ・クニハル level.1
HP : 19/34
MP: 23/23
状態:正常
攻撃力 13
耐久力 15
魔力     22
俊敏力 13
智力     32
汎用スキル:無し
マジックスキル:無し
オリジナルスキル
能力表示 level.Max:パッシブ 対象の能力をデータ表示する 解析していないものは表示されない
異世界言語level.Max:パッシブ アーテリアの言葉を自動で翻訳する
解析能力 level.1:アクティブ あらゆる物を解析出来る能力 この熟練土では解析出来る情報は限られるうえに時間を要する 
案の定HPは下がってる。それも半分近くも。またさっきみたいに肩をやられたらいよいよ瀕死という感じか。
「ガウッガウッ!!」
ーーっ!追ってきた!僕は眼鏡をかけ直し先程一匹の顔面を潰した石を構え直す。噛まれたのが利き腕じゃなくて本当に良かった!
向かってくるグリーンウルフに石を投げながら牽制をする。何処まで通用するかは分からないけど何もしないよりはマシだ!
「ギャンッ!!」
ーーおおっ!牽制のために投げたのに顔面をクリーンヒット!ラッキー!これなら逃げられる!
このまま目の前の丘を越えて森に逃げる!そうすれば隠れられる所があるはず!
「よし!このまま逃げ切ってーー」
丘を越えて次の光景に僕は言葉を失う。なんせそこにいたのはーー
「ウゥゥゥ…」
「グルル…」
「フッフッフッ…」
「グゥゥゥ…」
「ガウッ!ガウッ!」
ーーおよそ五匹のグリーンウルフ。
何でここにいるんだ?さっきの遠吠えで仲間を呼んでいたのか?それとも最初からここで待ち伏せしていたのか?
いずれにせよ確信した。終わった。
「ウゥゥゥ…!」
「グゥゥゥッ…!」
さっきの二匹も追い付いてきた。くそっ、くそっ、くそっ!!ここまで頑張った結果がコレかよ!結局何も変えられないのかよ!分かりきった結果だったってのかよ!!
「ふざけるなよ!ちくしょぉぉぉ!!死んでたまるか!駄目なんだそれだけは!!何にも残せないまま僕が死んだら、父さんは何のために僕を育てたんだよ!無下にしてたまるかよ!お前らみたいな犬畜生どもに好き勝手貪られていい命じゃないんだよ!!」
吠える。負け犬の遠吠えか、はたまた戦意を奮わせる咆哮か。ただ、グリーンウルフ達は僕のそんな意思などどうでもいいと言わんばかりに此方の退路を塞ぎにじりよってくる。
そして遂に奴らは一斉に襲いかかってきた。
(ちくしょう…!嫌だこんなとこで死にたくなんかない!死んだら駄目なのに…!)
目尻に涙を貯めながら迫り来る理不尽を睨み付ける。
それで奴らが止まるわけでもないのに。
ごめん、父さん。頑張ったけど駄目だった。こんな息子で本当にごめんなさい。
今そっちにーー
「ーーオリジナルスキル!!『超絶切り』ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
グリーンウルフの数体が突然吹き飛んでいく。何が起こったんだ?脳の処理が追い付かない僕の目の前に突然現れたのは、
「グリーンウルフ。一匹や二匹だとそうでもないけど、これだけいると面倒だよな。でも、ワタシの敵じゃあないな!!」
燃えるような赤いショートヘアー。軽そうで、されど丈夫そうな鎧を纏う少女が剣を狼たちに向けて僕を、庇うようにして立っていた。
「お前、大丈夫か?ワタシがきたからにはもう安全だぞ!何せワタシはーー」
目の前の少女が剣を狼たちに剣を向ける。そして意気揚々と叫ぶ。
「超絶すっごい戦士だからな!!」
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