未来がわかるから貴方とは付き合えません!
#1.近くに居るだけで
ああ…今日も鳥達が鳴いている…。
なんて平和でなんていつも通りの朝なんだ!!!
ただ、ただひとつ違っていたのは…
「かーなーえーちーのー!」
窓をすり抜けてあたしの耳に入ってくるやかましい声。一昨日までは平凡で静かな朝だったはずが、たった1日でこうも変わってしまうのか。
そんなことをあたしは考えていた。
「なんなんだよアンタは!!!」
バァンっと大きな音を立て勢いよくドアを開けて、足を肩幅に開いて立ちながらあたしは叫んだ。
「待ってたよ、叶江茅乃ちゃん」
ニコッとくそ眩しいスマイルを横目にあたしは何も知らないような顔をして歩き出した。
「ちょっ、無視!?叶江茅乃ちゃーん」
「なんでフルネームなのやかましいなあ!」
「あっ!じゃあ茅乃ちゃんって呼んでいいのかな?」
決め台詞を最高の顔で言ったようにあたしの顔を覗くがその頃にはあたしは既に先を歩いていた。
「釣れないなあ」
「本当鬱陶しいなアンタ。なんなのさ!」
イライラが止まらないあたしに焦ったように手を振り動かすとあたしの前に回り込んだ。
「俺は茅乃ちゃんに運命を感じたんだよ!これは絶対運命だと思うんだ…付き合うしかないね!」
「いや、ないわ。」
サラッと話を受け流しながらあたしはそのまま歩いて行った。
しばらくしてあたしは激しい頭痛と目眩に襲われた。
『このまま高波夜兎と一緒に居ると災難が待ち受けている。すぐに逃げた方が良い。』
脳裏にそんな声が聴こえた。
そう。これをあたしは予知声と呼んでいる。
この声が言うことは絶対なのだ。未来に起こることをあたしに告げてくる。
ただし、全てのことを告げてくる訳では無い。まだあたしには分からないが告げてくる事柄と何もない事柄がある。
「って…これはマズいんだってええええ!!!」
「ちょっ!?茅乃ちゃん!?」
あたしはとりあえず何も考えずに無我夢中で走り出した。
急に走り出したあたしを呆然に高波は眺めていた。
「きっと悪いことが起きる…悪いことが起きる…」
ブツブツと独り言のように唱えるあたしの肩を誰かの手がそっと触れた。
「ギャアアアアアアアアアアア!!!!!!」
悪い予感しかしないんだって!!!!!!
───  茅乃ちゃん、僕はねきっと茅乃ちゃんを護るために産まれてきたんだと思うんだ ───
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