創造神は創った世界で美少女達に囲まれました

水縹 (みはなだ)

05話 文化祭で大爆発

原因の3つ目、それは文化祭だ。

俺の通っている学校は10月に文化祭がある。
なので、7月の前半、つまりは期末テスト前にどんなことをやるか、誰が何を担当するか、夏休みのいつ誰が作業するかの大まかなことを決める。

幼馴染と妹のことが発覚したのが6月後半。

この騒ぎを鎮めるためにこの文化祭では目立たないようにしようと決めた。
出来るだけ、地味なやつを担当して、なんとか嫉妬を食い止めよう。
そう考えていた。

なので俺はクラスで出す文化祭の案を決めている時でも何も発言せずにクラスの総意に任せることにした。

俺が何もしないままにうちのクラスは劇をすることに決まり、題目もベタベタにロミオとジュリエットに決まった。
ここで、俺がすることは1つ。
劇に出ないもしくは出るとしても村人Aとかいう地味な役になることだ。
まぁ、ロミオとジュリエットなら主役やりたい男子なんて数人は確実に出そうなので心配なさそうだが。


しかも、俺に追い風がきた。
ジュリエット役がうちのクラスにいた美少女四天王の1人の濱野に決まった。
しかも、濱野は子役として活躍し、今でもドラマに度々出演している売れっ子の女優さんである。
美少女のしかも女優さんとロミオとジュリエットができるとなって、ロミオ役の立候補には男子のほとんどが手を挙げた。あげなかったのは、俺を含め、3人ほどである。

その結果、ロミオ役はくじ引きで決まることになった。
紙に赤い印がついている人が当たりらしい。

席の端から順々にくじ引きを引いている。そして、誰も見ていない。どうせ、一斉に開けるらしい。俺には関係ないけど。

籾谷もみや引いてないだろ。引け。」

と思っていたら、先生からお呼びがかかった。

「いえ、俺は結構です。」

と言って、辞退しようとしたが、

「いいから、引け。どうせやりたいんだろ。」

いや、本当に結構なんだけど。
まぁ、クラスの男子のほぼ全員が引き終わっていて、残りは2枚。
流石にここまであたりが残ってるわけないか。
そう思い、くじ引きボックスに手を入れると、適当に2つあるうちの片方を取ると席に戻った。

「よし、じゃあ最後の1枚は今日休んだ馬場の分な。それじゃあ、みんなクジを開けていいぞ。赤丸が付いてたらロミオだからな。」

この声に合わせて、周りの男子たちが一斉にクジを開けたのだろう。
周りから「クソッ」とか「外れた」や、「外れかよ」の声が聞こえてくる。
あれ?おかしいな。
歓喜の声が全く聞こえてこないぞ。
多分、丸がついてる奴がこの阿鼻叫喚を聞いて言い出せないでいるのだろう。そうだ。そうに違いない。もしくは、先生の手にある奴。

