ひねくれマイロード

クガ

十四

 「うぉ!エルフか、初めて見たな。」
 「昨日路地裏で倒れてたから助けた。名前はラミ。」
 「今、私がゲントと話してたのに、なんで割り込んでくるのよ。マナー違反よ。」
 一言で表すと冷たい。さながら冷蔵庫。
 その見た目はやはりエルフ故か、少しあどけなさが残った美少女。スラリとした手足は、戦闘には到底向いてなさそうである。金色の長髪、緑の瞳。
 「それは済まなかったな。久々の再開に、浮かれていたんだよ。コウメイだ。よろしくな。」
 「…ま、いいわ。よろしくね。」
 先程までとは打って変わって、朗らかな表情と声で接してくる。彼女の本質はその優しさで、それ故の厳しさが表面化しているだけなのだと、すぐに敏される。
 「それにしても、やっぱりお前だろ!奴隷商の屋敷を襲撃したのって!」
 「お前だって、ちゃっかりその屋敷から娘一人さらってんじゃねぇか…」
 「いや、だから本当に倒れてたんだよ。」
 「ちょ、ちょっと、こんなところでする会話じゃないわよ。他の話題に、ね!」
 「うん、そうだな。学園長が見てたのって、やっぱり実力じゃ無いっぽくないか?どう思うコウメイ。」
 「う〜ん?」
 その瞬間、ドアが開いた。
 そこから入ってきたのは学園長…ではなくボサボサの髪の毛のおっさんだった。顔立ちはなかなかの物だが、その無精髭と髪の毛の手入れ無し感で、殆ど台無しになっている。
長身、武器は何一つ持っていない。
 「お前ら、席に座れ。ああ、場所は好きな所な。SHR始めるぞ。」
 その場にいた全員が、席に付き終わるのを見届けてから、男は話を続ける。
 「俺は、このクラスの担任のオルガン。武器や魔法は実践の時に使ってやるから、楽しみにしておけ。まぁ、なんだ。お前ら多分、全員が一線級の能力はあると思うが、更に鍛えてやんよ。なんか質問があったらなら直ぐに俺んとこ来な。教えてやれるなら教えてやるぜ。」
 笑顔で言ったそのセリフは、自身にとっての仕事のやりがいを表しているのだろう。見かけに因らず教育熱心。
 実はこのオルガン、こう見えて学園長にも信頼されている。今年の生徒会長、ジン・フープにも頼られる事はしばしば。上級生の中ではかなり評判がいい。
 「さて、一人一人自己紹介をしていくか。んじゃーそっちから!」
 


 「私はオトギと申します。趣味はバイオリンで、ナー神社で巫女をやっております。よろしくお願いしますね。」
 このように、ドンドンと進んでいった。
 要約すると…


 オトギ:166cm・F
 トート:160・C
 ラミ:162・C
 モネ:170・E
 サラ:159・A
 モノリス:163・B
 フウマ:172
となる。フウマ、コウメイ、ゲント以外は女性となった。
 



 「よし、なんか質問、あるか?…無いようだな。では、解散!」
 その次の瞬間に、事件は起きた。
 「先生、決闘がしたいです。」
つ 「何ぃ!?」
 ゲントに向かい直り、言う。
 つ「ボク、トートは、ゲントに対して決闘を申し込む!」
 これに対してゲントは、
 「コウメイ。代理頼む。」
 サラリと受け流し、
 「ん?いいぞ?!」
 コウメイも了承してしまう。
 「え!」
 「もちろん、コウメイが負けたら俺の負けでいい。俺自身、まだ戦える様な状態でないしな。」
 「くっ…わかった。今から二時間後に、武闘場で!」

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