ひねくれマイロード

クガ

 「さ、探したぞって…」
 「おお、マオ!あいたかったぞ〜!お主のお陰でこんなにも早くコウメイを見つけられたんじゃー。感謝感激雨あられ〜、じゃ。」
 じゃ、は要らないと思いながら、マオは再び口を開く。
 「なんで此処に来たの?」
 「ん?聞いとらんかったのか?妾はあるじの契約神になったんじゃ。」
 
 「そっか、転移させる時の条件に…。てことは、他にも来るの?」
 「すまんのぅ、妾にもわからん。なんせ、最低一人は来る、という条件じゃ。妾が来た時点で、条件は達成されとるんじゃ。」
 リア、シャロ、ネートはコウメイが転移者と言う事を知らされているので、異世界の神と契約した、と言う事をなんとか理解できた。が、当然話には入られない。
 それを見かねたコウメイは、話を打ち切り、違う話題に引っ張った。

 「幸いな事に、この三人。学園に入学金を払っている。ただツクヨミが払っていないから、学園には来れないかな。」
 「うぅ、妾一緒に行きたい… 」
 「あ、大丈夫だよ。別に受付は、入学式の前日午後三時までだから。」
 「うぅやったー!」
 
 マオはツクヨミと共に学園に。リアとシャロは買い物に。
 そしてコウメイとネートは…
 「…さて。全員、殺すなよ。才能があるとか、技術がすごいとか、後美人は俺のもとに。」
 「了解。きちんと成功したら…」
 「ああ。何か褒美をやろう。」
 「では。」
 ネートは東。コウメイは西からとある組織いらいぬしを同時に音もなく襲撃する。
 数十分で全ての敵が片付く。そう思い込んでいたコウメイに、誤算が生まれるのは奇襲すぐ後だった。


  ネートは槍を得意としており、そのため暗殺などはリーチが違いすぎるので武器を使わない、と決めていた。しかし、最初の暗殺でいきなり失敗してしまったので、諦めて槍を使うことにした。
 「シッ。」
 「ぶぐぅ」
 「ぁえぼ!」
 軽快なステップで、蝶のように。
 最後の廊下。一直線。敵は奥の部屋の中とその前に。
 

 普段出さないような声を出しながら敵は吹き飛んでいく。コウメイの獲物は鞭。そして扇子の2つであり、扇子は呪術媒体でもある。
 ホームズの記憶では、アーツやCQCなど、孔明の時は占いや呪術、戦術。そして転移する前は、父親の
 『お前には個性が、個性が欲しいよなぁ〜…』
 という独断と偏見により、鞭を教えられていた。
 この世界では、自身の鍛錬と才能で何処までも実力が伸ばせる。以前の世界での努力、そして才能により世界でもトップクラスの鞭使いであることを、まだコウメイは知らない。
 加えて、鞭は拷問に使われるのが主な用途。鎧には殆ど効果を成さないはずなのだが。
 「「うぶぅあ!」」
 (なんか、ワケがわからんくらい、鞭の威力と俺の技術が上がっているな。これはSKILLの効果だな。)
 そして周りに敵がいなくなったところで、目の前にある部屋に入ろうとしたところで。

 「よく来た名も知らぬ侵入者よ。」

 黒装束の、つまりはくノ一が気配無く背後に現れた。

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