嘘は異世界を救うのか、滅ぼすのか

ノベルバユーザー183896

第44話 閑話休題

ヤマタケとカリヒト戦いより次の日


空き教室にて俺、ユイ、ヤマタケ、田中が集まる。


「田中よう。お前は確かに約7000って言ってたが、6570ポイントを切り上げでよくそう言えたな。怪しいとは思ったが嘘はついてなさそうだし、下回ってる可能性は考えいたがこれ詐欺だよな。」


「ハハッすまないねぇ〜シンドウ。あくまでも可能性としてカリヒトは卒業できるように思わせないとじゃんブラフだよ。それと縛り上げて天井から吊るされるのなんて初めてだよ。」


そうこいつは信用が全くできんからな。分かっていたことではあったが。


「それにシンドウだって嘘だらけじゃないかよ。何が俺が勝てなきゃ100%負けるだよ。全勝できる算段ついてたんじゃないかよ?」


「当たり前だろ。ポイント全賭けなんて勝てる確信がなければするわけないだろ。だが結果は違う1敗した。俺だって勝負内容によっては勝てる可能性が100%あったわけじゃない。田中が勝ったらリタイヤするつもりだったからな。」


あの勝負は田中がヤマタケの意志の力に動かされるか試したくもあった。だが敵から引きはがせるほどの物ではなかった。カリヒトを圧倒するほどのカリスマ性という名の力はそう簡単に手に入らない。だが今回のことでヤマタケは箔はついたはずだ。勝ったことは紛れもなく事実なのだから。


「こりゃまたとんでもないやつにカリヒトは挑んでしまったようだな。カリヒトは頭がキレるのは確かだが知力面においては他のリーダーに劣っている。戦闘能力においては校内ではトップ3には入るはずだ。だからこそ今回はその油断を突いたってところなのかい?」


「お前は俺が完璧超人にでも見えているのか?それは間違いだぞ。俺が今回調べたのはこの学校の卒業方法と田中のプロフィールを端末で調べ、カリヒトがどんな奴なのかを人から聞いた。後はゲーム状況を読んでなんとなくこうなるんじゃないかくらいで動いただけだ。結果がこうなったのは狙ったわけじゃない偶然だ。」


俺はカリヒトが仕掛けてくることを予測したわけでも、カリヒトがどれくらい強いのか、そんなことを知っていたわけじゃないのだ。ヤマタケが連れてきた3人を端末で調べ、プロフィールの確認をしたところ田中が3年ということが生年月日で判明したためかまをかけた。カリヒトが3年だとか、人間性はおおよそでしか掴めていないのだ。隠されているんだから確かめようがないだろう。


「言いたいことはだな、カリヒトは自分が信頼できる配下を仕掛けたのはいい、そしてお前は仕事を完璧にこなす技量はあった。だが自分の情報を深く知る配下を使うことは回避すべきだったな。俺だったら勝つためなら自分の情報は仲間にしか話さん。配下には偽情報を植え付けるだろうな。俺の仲間の定義は言わんが言いたいことは分かるだろう?」


仲間の定義は実力を指す。ユイ、マカベ、ケンジはそもそも配下みたいなことはやらせんし、例えやらせても俺が負けるような要素にはならんと確信できるからだ。カリヒトも偽情報は使っていただろうが、どうしても人と接点を持ってしまうと情報は漏れるものだ。人の弱みを握るようなやり口をするような雑魚と聞いた時点負ける気はしなかったがな。


「...確かにな。あいつは自分の情報は人の弱みを握り隠させる傾向が強かった。カリヒトは弱点を見抜く才能はあったかもしれんな。だからこそそれに依存してしまいボロが出たんか。っていうか完璧にこなす技量はあったって言ったが俺のことディスってんじゃん!」


田中から勝利への情報を引き出したのは事実だ。だがこれはカリヒトの作戦ミスだから田中のせいではない。俺が田中を使っていれば確実相手をはめていただろうからな。


「五月蠅いやつだな。本題に入るぞ。この学校を退学させてやろうか、お前をこの状態からあられもない姿にして社会的ぶっ殺し日の下あるけないようにするか迷っている。田中ぁどちらがいい?自主退学が一番楽なんだが反抗するだろ?退学させるのも無駄に労力使うし、社会的にぶっ殺すのが家から出れなくできて第一候補だ。」


「....いや~シンドウ様には敵いませんわ~マジリスペクトしてます。本当にです。マジです!お願い勘弁してください。その選択肢はあまり...」
「おぉい!田中よぉ~まさか俺がこんな生ぬるい選択肢用意したとか勘違いしてんじゃねーだろうなぁ!これは俺が本来お前に与えることが確定していた物を内のリーダーの慈悲の元妥協してやってんだよ!」


俺は田中の胸倉をつかみ田中の目をまっすぐ見て威圧していく。ヤマタケとユイには結論出るまでは黙るように言ってある。


「ヤマタケ悪かった、裏切ったことは謝るよ。でも俺はどうしても卒業したかったんだ。カリヒトに勝ってもらうしかなかったんだ..ぐぅ」
「てめぇは話してる相手が誰だか分かってねぇーようだなぁ。ヤマタケはこうなることが分かっていても覚悟持ってわざわざお前の最後見に来てるだけだ。自分が決めたことだからな。何媚びてんだ!本気でぶっ殺すぞぉ!」


