嘘は異世界を救うのか、滅ぼすのか

ノベルバユーザー183896

第27話 閑話休題

あのミッシーが大暴走してから一日が経った
適当に宿を取り寛いでいる。


「赤神さん結婚取り止めるそうですよ。なんか祖父に抗議したらしいです。大きなお世話だとか、ケンジさんも本当は言わない約束だったんだが話してしまったことを詫びるため同行したそうです。」


「そうなのか、まぁケンジが結婚というのに初めから違和感しかなかったからな。結婚したらしたらで面白かったかもしれんが、いない方が伸び伸び行動してくれるだろうから助かる」


ケンジは集団で戦うことを苦手としている。ミッシーが言った通りケンジは未来予知ができるが万能ではない。ケンジが言うには相手の敵意が具現(どう動くのか)化し予測できるらしい。敵意とは幅が広く、自分を標的にするモノに働く。だから味方の未来予知はできないらしい。だから一対一となれば無敵に近いのだ。ケンジ自身の戦闘能力もトップクラスのため素の強さもあるので、これ以上頼もしいやつを俺は知らん。


「私は結婚して欲しかったですよ。なんだかんだ赤神さんには幸せになって欲しかったし、ケンジさんも性格はやばいかもしれませんが、赤神さんが不幸になるような真似はしないと思いましたね。」


ケンジが認める相手だったら確かによかったのかもしれんな、あいつが認める相手がそもそもいないに等しいからな。10人もいないんじゃないかと思う。だからこそミッシーの今回の活躍は大きかったと思うぞ、結果を見れば外していたが今後の期待を抱かせてくれる成果だ。


「そうだな。ミッシーよくやったぞ~大手柄だ。連れてきてよかったぞと俺は思ってる。今後に期待しているからな。」


ミッシーがテンション下がり気味なので撫でてやる。


「大手柄って!結局あれだけやって思いっきり私外してしまったじゃないですか!慰めは結構ですよ。自信が余計なくなりますよ~」


ありゃりゃ逆効果だったか、だがミッシーよこれほどまで自分で考え結論を出すこと。それを行える能力はもはや生まれついた才能といって差し支えないんだぞ。自覚し始めているから今後伸びることだろう。


「プルルルルルルッルッ」


「来たか!出迎えてやってくれ」
「人遣いが荒いですね。シンドウさんはもう~」


「来たぞシンドウ。体は大丈夫か?治ったならもう一戦してやるがどうする?」


「なんで病人に話しかけるテンションで戦いを申し込むんだよ!やらないわ!」


「シンドウさん。この間はどうもお騒がせしてしまい申しわけありません。この度はご訪問の機会を頂き誠に感謝いたします。本日はお日柄もよく...」


「五月蠅いわ!長いんだよ!シンドウさん。来ましたよ。くらいでいいんだよ!コミュ障がどうせテンプレとして考えて来たんだろ!適当でいいんだよ!」


「シンドウさん体に響きますよ。ツッコミ疲れないんですか?」


「疲れるわ!なんでこんなある意味濃いキャラ連れてくるんだ....もういい」


やばい真っ当そうなやつらに見えるのにロクなやつがいない。やっぱり俺が一番真っ当な人間だろ。


「シンドウさんどうせ今、俺が一番普通だとか考えませんでした?」
「そんなしょうもないこと考えないよ」


ミッシーがジト目で話かけてくるので冷静に答えた。冷静大事。


「シンドウはミッシーから聞いただろうが、俺達結婚するのは止めたんだ。高音がやっぱり納得できないらしいからな。爺さんは高音が俺に告白できたと言っていいのか?わからんがしたことだけでも満足したらしい。俺としてはどちらでもよかったんだがな。高音のことは好きな方だぞ。恋愛対象としては見たことなかったけどな」


