オカルト先輩 ~異世界怪異譚~
軍倉庫
これは、私が来るかもしれない『いつか』の為に綴った、オカルト先輩との記録である。
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「ここが噂の軍倉庫だ」
その日先輩に連れて来られたのはブリッジ警備軍の敷地の外れ、他の建物からは離れた場所で人目を避けてひっそりと隠れるように佇む軍倉庫。警備軍にまだ半身勤めている私でもその存在は知らなかった。作りも古く手入れもされていないため壁は黒く汚れてあちこち痛んでいる、私の元いた世界なら補修して文化遺産になるか取り壊しだろう。
「先輩、本当に入るんですか?」
雰囲気に押され、背後にいる先輩に聞いてしまった。黒髪の細い長身眼鏡は何も答えず、つまらなそうな顔で私を見た。まるで入らないのはつまらないと言いたそうに、まるで入らない私をつまらないと言いたそうに。
少し腹が立った。
「じゃあ、行きましょう」
そう言い放ってしまった。先輩は意地悪く笑った。
厚い黒塗りの扉を前にふと振り返ると先輩は黒淵眼鏡のレンズを使って中を見透かさそうとしているかのようにいつものやる気元気覇気の無い真っ黒な瞳を真っ直ぐ向けている。
「行きます!」
覚悟を決めて古くたがたつく取っ手を掴んだ時、この扉が中と外を塞ぐ壁ではなく、開閉する扉として機能したのはいつ以来なのかとなぜかそう思ってしまった。
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「ここが噂の軍倉庫だ」
その日先輩に連れて来られたのはブリッジ警備軍の敷地の外れ、他の建物からは離れた場所で人目を避けてひっそりと隠れるように佇む軍倉庫。警備軍にまだ半身勤めている私でもその存在は知らなかった。作りも古く手入れもされていないため壁は黒く汚れてあちこち痛んでいる、私の元いた世界なら補修して文化遺産になるか取り壊しだろう。
「先輩、本当に入るんですか?」
雰囲気に押され、背後にいる先輩に聞いてしまった。黒髪の細い長身眼鏡は何も答えず、つまらなそうな顔で私を見た。まるで入らないのはつまらないと言いたそうに、まるで入らない私をつまらないと言いたそうに。
少し腹が立った。
「じゃあ、行きましょう」
そう言い放ってしまった。先輩は意地悪く笑った。
厚い黒塗りの扉を前にふと振り返ると先輩は黒淵眼鏡のレンズを使って中を見透かさそうとしているかのようにいつものやる気元気覇気の無い真っ黒な瞳を真っ直ぐ向けている。
「行きます!」
覚悟を決めて古くたがたつく取っ手を掴んだ時、この扉が中と外を塞ぐ壁ではなく、開閉する扉として機能したのはいつ以来なのかとなぜかそう思ってしまった。
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