それでも僕は歩み続ける(仮)

みきトラ

第1章プロローグ

全てが闇に覆われた暗黒の世界の中心に建っている城

その名も魔王城

俺たちは辛く苦しい長い旅を得てやっとここまで…

魔王の玉座まで来たここまでくるのに数え切れないほど沢山の仲間達がその命を消していった…。


全ては俺達をここに導くために…、

そう、世界中の人々を今もなお苦しめる邪悪なる魔王を倒すために。


選ばれし勇者である俺は、俺達は今こそ使命を果たさなければならない…。


魔王を討ち世界に平穏をもたらすため。


「フハハ!こんなにも遠い所までよくぞ来た招かれざる客よ!いや、勇者達よ!」



「会いたかったぞ魔王!」

「この日をどんなに楽しみにしていたか…。散った同胞達の仇今日こそ!」

「私の魔術でチリにしてやろう」

「聖なる力!その身でとくと味わいなさい」


「ガハハハ!勇者に獣王に魔女に聖女揃いも揃って面白い事を言ってくれる!」


「何がおかしい!」


「ククックククククク、そう熱くなるでない勇者よ…。まぁ、憎き相手が目の前にいるのだから、仕方のない事かもしれんがな!アハハハ!」


「こいつめ!馬鹿にしやがって!」


「勇者様!こいつと話すだけ時間の無駄です!」


「先手必勝!喰らえ!超火炎連弾ファイヤーランブ!」

魔女によるいきなり魔法の発動、凄まじい数の炎弾が魔王に向かって放たれた。

だが…。


「流石は、魔法に特化した種族であるエルフといったところか…。まさか超級魔法をいとも容易く発動するとは思わなんだ。がしかし。」


不可視のバリアーがその全ての炎弾を防ぐ。

「甘いな…、その程度の火力では我が盾は壊せぬ。」


「くっ、やはり火炎弾ではダメか…。」


「なら、これではどうでしょう!聖光魔光線ホーリーレイザー!」


「なぬ!?聖職者の攻撃魔法だと!!まずい!」


聖女により放たれた光線が不可視のバリアーを攻撃した。

ピシッ…ビシビキビキ…ガッシャーン!パラパラ…

「どうです?聖職者だからって何も対人用攻撃魔法がないわけじゃ無いのですよ?」


「クククク…面白いこれは一本取られたな、まさか、我がバリアを壊すほどの威力が聖職者にあるとは思わなんだ…しかと覚えておこう。」


この時、聖女以外の勇者一行は思った

(もう、聖女をからかうのはやめよう)と


魔王は重い腰を上げ、玉座から立ち上がり
勇者達な言った。

「さて、戯はこの程度にして始めようではないか…。互いの命をかけた最終ラウンドをな!」


魔王はその体から凄まじいほどの魔力を放出した…、圧倒的な存在感、その身からでる魔力の放出量の多さに耐えきれず地は地震のようにゆれ魔王城の空の大気は黒く渦巻き雨を降らす。

勇者達はその魔力に負けないよう全力で気を引き締める。

「ああ、始めようか魔王…。勇者の名にかけて俺達はお前を倒す…。」

開始の合図など要らない互いの身体が動いたその瞬間から戦いは始まった勇者と獣王は突撃し、聖女は光の力で皆にバフと回復を魔女は遠距離からの魔法攻撃を放つ。


魔王はその攻撃のすべてをその身で受け又は流し無効化し攻撃に移る。


戦闘が始まって約2時間程だろうか?