あらら露骨に赤神さんの目が死んでいく。でも赤神さんや、ケンジが女性に好きな方なんて言ったの俺聞いたことないから脈はあるぞ頑張れ!俺の観る目で見てもケンジは全く嘘はついてないけどさ。


「ケンジ兄ちゃん、赤神お姉ちゃんをいじめないでくださいよ!そもそも鈍感すぎなんですよ!恋したことないんですか!」


おっミッシーが面白いこと言ったな。それ俺も気になる。12年で少しくらい変わっただろ。


「ミッシーは失礼なやつだな。俺にも恋することくらいあるぞ。」


「そうなんですか!ケンジさん!私初耳と言いますか!誰なんですか!...すみませんはしたない姿をお見せしました。」
「教えんわ、たわけが。俺に恋させたいなら俺に勝ってからにするんだな高音。俺はいつでも相手になるぞ。」
「そんなケンジさん~。私も日々努力してるんですけどケンジさんに勝つ未来がみえないですよ~。」


赤神さんが落ち込んおり、ケンジが面白そうにしながら笑っている。
ケンジのやつ口ではああいってもやっぱり気に入ってるだろうな赤神さんのことをよ。師匠が弟子を想うような色として出る黄色のオーラがよく見えるよ。


「さーて、本題に移れシンドウ。呼び出したんだから何かあるんだろ。」


そうだな。いつまでもゆったりと場に和んでいる場合ではないな。


「ケンジには12年前にできる限り帝国機関の内部で働いて貰うように頼んだ。感謝する。だからこそ聞きたい。なぜ異物が侵入していやがる。俺はここに来る前に村に寄ったんだがゴブリンがいた。ユイからの情報だと我が種族は下ることでしかもう生き残る道は残されていないと話していたそうだ。なにがあったんだ。」


「...そうだな。どこから話したもんか。シンドウはこの世界の勢力図をどこまで把握している。」
「マカベに聞いたが、あまり情報は手に入っていない。人は12年前よりも勢力図を拡大させていることは聞いた。」


まぁおおよそ下等種族が勢力を保てなくなり、他種族に媚びるしかないとかそんなもんかとは考えてはいるのだが、俺はあまり最悪のパターンになっていないことに祈る。


「勢力図として拡大はしているのは確かだ。シンドウも予想はしているのだろう。」
「そうだな。人が住むエリアがある付近はゴブリン、コボルトといったようは雑魚がいるだけだった。戦闘力は人より平均すれば強いが、知力が圧倒的低い。だから人が攻め入れば圧勝できるだろうな。」
「その通りだ。12年で技術力が大分進歩したことにより人は下等種族のエリアを犯し勢力図を広げた。」


やはりそうか。まだその時ではなかったというのに余計なことをしてくれたもんだ。


「俺達はかつて遠征に行き調査した。この世界のパワーバランスがどうなっているのか知る必要があるからな。途中までは上手く行っていた。かつて辿りついたエリア5までは、そこからは地獄だ。とても今の人間じゃ勝算がない。失ったものはあまりにも大きい。」


「俺達の仲間はほとんどいなくなってしまったからな。俺でも亜神達に勝つには難しいだろうな。力はつけたが一対一なら勝てるくらいだろう。」


ケンジがそういうんならそうなんだろ。一対一で勝てるだけでも大分可能性上がる話だ。


「人はなぜエリアを犯したんだ。やはり人口増加原因か?」


「察しがいいな。住む場所はなんとかなるが食糧問題が必ず起こるだろうことが予想されてるんだ。だから侵略してでもさらに良い環境を手に入れる必要があった。」


今人が暮らしているエリア0は実りが少ない大地だと結論づけている。だが贅沢しなければ問題はなかったはずなんだ。軍事力が上がってしまったことにより欲が出てしまったのだろう。


「やっぱり最悪のパターンか。」
「シンドウの予想は当たりだ。エリア2ドワーフやエルフたちに目を付けられてしまっている。」


このままでは人類は滅びてしまう。何とかしなければならないだろう。

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