俺は田中の顔面を殴り、もう一度目を見てこちらが本気であることを確かめさせる。


「さぁ早く選べ!お前なんかのためにわざわざ時間作ってやってんだぞこっちはよぉ!選べねぇーなら当初俺が考えた罰にするがいいんだな。」


俺は田中の選択肢を奪っていく。裏切りとはそれだけ罪深いことなのだ。相手を敬うことを忘れたド底辺クズやろうの末路だ。こいつは去年それを自分のボスにやり平然とカリヒトに就いているんだ。俺が正してやる。


「..そ..そんな..俺はぐっ..やめてください。どうしても卒業がし..ああぁぁ痛い!指がぁぁ!」
「何泣いてんだぁ?俺は選べって言ってんだよぉ!ちなみに俺が考えた罰はお前の手の神経をズタボロにしお前の才能をつぶし、この薬でお前の思考能力永遠に落とし続けた状態で学校に残って貰い卒業前に退学させることだ。学校にいてくれれば1ポイントだが入り続けるからな。お前がどんな状態でも構わないんだよぉ。その状態になっても卒業させる気はないから分かるよなこの意味をよぉ~」


田中の指を一本折った。
俺は例えどんな自己犠牲を払おうとも卒業させる気がないこと伝える。
田中の表情が絶望色に変わる。もう何をしても無駄なのだと。


「お前があのフリースローで勝っていればな~こんなことにはならんかったのになぁ~。去年恨んでいたらしいリーダーがここにいればなぁ聞きたいもんだ。裏切ったことを許して卒業させてくれるのか、どれほどの悔しさを持ってこの学校を去ったんだろうな。俺はしらんが俺だったら必ず地獄に叩き落としてるだろうな~」


「..うっぐ..俺は...ぐぁぁ!」


田中は己の後悔に涙した。だが遅い。俺はもう一本折った。
そして俺はケータイを取り出す。


「もしもし、シンドウです。先ほどお願いした件よろしくお願いしますタカミネ先輩。」


「お、おい止めてくれ!もう..もうやめてくれよ...」


「その声は真か..話は聞いたよ。お前が裏切ったことは当然分かっていた。それでも俺はポイントを奪われ退学した。今じゃ負け犬同然の生活さ。お前だって分かってるよな。この学校の退学が何を指すのかを。俺は絶対に真!お前を許さない。この場に居たら必ずあらゆる方法にて拷問してから殺しやる。それは今の俺にはできんからシンドウに託す。地獄でまた会おう。以上だ。...」


俺はケータイをしまう。
田中は既に放心状態となっている。思考を放棄したくなるよな分かるよ。


「...がぁぁ。うっ..はぁはぁ。..シンドウさん俺を..うっ」
「何言ってんだ田中ぁ!まさか退学にさせてくれとか言おうとしたのかぁ?甘いんだよ!とっくに時間切れだぁ。お前には地獄なんて生ぬるいことが分かっただろう今の先輩の話でよぉ~。俺は今託されたんだぜ。もう容赦しなくていいことはこの場のだれでも分かんだろが!」


田中の指をさらに一本折り。思考を戻させ再度言葉を投げつける。


「...先輩ごめんなさい。俺が..俺のせいで..ごめんなさい。..俺は謝るべきだった。..先輩を信じられなかった。償えない..。もうだめだったのか。」


田中は混濁した意識の中、ただ謝り後悔し続ける。
ヤマタケそんなに睨むな分かってんよ。


「今の聞いてましたか先輩。聞こえるように通話切らないようしてたんですが。」
「シンドウ、聞こえてたさ。真の声が。相当ひどい目にでもあっているんだな。この男がこんな声出すんだからな。聞いているか真!」


俺は先輩に田中の謝罪を聞かせるためにわざわざこんなことをしたのだ。


「..タカミネさん。..俺は..俺は謝ってもいいんでしょうか。俺のしたことは許されないことだと分かりました。いえ分かっていても止めませんでした。どうしても卒業がしたかった。...本当にごめんなさい。俺はあなたの元へはいけないかもしれませんが、もし会えたらこの命を好きにしてください。」


「...はぁ~真をぶっ殺してやりたいとこだが、俺もそんな暇じゃなくてな命を捧げられても困るんだがな~。真さ。お前家族を守りたいって言ってたな。卒業して救うんだとよ。ならとっとと卒業して叶えやがれよ。俺は辿り着けなかったができるチャンスがあるだろ。シンドウさんあんたのおかげで俺は救われたよ。確かに恨んでいたが、それは俺の力が足りなかったと、とっくに受け止めている。心配だったのは俺の配下だ。あんたは救ってくれると約束した。なら真のことも救ってやってくれ、頼んだぞ。以上だ。忙しいから切る。...」


ったく。勝手なこと言ってくれるぜ。あんたは退学になったが、特別編成クラスに入っていた器の持ち主だったよ。


「やれやれだ。先輩が言った以上俺はもう何も言わん好きにしろ。命も退学もしたければ勝手にやれ。ユイ行くぞ。」
「私は付いていけばいいんですね。」


余計なことを言うんじゃない。笑顔が本当に眩しいくらい素敵なユイさん。


俺とユイは教室を出て行く。後は頼んだぞ真の英雄さん。

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