魔王、勇者共に疲れが見えてきた。


「はぁ…くっ…はぁ…。やるではないか勇者一行よ。まさか、ここまで強いとはな…。」



「それは…こっちのセリフだ…ぞ。4対1だってのに互角とか笑えないよ。」


「全くだぜ…、接近戦も二人でやってるってのに…強すぎだろ…。」


「私の攻撃魔法が全く当たらないどころか的確に無効化までされるなんて…。身体全身に目でもあるのかしら…。」


「自己回復力が強すぎます…、回復と攻撃を単体でできるなんて…、まさに魔王です。」


すでに、勇者一行は満身創痍である。ただ、それでも戦えているのは諦めない心の強さにあるだろう。


「クククククク、まさか勇者一行に褒められるとはな…不思議な事もあるものだ…。して、どうする?まだ、続けるかい?」


それに、対して魔王はまだ余裕があるように見える。
現に、先程まで勇者達の攻撃で多少傷ついていた身体の傷が完全に治っているのだから。


「当たり前だろう、さっきまでのは前哨戦さ!こっからは本当に俺の命をかけよう!」

そう言った勇者の身体が光り輝く。

「ッ!まさかお前!」

「ダメです、それを使っては!」

「危険だって、精霊王に言われたでしょう!」


魔王は黙って成り行きを見ていた。


「すまないみんな…でも、これは、やらなきゃいけない事なんだ。それに、今使わなくていつ使うんだよドゥロードしばしのお別れだな強制転移…、これ、使わせてもらうよ。」

勇者の周りを4つの光輝く透明な球が円を描きながら飛ぶ。

「それは!精霊王にもらった精霊玉!」

「ダメだって!一個ならともかく!全部は身体が…!」

「勇者様!ダメです身体が耐えきれず高確率で死んでしまいます!」


止めようとした、彼らの前に不可視の壁が現れるそれは、空間転移を使う時に転移者を守るための守護壁である。


「いつのまに!転移術をつかった!?」

「無詠唱なんて、今まで使うそぶりさえ無かったのに!何より、魔女と呼ばれる私でさえ出来ないのに!?」

「勇者様…まさか、最初からこうなる事を見越して…。」

この時魔王はしてやられたと思った…何故なら圧倒的な力を持つ魔王ですら転移時の守護壁を壊す事は不可能であるからだ。


「やってくれるではないか勇者よ…。」

勇者は、軽く笑った。

「やっぱり、転移術を邪魔することは出来ないんだね?思った通りだよ。邪魔な僕等全員をここで始末しようとしてたんだろうけど…、残念だったな。そうは、させないさ。」


勇者は転移魔法陣にいる皆を優しい瞳で見て彼らに言った。


「皆んな、もう向こうに事情は話してあるからね。僕が帰るのを待っててよ、その時に説教は必ず聞くさ。だから…。」


「あーあー、わかったわかったどうせ何言っても聞かないんだろ?お前はよくわかんないところでいつも頑固だもんな…でも、帰ったら覚えてやがれ!思いっきり殴ってやるからな!その後はそうだな酒でも飲もうや!」

獣王はそう言って笑った


「はぁ、覚えてなさい!帰ってきたら凄いの食らわせてやるんだから!だから、ちゃんと帰ってきなさいよ!それと、もちろん私も飲むわ」

魔女は怒りながらも最後には笑った


「勇者様…私は私の心配する気持ちも知らないで身勝手な事をする勇者様をとても怒っています!貴方はいつもいつも、危ない事を一人でやるんですから…。今度は死んじゃうかもしれないのに!それなのに!貴方はまた一人で…、いいですか勇者様?必ず私達の所に帰ってきなさい拒否権はありません!絶対に!絶対に帰ってきなさい!帰ってこなかったらもう、知らないんだから!」


聖女は目に涙を溜めながらも必死に笑顔を作っていた。


「あはは、これは帰ってからの方がしんどそうだ…。わかってるよちゃんと帰るさ約束だ。」


『言質いただきました!』


そう言って彼らは転移した…。


「さて、魔王。待ってくれてありがとうと言うべきだね。」

魔王はニヤリと笑った

「いや、こちらとしても4人も相手にするより一人を相手にする方が楽だと思ったからの行動さ。それに、貴様を倒して人間どもを根絶やしにする事は変わらないからね。」


「させると思うか?何の為に俺が一人で残ったと思ってるんだ?今から使う力は制御するのが難しくてさ…。みんなを傷つけないようにしただけだよ。」


周りを回っていた球が勇者の身体に入っていく。


その瞬間、勇者から凄まじい力を感じた魔王は懐かしい感情を魔王になってから感じる事の無かった思いを一瞬抱かさせれた…それは、恐怖。


「馬鹿な…この私が一瞬とはいえ恐怖を感じただと…!?」


目の前にいた黒髪の勇者だった者が今は黒かった髪は金色に変わりその身からは凄まじい白い魔力を放出しているその力により先ほどまで降っていた雨は止み、黒い雲は消え去りこの場所では見る事がない筈の太陽が顔を出し、この地に光を浴びせた。


