異世界最強はスローライフを送りたい!~とりあえず異世界でのんびりさせてください~

ノクト

1.女神からのメール~異世界に行きませんか?~

 「はあ・・・結局今日もこの時間か・・・」


 時刻は夜中の2時。会社の残業のお陰で毎日の帰宅がこの時間になる。
 この時間に帰宅するが故に、睡眠時間は3時間ほど。
 これが毎日続いてしまっては、さすがに仕事が嫌になってくる。それに比例してストレスも溜まる一方である。


 「仕事やめてえな・・・でも、そういう訳にはいかねえしな・・・」



 俺は自身の欲を言葉にする。
 仕事を辞めたい。しかし辞めてしまえば、今後の生活、自身の肩書(経歴)に傷がついてしまう。
 そうなってしまえば。人生負け組コース行きはもはや避けられないだろう。
 辞めたいが、辞めたくない。この矛盾の様な考えに、毎日悩まされる。


 
 「・・・風呂にでも入るか・・・」


 せめて風呂にでも入って、心身共の疲れを洗い流したい。
 その後はビールでも飲んで息抜き。これだけが、今俺が仕事を頑張れる理由。

 さっそくお風呂に入いろうと、俺は風呂場の方へ歩き出す。
 しかし、その時何かにつま先をぶつける感覚がした。
 何かと思い足元を見てみると、そこには一冊の本があった。
 実際にその本を手に取って見てみると、


 「これは・・・」


 それは、自分が学生時代によく読んでいた、某有名作品のライトノベルだった。
 因みに異世界物である。


 「懐かしいな・・・あの頃は本当に好きな事出来たっけ・・・それが今はこれかよ・・・」


 ライトノベルを手にしながら、自身の過去を懐かしむ。
 実際にあの頃は、ラノベやアニメ、漫画やゲーム、とにかく毎日が充実していた(リア充ではないです)
 しかし今は仕事に追われる毎日。自身の趣味に時間を費やす程の時間はない。
 この世界は理不尽だ。正直、もううんざりだ。


 「はあ・・・このラノベの主人公の様に、異世界で好きなことして自由に生きてられる、そんな事ってねえかな・・・」


 俺が自身の叶わぬ願望を口にした、その瞬間、


 ピロンッ!


 「なんだ?メールか?」


 ポケットに入れていたスマホが、着信音を鳴らしながら振動した。
 気になったので、手に取って見てみると、


 「メールが一件届いている・・・」


 スマホの画面には、メールの通知が一件届いていた。
 しかし、一体誰からだろうか。友人は指で数えれる程しかいないし、何かの公式サイトにも登録してないので、お知らせが来るはずがない。かと言ってこんな夜中に両親がメールを送るはずがない。なら、一体誰からだ?
 気になったので、早々に通知を開いた。
 するとそこには・・・



 「なんだ・・・これ・・・?」


 メールの内容はこうだった。

 ーーーーーーーー
 
 受信
 日付:2017年8月17日
 From:女神
 Sub:無題

 異世界に行きたくはないですか?
 毎日疲れを蓄積する人生ではなく、きっとあなたが望む世界が待っていますよ。


 
       異世界に行きたいですか?(お好きな方をタッチしてください)


             ・はい    ・いいえ 



 ーーーーーーーーーー


 
 「女神・・・?誰だこいつ・・・」


 迷惑メールか何かだろうか。
 異世界に行きたいですか、だと?ふざけてるのか?
 異世界物のラノベを見つけた矢先にこれかよ・・・
 これは無視が最適な答えだろうな。

 俺はホームボタンを押して、意味の分からないメールを閉じようとする。
 しかし、


 「閉じられない・・・?」


 ホームボタンを押しても画面はそのまま。
 電源ボタンを押して電源を切ろうと試みるが、やはり画面は変わらない。
 どうしたんだ・・・?故障でもしたのか・・・?
 

 「でもこの『はい』と『いいえ』だけは反応するのか・・・気味悪いな・・・」


 画面に映し出された選択肢、『はい』と『いいえ』のみは反応する模様。
 おかしい、明らかにおかしい。このメールに普通じゃない何かを感じる。 
 ここはスマホ自体を放棄するか・・・?いや、ダメだ。さっきから俺の危険センサーの反応が尋常じゃない。
 ここでスマホ自体を放棄してしまえば、何かが起きる。そう本能が言っている。
 もう・・・逃れられない・・・か・・・


 「わかったよ・・・騙されたと思ってやってやるよ」


 俺にはもうどちらかを選ぶという選択肢しか残されていない。
 仕方ない。この投げかけに応えてやるとしよう。
 『異世界に行きたいか』だったな。ふん、愚問だな。
 俺が行きたくないというと思うか?いや、ないな。答えはイエスだ。

 俺は画面に映し出されている二つの選択肢から、『はい』の方をタッチした。
 瞬間、手に持っていたスマホが、突如眩い光を放ち始めた。


 「うわっ!なんだこれ!?」


 俺はあまりの眩しさに目を瞑る。その光は、俺を包みこんだ。


 「・・・もういいか・・・?」


 瞑る先で光の収まりを感じた俺は、徐々に目を開ける。
 目を完全に開ききった時、そこで俺を待っていたのは・・・

 
 「うわ・・・!す、すげえ・・・!」


 中世ヨーロッパ風の町並みを思わせる建物が数々と並んでいた。
 そして目の前に映る商店街と思しき場所では、たくさんの馬車が行き交い、鎧を着ている兵士や、魔術師っぽい衣装を身にまっとている者もいる。



 「ここは・・・一体・・・」

 『お待ちしておりました』


 不意に、頭の中で声が響いた。
 そしてその声は、俺に驚く隙を与えさせさせず、更に言葉を続けた。


 『ーーーようこそ異世界へ。ここがあなたの望む世界です』


 ーーー脳内に響く美しい女性の声は、とても嬉しそうに俺を歓迎した。





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