「馬場のはハズレだったぞ。当たった奴いないのか。」

誰も声を上げない。
いや、ないない。
たしかにスキル『超幸運』は保持してはいるが使ってない。

「おかしいな、入れたはずなんだが。俺が周るから全員クジを見せろ。」

いや、俺のわけない。
他にも開けてない奴いるだろ。
もしくは寝てる奴。
額になぜか汗が出てくる。

「お前もハズレだな。次は籾谷だな。クジを見せろ。」

俺は逆らえず、まだ開けてないクジを出す。
嫌な予感が高まる。

「なんだ、お前開けてないじゃないか。」

先生のその一言でクラスの男子の視線が俺に集中する。

「あの、ちょっとトイレ。」

「開けてからいけ。そのぐらい我慢できるだろ。」

暴論だ!
漏れたらどうするんだ。

でも、まだ。
結果がわかってないから外れている可能性だって残っている。
例え、99パーセント俺でも、残りの1パーセントは他の人かもしれない。

俺がゆっくりクジを開けると、俺の願いも虚しく、クジには赤い丸がついていた。
で、ですよねー。

「よし、ロミオ役は籾谷な。拍手。」

事情をよく知らない女子からは普通の拍手が送られたが、男子からの拍手には殺意が含まれているような気がした。

「頼むぞ、籾谷。先生、期待してるからな。」

頼むぞ、先生。この俺へのヘイトどうにかしれくれよ。

「ジュリエット役の濱野です。話すの初めてですけど、よろしくね。」

次の休み時間には濱野さんから挨拶された。

「ああ、こちらこそよろしく。」

「お互い頑張りましょう。」

その時の男子の視線が痛すぎた。






濱野さんはクールな感じの黒髪ロングの美少女だった。
その容姿から俳優業でもクールな美少女を演じることが多いようだ。

さて、ロミオには絶対になりたくはなかったが、なってしまったなら仕方ない。
今度はどういう風にそれでも目立たず無難に乗り切るかを考えなければならない。

はじめに俺はスキル『演技』を使用することに決めた。
このスキルは異世界では潜入捜査によく使ったものだ。
なぜ、このスキルを使うことにしたかというと、もしこの状況で俳優さんの相手なのに演技が下手だったら、確実に叩かれる。それを避けるためだ。少し使えば安泰だろう。

そのせいもあってか、始めて合わせた時に濱野さんにはかなり驚かれた。
まぁ、始めてなのにね、こんなうまかったら驚くか。
俺の実力が想像以上だとわかった瞬間に監督になっていた女の子が燃えた。
告白シーンとか自分たちで作ってみて、その方がそれっぽくていいという謎理論を押し切られて、2人きりで話し合う必要ができてしまった。後、歌まで追加された。しかも、作詞は俺らで担当。

そんなことで、俺の夏休みは濱野さんと会う機会が格段に増えた。
とはいえ、彼女は売れっ子の女優さんである。
もちろん、忙しいため話し合いは彼女の仕事の合間にすることになり、俺は彼女の仕事の場所まで出向くことになった。
その時はもちろん、電車など使うわけもなく、スキル『テレポート』でその場所に瞬間移動した。お金がもったいない。

カフェなどで向かい合いながら、この表現はどうだろう。こんな動き方ですればいいのではないか。この歌詞を引用してみればどうか。
俺は相談のたびに過去のラズストーリーやラブソングの歌詞などを持って行ったし、ちゃんと案も考えて行った。
向こうは売れっ子で忙しいのだ。
ただでさえ、学校にくることなんて少ないのに、ここは俺が主体でやらないでどうする。

そして、かなりの回数の相談を重ね、2人が納得して、練習して出来た劇は、文化祭で大成功を収めた。
もともと、濱野がジュリエット役で出演するので、前評判から高かったのもあるのだが。

俺は文化祭全4回の講演が全て終わった後に濱野とした達成感溢れるハイタッチは忘れないと思う。

「籾谷、色々とありがとうございました。かなり助かったわ。」

「俺からもありがとう。本物の女優さんと演技できる機会なんてないから。」

「籾谷も俳優やったらどう?演技も素晴らしかったですよ。」

「いや、演技良くても顔が普通だから。それに俺には気が重い。今回の文化祭だけでも、ど緊張だったから。」

「そうですか。残念ですけど、これからもロミオとジュリエットとして仲良くしていきましょう。」

「これからもよろしく。」

俺と濱野はこれ以降話していない。






濱野はこの文化祭が終わった後、映画を撮るために1ヶ月間近く、外国に行き、学校には登校してこなかった。

その間に俺へのいじめが始まった。

最後のピースは俺の演技が下手だったではなく、俺と濱野さんが一緒のカフェにいたことだった。
どうやら、濱野さんのロケ地に偶然訪れた男子生徒が俺と話していた濱野さんを発見。
俺たちが気付かぬうちに盗撮し、グルに回したようだ。

流石に美少女四天王の3人とただならぬ関係は男子生徒たちには許されなかった。
そして、俺に対するいじめが始まった。
最初は俺の椅子が消えているとかだったが、エスカレートしていった。
親がいないこともかなり相手に有利に働いているようだ。
さらに悪質なのは先生がこのいじめを完全に黙認していることだ。どうやら、俺のクラスの生徒の中にかなりの発言権も持つ親がいるらしい。その親が黙認するように圧力をかけ、その圧力にやられているわけだ。
それに、最近は女子まで介入を始めた。

わかるだろ。
こんな状況だと濱野と話すことなんかできるわけないだろ。
向こうもわかっているのか話しかけてこないし。

これが失態に入る理由は簡単だ。
くじ引きのところ、いくらでも回避のしようがあったのだ。
例えば、『透視』で箱の中を見るとか。
『瞬間移動』や『時間停止』で他の人とクジを取り換えるとか。
後で気づいてどんだけ後悔したことか。






でも、もう終わるのだ。この生活は。
高校2月の15日で。
その日は、この世界からもう1つのファンタジー世界に転移する日なのだから。

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