魔王は思った、本気でやらなければこちらがやられると、魔王は全力で立ち向かう事を決めた。


「我が言うのもなんだが…貴様本当に人間か?貴様こそ我より化け物にふさわしいと感じたのだが。」


勇者は目を鋭くし言った。


「御託はいい、今度こそ本当の最終ラウンドだ!」

短い時間の中で
黒い光と白い光は全てを壊しながらぶつかり合いあった…。


何度も何度も何度も何度も繰り返しどちらかが力尽きるまで。


そして、両者ともに少し、間を開けてピタリと止まり…、これが最後の一撃だと思わせるほどの力を溜め身体に纏わせた、そして…

















この日魔族の住む大陸の一部が
                                  跡形もなく消えた。














魔族以外が生きる大陸の一つである人族の人口が多い島その中でも一際大きな国である王都《サムデニア》ではまだ戦場の後は色濃く残ってはいるが、人々の表情は暗くないむしろ明るくなっている。


何故なら、この国の王が魔王が討たれた!と国民に報道したからである。



この知らせは人族の国全てとその他種族の大陸にも伝えられた。


その大きな報道があってから数週間後王都で大きな魔法による爆発音や空から光線が降ってきたなどと言うよくわからない話や現在の獣王によるお忍びでの王都観光の噂が広がったが。


大きな王都では些細な問題である。


何はともあれ、魔王が討伐され世界に平和が訪れた事は確かな事、ただ一つ国民が気にしているのは『勇者は帰ってきていない』という情報だけである。



本当に帰ってきてないのか。または、何処かで身を潜めてるのかどうかは、わからないがその勇者にみんな感謝しているのであった。



「これが、古くから伝わる[伝説の勇者様]のお話しよ〜。ってあらあら、話してるうちに寝ちゃった見たいね。うふふ、貴方はどんな子になるのかしら成長が楽しみだわ。」


そう言って綺麗な桃色の長い髪の毛を持つ彼女は優しい瞳で見つめて息子であろう、黒髪の子供を抱き上げリビングから子供部屋に向かいベッドに寝かせた。


「本当に綺麗な黒髪、お父さんそっくりね…でも、顔は可愛い顔してる女の子見たいに可愛いわ、元気に育ってね。」



「ただいまー!あれ!いないのか?おーい!なんだいるじゃ無いか。」



そう言って子供部屋に入ってきたのは腰に綺麗な鞘に入った剣をぶら下げた黒髪の男この子供の父親であろう人物だ。


「もう、あなた静かに。ルークが起きちゃうじゃ無い。」

母親に両手の人差し指でバッテンをされた父親は苦笑いしながら小さな声で謝った。


「すまんすまん、ルークが寝ていたとは知らなかったんだ、それにしても、気持ちよさそうに寝てるじゃ無いか…可愛いなぁ。」


父親は目を細めて、寝ている我が子の頭を優しく撫でた。


「可愛いのは当たり前よ私とあなたの子供なんだから。ね?そうでしょ?。」

父親は大きく頷いた

「全くその通りだ。」

父親のその姿を満足げに見た後母親は

「さて、そろそろレーナとカインが帰ってくるわね、あなた、ご飯の用意手伝ってくれません?」


「おお、もうそんな時間か。勿論だとも手伝うよ。」


父親と母親は手を繋いで仲良くキッチンへ向かった。




さて、この暖かな家庭から転生者ルークとしての新しい冒険が始まる。

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